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Topマーケティング戦略広告 > アピオス、クリスタルなど、ブランド名しか訴求しないテレビCMの効果

アピオス、クリスタルなど、ブランド名しか訴求しないテレビCMの効果

2005年04月01日

昨日の投稿(『きっかけはフジテレビ、結末はインターネット』は評価できない(少数意見))の続きで、メディアミックスというマーケティング関連の話題です。自分のメディア内で完結できない不完全なメッセージの出し方は、送り手としての責任を全うしていないというのが私の考えです。しかし、今後はテレビという単一メディアだけでは完結しない、メディアミックスを前提とした放映内容が増えてくることは間違いないと思います。

その兆候は、最近のテレビCM に顕著に見ることができるからです。元々テレビは、一度に均質な情報を不特定多数のユーザに対して伝達することができるメディアです。マーケティング的には、テレビはターゲットを限定しない、いわゆるマス・マーケティング(広く・浅く型)に最適な手段ということになります。幅広いユーザ層をターゲットとする一般消費財を扱うスポンサーにとっては、テレビ CM には依然として大きな効果が期待できます。

一方、一般消費財ではない商品やサービスを扱うスポンサー企業にとっては、マス・マーケティングとは反対の、狭く・深く型のマーケティングの方が費用対効果は高くなります。このようなニーズに答えるのが、最近急速に普及している グーグルのアドセンスに代表される「記事内容連動型広告」です。この新種の広告では、あらかじめ記事内容に興味を示したユーザに対して広告が示されることになるので、ターゲット・マーティングが可能になります。

このターゲット・マーケティングの考え方を延長すると、テレビには最初からメッセージを全てを訴求するのではなく、一部のターゲットユーザの関心を引くきっかけとしての役割しか期待しないという発想が生まれてきます。例えば、このブログでも取り上げたことのある富士ゼロックスの「Apeos(アピオス)」は、この発想に基づいた CM だと考えられます(何度も見せられているうちに Apeos(アピオス)の CM にウンザリする(少数意見)Apeosのティーザー・マーケティングは富士ゼロックスの独自路線の第一歩)。

CM の中では、Apeos が何を意味するのが詳しく語られることはありません。この狙いは、視聴者に耳慣れない言葉 Apeos を覚えもらうことにあります。したがって、テレビCM をフォローする形で展開する新聞、雑誌広告を読んでもらうためのきっかけ(Lead)になれば成功といえます。それを読んだ人間が(例えば私のように)「大げさなCMを打ってるくせに、結局ただの複合機じゃないの」という感想も持ったとしても、それは CM の問題ではありません。製品の問題です。結果はともあれ、ユーザの興味を引くことができたのであれば、CM としては成功したと判断してよいでしょう。

富士ゼロックスは、Apeos という新ブランドの認知度を上げるために、テレビ以外のメディアでも、一大プロモーションを展開しています(Apeos 広告作品紹介)。媒体特性に応じてメディア・ミックスも考えられているようです。それなりの広告量を投入しているためか、Apeos をグーグルで検索すると、ちゃんと富士ゼロックスのサイトが最初に表示されるようなっています。 ティーザー広告という手法に対する好みの問題はありますが、それなりの話題提供にはなったのではないでしょか。

もう1つ、何をやっている会社なのかが CM を見ただけでは、見当がつかないものを見つけました。エレベーターの中で大勢の人間が「クリスタル」と合唱しているCMです。分からない時は、いつものようにグーグルで調べることになります。「クリスタル」関係の色々なキーワードで検索しても、それらしい会社は見つけられません。結局、かなりの時間を費やして、この CM が人材派遣会社のクリスタルスタッフのものであることが分かりました。Apeos に比べると、情報量が少ないので探すのに苦労しました。率直に言って、このCMには次のような問題があります。

  1. クリスタルという一般名詞を連呼されるだけでは、これが人材派遣のクリスタルスタッフのことを指していると理解できる人が少ない
  2. きっかえを与えるだけの CM としては、他メディアでの詳細情報のフォロー広告も少ないので、サービスの内容が正確に理解される可能性も低い
  3. 広告のキーワードであるクリスタルから、検索エンジン経由でクリスタルスタッフに到達することも極めて困難である

個人的には、クリスタルの CM 効果には疑問を感じます。そもそもクリスタルスタッフという会社を知っている人に対してだけに向けたメッセージなのでしょうか? そうであれば、いまさらネーミングの訴求しかしないことは、あまり意味があるとは思えません。また、ブランドの訴求の仕方も疑問です。覚えてもらいたいのはクリスタルではなく、クリスタルスタッフのはずですので、後者の名前で連呼されるべきでしょう。一応「スタッフ」という名前が入っていれば、この会社は人材派遣会社であると想像してもらえる可能性も高まるはずです。

なお、余談にはなりますが、「クリスタル」で検索して最初に表示されるのはAVのクリスタル映像です。男性には魅力的なコンテンツが載っているサイトです。検索過程で、クリスタル映像の方に寄り道をしてしまう人も出てきたりすると、クリスタルスタッフまで到達できる可能性はさらに低くなります。「クリスタルスタッフ」という名前が浸透するようなマーケティング努力が必要だと思います。

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コメント

勉強になりました。
毎日数多くのCMがテレビで流れていますが
その中で「成功」するものはほんの一部なんですね。

うちの兄が、何の会社か分からない・・と言って、そのCMの話をしていたので、調べてました。分かってよかったです。感謝!

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