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カネボウ化粧品の新CCOに就任した秋山進氏は、役員でも社員でもないIC

2004年11月13日

11月1日にカネボウ社長に就任した小城武彦(おぎたひこ)氏が、株主総会で選任された取締役ではないことを投稿しました(カネボウの新社長に就任した小城武彦氏は、取締役に選任されてはいなかった)。産業再生機構の支援の元で再建に取り組んでいるもう1つのカネボウ、カネボウ化粧品の方でも、珍しい人事がありました。10月にチーフ・コンプライアンス・オフィサー(法令遵守責任者=COO)に就任した、秋山進(あきやますすむ)氏は、カネボウ化粧品の役員でも社員でもありません。秋山氏の身分は、同社と個人として業務請負契約を結んだ「インディペンデント・コンタラクター(IC=独立契約社員または独立事業者)」です。情報源は、『カネボウ化粧品、異色の助っ人』(日経ビジネス 2004年11月15日号 p.16)です。

秋山氏が異色なのは、その立場だ。秋山氏は常勤社員にはならず、役職にも「代行」がついた。自ら提唱し、実践する新しい働き方「インディペンデント・コントラクター(IC=独立時業者)」としてカネボウ化粧品の再建に関わる。ICは専門的な技能や幅広い人脈を生かし、企業と対等な立場で契約を結ぶ。社員でも起業家でもない「第3の働き方」とも言われる。複数企業が関わる新規事業のコーディネーター、人材派遣会社の広報戦略の立案、中小企業経営者の経営全般の相談相手...。秋山氏の現在の仕事はざっと数え上げただけでも「7つくらい」はあるという。

カネボウ化粧品のCOO代行に就くきっかけは1本の電話だった。「CCOを引き受けていただきませんか」。今年8月、秋山氏の携帯電話が鳴った。電話の主はカネボウ化粧品の余語邦彦会長。余語氏はかねてCCOを外部から招聘しようと考えていたが、適任者はなかなかみつからなかったという。

再生機構の支援に至るまでのカネボウグループの転落の軌跡は、産業界では当然視されるコンプライアンスという原則を踏み外したことと重なり合う。「第三者として客観的な視点で厳しくチェックしてもらう」。余語氏はあくまでも外部登用にこだわっていた。そんな時に目に留まったのが、コンプライアンスに関する秋山氏の共著だった。「この人だ」と直感し、突然の電話交渉につながった。

余語氏には見込まれたものの、秋山氏自身、コンプライアンスの専門家ではない。2002年に出版した共著は、専門の弁護士との問答形式で展開していく。「知らん人が知っている人に質問していく」というやり取りの中で、ビジネスの現場で起こり得る問題点を吸収していった。素人の立場でも理解でき、相談できるようなコンプライアンス体制作り──。秋山氏の新しいゴールは定まってきた。

この記事で注目すべき点は、2点あります。いずれも耳慣れないCCOとICという言葉です。企業経営において社会的責任(Corporate Social Responsibility=CSR) の履行が要求されるようになり、その業務執行責任を司る役職として設けられたのがCCOです。カネボウでは不正会計操作で前役員陣が刑事告発されています。グループ会社のカネボウ化粧品でも、コンプライアンス面で同じような甘い体質であったことは十分に想像できます。そうした体質を一新するために、今回コンプライアンスの徹底を社内外に訴えるために、COOを新たに設けたのでしょう。

CSRそのものが近年急速に注目されたもので、その責任者となるCOO経験者はまずいないのが現状です。カネボウ化粧品としても理想としては選任の役員クラスを外部から招聘したかったようです。しかし、結局適任者が見つからずに、IC契約という形で秋山氏に落ち着いたのではないでしょうか。

CxOという役職の中で、COOと並んで人材不足が予想されるのが、CSO(Corporate Security Officer=セキュリティ責任者)です。来年4月の個人情報保護法の完全施行にむけて、新法の対象となる事業者は是非とも経験豊富なCSOを確保したいはずです。おそらく各企業とも、こちらの方でも適任者探しに苦慮しているはずです。

もう1つの新語ICCについては、秋山氏の詳しい経歴とともに、別に投稿することにします。


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