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勝ち組企業の花王も負け組み製品ではバンダイの人気キャラクターに頼る

2004年10月16日

先日、バンダイのキャラクターの製品開発力の強さの話を投稿しました(ヒット商品は作るのではなく、作られるもの パンダーゼットから電車男まで)。今度は、バンダイと花王が家庭用芳香器「Haromatherapy(ハロマテラピー)」を、共同開発しました。新製品は、芳香剤マーケットで苦戦する花王が、機動戦士ガンダムシリーズに登場するロボット「ハロ(HARO)」の人気にあやかろうと考えたものです。情報源は、nikkeibp.jp 花王、劣勢の芳香剤市場を「ガンダム」で挽回です。

ハロマテラピー 【使い方】 付属の芳香剤ケースに芳香剤を入れてハロ本体背面にセットし、ハロ本体を下方向へ押し込んでスイッチを入れると、約30秒間ハロが左右に揺れながら耳部分をパタパタと動かし、中にセットした芳香剤の香りを振りまきます。

花王は芳香消臭剤市場では苦戦を強いられている。花王といえば、2004年3月までの発売10カ月で200億円を達成した「ヘルシア緑茶」や2003年発売のヘアケア製品の「アジエンス」など、ヒットメーカーの名をほしいままにしてきた。しかし、芳香消臭剤の市場占有率ではトップ5にも入っていない。600億円の芳香消臭剤市場は、その9割を小林製薬とエステー化学が二分している。5割のシェアを「消臭元」を持つ小林製薬、4割のシェアを「消臭力」を展開するエステー化学が握る。残りの1割のシェアを蚊取り線香の「金鳥」ブランドを持つ大日本除虫菊、アース製薬、白元の3社で競い合う格好だ。

花王はこうした劣勢を挽回するためガンダムのキャラクターを活用した。芳香剤市場は拡大している。各社がデザインや香りにこだわった高付加価値製品を市場に送り出し成功しているからだ。高付加価値商品を支持する消費者が増える中、花王はキャラクターという価値に商機を見いだした。

そのため、キャラクターが持つ、見た目のかわいらしさにこだわった。電池により容器がかわいらしく動くのがポイントだ。スイッチを押すと、容器全体が約30秒間左右に揺れ、耳の部分をパタパタさせる。この時に香りが発せられる仕組みだ。こうした工夫が盛り込まれているため、価格は高めだ。芳香消臭剤は400円から500円が主流という中で、ハロマテラピーは1750円で販売される見込みだ。

バンダイが恐れる価格低下を避けるため、開発チームは販売方法に注意した。通常、花王はテレビ宣伝費を大量に投下し、一斉に新製品を店頭に並べる手法を取る。しかし、今回はゆっくりと流通経路に浸透させる。特に大きな宣伝などの予定もない。発売計画も当初は3万個、売れたら10万個に増やす。一気に商品を投入して、値崩れするのを防ぐ考えだ。

ハロマテラピーには従来の花王製品のように、花王のシンボルマーク「月のマーク」がない。ヒット商品、アジエンスも同様に月のマークがない。名よりも、実を優先させる花王の商品戦略が始まったようだ。

この記事を読んで、花王の狙いを考えてみました。まず、どの程度の売上を目標としているのでしょうか。花王のプレスリリースを調べると、詰め替え用の芳香剤は500円となっています。

  • 芳香器:¥1,750 x 30,000 = ¥52,500,000
  • 詰め替え用芳香剤:¥500 x 30,000 x 12ヶ月 = ¥180,000,000
  • 合計: ¥232,500,000

これは当初計画3万個を前提に計算したものです。600億円の芳香剤市場の4%にも満たないシェアになります。最大出荷予定の10万個になれば、売上も3倍の7.5億円で、シェアは12%程度です。それでも、現在の花王の全売上9,000億円のうちの1%にもなりません。この数字だけから判断すると、あまり意味のある新製品のようには思えません。

売上ベースでは大きな影響がないのに新製品を投入するのは、おそらく詰め替え用の芳香剤の粗利率が高いのでしょう。それが狙いであるならば、もっと芳香器本体の値段を安くした方がいいのではないでしょうか。トイレタリー製品では、本体価格は原価すれすれまで安く抑えてとりあえず買わせてから、利益はその後のリフィル品で回収するというビジネスモデルは、決して珍しいことではありません。髭剃り本体と替刃の関係は、その典型的なものです。携帯電話本体価格1円が実現するのも、同じことです。

もしこの形のビジネスモデルを考えているのであれば、ハロマテラピー本体は、1,000円以下にするべきでしょう。それとも、ある程度家庭用でブランドを確立してから、高価格が期待できる自動車の芳香剤市場への展開プランでもあるのかもしれません。どっちにしろ、現在の価格では、あまり売れないと思います。なお、私の勝手な予想は外れることも多いので、爆発的にヒットした場合はごめんなさい。なにしろ花王のビジネス戦略に関しては、あの木村剛氏も褒めているようですから(経営者はチェンジ・リーダーたるべし(前編)")。


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