マーケティングの新手法プロダクトプレースメントとプロジェクトXの関係
2004年09月22日
前回投稿した記事で、プロ野球球団を保有する一番の意味は広告宣伝効果であるのだから、球団ビジネス単体での収支をあまり重視すべきでないということを書きました( ビジネスとしての黒字化が難しいプロ野球への参入は、あえて広告活動と割り切る )。 DVDレコーダーが普及してくると、テレビCMを見ないで飛ばしてしまう消費者が増えてくることが予想されます。そうなると、通常の中継放送の中で企業名が露出できるので、プロ野球チームを保有することの価値はかえって高まってくるのではないでしょうか。 似たようなマーケティング手法としては、「プロダクト・プレースメント」というものがあります。これは、通常のテレビ番組や劇場映画の中に自社商品をとりあげてもらう広告手法で、消費者に対して自然に商品をアピールすることが狙いです。当然ウラでは莫大な契約金がスポンサーから制作側に支払われます。今週発売の日経ビジネスでも、米国でのこの新手のマーティング手法に対する加熱振りが取り上げられています。同じような動きは、日本のマーケティングの現場でも見られつつあります。
プロダクトプレースメントには日本企業も参戦している。例えば日本で今秋公開される映画「コラテラル」(トム・クルーズ主演)に「クリスタルガイザー」が映る場面がある。米国のミネラルウォーターだが、"映画登場"の裏にいるのは、日本での販売権を持つ大塚ベバレジ。米ノーム・マーシャルと提携した電通が実現に協力した。
多チャンネル化やCM飛ばしなど、メディアを取り巻く事情は日本も同じだ。業界慣習の違いなどから、日本では大々的なプレースメントはないが、日本テレビがドラマの本編とCMを連動させた「劇中CM」を手がけたり、テレビ朝日が博報堂DYメディアパートナーズなどと組み、広告主4社の商品を4話完結ドラマ風に仕立てた「ドラマーシャル」を製作するなど新たな手法を模索する動きが広がっている。
プロダクト・プレースメントの効果は、何も民放のテレビ番組に限った話ではありません。最もプレースメント効果が期待できるのは、NHKの看板番組「プロジェクトX」ではないでしょうか。2000年3月にスタートしプロジェクトXでは、現在まで延べ150回放映されています。そのうち約3分の1に当たる、50回分が企業の製品開発ストーリーをテーマにしたものです。番組のメインは、開発秘話を通して開発当事者の人物像を掘り下げる構成にはなっていますが、企業の名前もハッキリと紹介されます。通常のテレビCMと同等、もしくはそれ以上の宣伝効果が期待できます。番組に取り上げられた企業側の評判も上々のようです。 その辺の事情を今週発売のAERAよりご紹介します。情報源は『プロジェクトXの企業吸引効果 皆様より企業さまのNHK』(AERA 2004年9月27日号 p.28-30)です。
「会社の歴史を知りたい、工場を見学したいという問い合わせが相次いだ」(セイコーエプソン)。
「結果として、当社のブランドや企業姿勢を多くの人に理解して頂くことにつながった」(ヤマハ)。
また、NHKは今年の夏に都内で「プロジェクトX21~挑戦者たち~」と題した特別展も開催しています。番組で取り上げられた企業の中には、3,000万円を超える協賛金を支払ったところもあるようです。多額の協賛金を出したのは、もちろん宣伝効果を目論んでのことです。
「宣伝として考えると、見合った効果はあったと思う。NHKの看板番組ですから集客力もあり、企業イメージ向上としては、民放にCMを打つよりも良かったかも。今後も(NHKとは)おつきあいしていですね」。
確かにプロジェクトXに取り上げられることは、単純なCMでの露出に比べても、企業イメージの向上に図りしれない効果があります。同じようにプロ野球球団を持っていれば、NHKでも企業名は連呼されることになり、宣伝効果も絶大のはずです。例えば、日本ハムはフランチャイズを札幌に移したことや、新庄を獲得したことで、大幅に企業イメージがアップしました。今から2年前に牛肉偽装事件を引き起こして、大バッシングを浴びていたことが嘘のようです。 現在すべてのマスメディアが注目する中で、プロ野球に新規参入を果たすことができれば、それ以上の宣伝効果がもたらされることは間違いありません。おそらく、そのうちにプロ野球新規参入ストーリーも、プロジェクトXに取り上げられるでしょう。 私には、新規参入に手を上げる企業が少ないのが不思議に思えます。
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