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キアコン澤田貴司氏の記事からローソン新浪剛史氏、グッドウィル折口雅博氏を連想

2004年11月06日

本日の日経新聞朝刊1面に「ダイエー再建のため産業再生機構が進めているスポンサー企業の公募に、イトーヨーカ堂、イオン、三井物産、流通専門投資ファンドのキアコン(東京・渋谷)などが名乗りを上げることが5日明らかになった」という記事が掲載されました。そうなると、この新聞を読んで「澤田貴司(さわだたかし)で検索して当サイトに来てくれる人が増えるわけです。せっかく訪問してくれた方のために、澤田氏の近況を先週の日経ビジネスの記事からフォローしておきます。情報源は、『「我慢より挑戦」の不惑 自在求めた参謀の決別』(日経ビジネス 2004年11月1日号 p.32-33)です。

澤田貴司氏(47歳)は元伊藤忠商事の商社マンで、ファーストリテイリングの副社長当時、柳井正会長兼CEO(最高経営責任者)の社長就任要請を断って、独立起業したことでマスコミの注目を集めました(起業家を輩出する企業風土とは)。その後、2003年2月には、流通企業の再建を手がける投資ファンドの運営会社キアコンを立ち上げています。キアコンは、現在米国の投資ファンドを中心に、約1億ドルの資金を集めているといわれています。今回は、その澤田氏がなぜファーストリテイリングの社長就任の申し出を断ったかという部分をご紹介します。

そして2年目に、柳井氏から社長就任を打診された。澤田氏も「この時は、やる気満々で引き受けるつもりだった。」ところが、話はいったん預かりとなる。当時、好調な業績を受けて株価が高騰。株式を保有する古参役員の退任が相次いだ。「ここで社長に就任すると、周囲からまるで澤田氏が古参役員を辞めさせたように思われる」と柳井氏は配慮した。

社長就任が再燃したのは2001年末だった。「延ばし延ばしにして申し訳なかったが、来年から社長を引き受けてもらいたい」。こう持ちかける柳井氏に、今度は澤田しが即答を避けて、態度を保留した。柳井氏と一緒に仕事をして5年。澤田氏にはこんな思いが芽生え始めていた。

「ユニクロはやはり柳井さんの会社。自分が社長になっても、柳井さんはいろいろと心配して口出しするだろう。これは自然なことだけれども、自分は嫌な顔をするだろうし、それを見た社員に悪影響を与える」。ただし、澤田氏はそんな懸念を柳井氏に直接ぶつけたりはしなかった。「わざわざ確認せずとも、お互いの性格は知っているから。暗黙の了解だった」。

もう1つ、起業に対する思いも社長受諾を躊躇させた。「米スターバックス創業者のハワード・シュルツ氏らに憧れていた。ユニクロの社長を引き受けたら、起業は諦めなければいけないとも思った」。結局、澤田氏は、手を伸ばせば届くところにある急成長企業のイスを蹴ってまで、ゼロからの出発を選んだ。「自分がやりたいようにやりたい」。澤田氏自身の気持ちの中で妥協するわけにはいかなかったのだろう。

独立した今、一番楽しいのは「すべて自分で決定できる醍醐味」と澤田氏。現在、キアコンが支援する再生案件は、婦人・子供服販売のピーター商事(福井市)と、カジュアル衣料専門店のトランスコンチネンツ(東京都渋谷区)の2社。さらに年内に発表できる見込みのいくつかの案件が進行中だ。さらに、本人は「ノーコメント」を繰り返すばかりだが、産業再生機構の活用を決めたダイエーの再建にかかわるのではとの観測をささやかれている。

「柳井さんいは感謝しかない。いずれはキアコンがユニクロを買収できるくらいに、大きい会社に育てたい。絶対にギプアップしない。」澤田氏は前を向き続けている。

この記事のインタビュー時には、ダイエー再建への参画には明言を避けていたわけですが、本日正式に名乗りを上げていることが報道されたことになります。現在産業再生機構が考えるダイエーの再建プランでは、総合スーパー(GMS)の食品部門以外の部分を切り離して、食品スーパー単独として存続させる計画も練られているようです。この計画通りに進んだ場合、分離した衣料雑貨部門を澤田氏の投資ファンドのキアコンが核となって、再生するというシナリオの実現も十分に考えられます。

ダイエー再建のスポンサー企業には、総合商社からは、いち早く参加の意志を表明していた丸紅に続き、三井物産も今回加わりました。報道では住友商事も検討段階にあるようです。澤田氏の出身企業である伊藤忠商事がこの中にないのは、キアコンを通して参加するつもりなのかどうかは、キアコンのファンド構成が明かされていないので不明です。

ダイエーが創ったコンビニのローソンは、既に三菱商事の傘下にあり、同社の社長には三菱商事出身の新浪剛史氏が就任しています。最終的にキアコンが実際にダイエーの再建に関与することになるかどうかは、現時点で予想することは困難です。もし、再建にキアコンが関わることになれば、中内功氏が一代で築き上げたダイエー帝国のかなりの部分が、総合商社出身の経営者の手に委ねられることになります。

総合商社出身の大物としては、日商岩井(現・双日)のグッドウィル・グループ会長の折口雅博氏がいます。折口氏は、最近は米国のレストラン事業を展開することの表明と、36億円で商用ジェット機を購入した程度の話題しか提供してくれません。同氏は、元々ジュリアナやヴェルファーレのプロデュースで成功した人で、エンターテイメント産業に実績と知見を持っています。私としては、この折口氏にもうヒト暴れしてもらいたいと思っています。昔は同氏も誇大妄想狂的「ホラ吹き」と呼ばれていたはずです。

昨今の新球団設立、球団買収に食指を伸ばしているのは、ネット企業の経営者ばかりです。旧態依然としたプロ野球業界に新風を吹き込むという点では大歓迎です。しかし、ネットビジネスとプロ野球ビジネスとのビジネスモデルの違いを考えると、現在参入の意志を表明している経営者が果たして適任であるかどうかに疑問を抱く部分もあります。プロ野球ビジネスは、関係者が多く、意思決定に時間がかかり、巨額な設備投資を伴う長期的なビジネスプランが必要とされるもので、ある意味ネットビジネスの対極と考えられるからです。

その点、折口氏には介護ビジネスでの長期的なビジネスプランに基づいた設備投資、骨の折れる厚生労働省をはじめとする関係者との折衝の実績があります。また、プロ野球マーケットのターゲット層は、ネットビジネスのように若者が中心ではなく、幅広い層を相手にしなければなりません。折口氏には、若者から老人までをターゲットにしたビジネスを展開してきた実績もあります。是非とも、折口氏にもこの際、プロ野球ビジネスへの参入を考えてもらいたいと思います。ダイエーホークスの買収に成功してもらえば、「中内ダイエー帝国は商社出身社長 の手に渡る」説が完結することになって、話として収まりがいいことになります。

今回は当初、澤田貴司氏(ファーストリテイリング⇒キアコン)と、小城武彦氏(カルチャ・コンビニエンス・クラブ⇒産業再生機構⇒カネボウ)の例から、「創業社長のNo.2のポジションは、いつか物足りないと感じる時が来る」という内容を書くつもりでした。スペースがなくなったので、このテーマは次回にします。


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【追記】 カネボウ小城氏、キアコン澤田氏 No.2からトップへの選択は似て非なるもの を追加しました(11月7日)


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