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従業員賃金不払い、FC店舗廃業、原田体制の日本マクドナルドに不満続出

2005年08月02日

このブログでも再三のわたり、日本マクドナルドの100円メニューを基本にした『バリュー戦略』の継続に疑問を呈してきましたが、同社の原田泳幸社長は、バリュー戦略の失敗を認めようとはしません。表面上は強気を崩さないマクドナルドですが、その内部に溜まった不満のマグマは予想以上に大きいようです。 情報源は、『内部資料で明らかになった日本マクドナルドの窮地』(週刊ダイヤモンド 2005年8月6日号 14-15ページ)です。

日本マクドナルドによれば、「今期上半期の連結業績は、8億~9億円の営業利益となった模様」という。かろうじて、営業黒字を維持したものの、仮に、フランチャイズ(FC)店舗から入る収益(FC収入―FC収入原価)約40億~50億円(半期分)がなければ、営業赤字に転落している。

つまり、直営店は実質的に営業赤字に陥っており、総店舗数の3割を占めるFC店舗の存在がなければ、黒字を出せない財務体質になっているのだ。

マクドナルドの店舗形態には、本社直営店とフランチャイズ店舗の2種類があります。数の上では3割しかないFC店舗が本社に収めるロイヤルティが、直営店舗の赤字の穴埋めに使われているわけです。ロイヤルティはあくまでも売上をベースに計算されるため、FC店舗にとっては利益が出なくても、売上が増える限り上納金の負担が増えていく仕組みです。収益に結びつかない『バリュー戦略』による売上至上主義は、FC店舗にとって悪夢でしかありません。

それでは、なぜ採算を度外視しても日本マクドナルドは、売上増を最優先しているのでしょうか? 日本マクドナルドは米国本社から見れば、ただの子会社でしかありませんし、子会社の社長でしかない原田泳幸氏も、本社から自由に経営を任されているわけではありません。したがって、日本マクドナルドは米国本社に対して、不可能とも思える売上目標達成をコミットせざるをえない立場にあります。

「2008年に全店舗合計の売上高を6000億円にする」という計画で、これは現状の売上高の1.5倍に匹敵する。この中期目標の達成こそが、原田泳幸社長の最優先ミッションなのだ。 このため、利益を圧迫する売り上げ拡大策が講じられた。具体化された施策が、「100円メニューの発売」であり、「営業時間の延長」であり、「クーポン券(割引券)の乱発」であった。

これらの施策は想定していた売上高が未達に終わっただけではなく、大幅なコスト増をもたらした。たとえば、対売上高人件費比率(直営店)では、1~3月は約29%だったが、6月単月では約33%と4ポイントも上昇している。

外資系企業トップにとっては、本社に対するコミットメントは絶対達成しなければなりません。できなければ、即クビということになります。しかし、マクドナルド内部でも100円メニューの継続を含め、原田体制への疑問の声はかなり上がってきているようです。

店舗の従業員・アルバイトスタッフが疲弊し切っているのである。6月の既存店の客数は前年比20.2%増と驚異的な支持を得ながらも、既存店売上高はマイナスになった。いかに来店客数が増えようとも、結果がついてこない。「仕事の充実感、成果が得られず、本社の施策に疑問を感じている」(店舗スタッフ)。

それでも、傷んだ財務構造を軌道修正するチャンスはあった。「消費者に頭を下げてでも、100円メニューは廃止するべきなのではないか」。4月、5月の営業成績を踏まえて、日本マクドナルド社内では、多数の声が上がった。

しかし、原田社長以下、米国役員メンバーが下した結論は、「100円メニューの続行、500円台セットの値上げ」だった。100円メニューの続行は、原田社長の意思というよりも、米国幹部の意向が強かったという。低価格戦略は、米国やブラジルで成功を収めているため、失敗を認める決断ができなかったようだ。

「社員が意見を言う機会は与えられるのだが、会議の結論はいつも決まっている」(幹部)。こんな事態が続けば、日本市場を知り尽くした有能な社員は意見することをやめてしまうだろう。

そんな社員の不満に火をつけるような労働実態も報告されています。情報源は、マック:勤務30分未満切り捨て 2年間の未払い分返還です。

日本マクドナルドホールディングス(HD)は1日、アルバイトの勤務時間と社員の時間外勤務について、これまで30分未満の部分を切り捨てて計算し、その分の賃金を支払っていなかったと発表した。厚生労働省は月間の総労働時間全体から30分未満の部分の切り捨ては認めているが、同社は毎日の労働時間から30分未満の分を切り捨てていた。同社はアルバイトや社員約10万人に、過去2年間分の未払い分を返還する。

同社によると、5月下旬に兵庫県内の労働基準監督署から「社員の超過勤務手当の計算方法が不適切だ」と改善を求められた。全国3771店で同様の方法で労働時間を集計していたため、同社はとりあえず直営店で1日から労働時間を1分単位で計算することに改めた。30分未満の部分の切り捨てについて、同社は「時期は不明だが、以前から行われていた」(広報)と説明している。

さらにフランチャイズ・オーナーの方でも、日本マクドナルドを相手に訴訟に出るという動きも出てきましたから、ことは深刻です。

約400人のオーナーがいるとされるが、すでに、昨年から今年にかけて、20人以上のオーナーが廃業に追い込まれている。今年4月、オーナー会は、異例の「要望書」を本社に提出し、利益を度外視した施策に異論を唱えた。それを受けて、翌五月には、本社とオーナー会とのあいだで会合の席が設けられたものの、お互いの溝は埋まらなかった。

2回目の会合は、中間決算発表後の八月中旬に行なわれる。本社の回答次第では、「訴訟を辞さないオーナーも出てくる」(幹部)。かつてないほどに、オーナーと本社との関係は悪化している。

米国本社べったりの原田体制に対する不満が一挙に爆発しそうな様相を呈して気ました。社員、アルバイトへの賃金の不払い、フランチャイズ・オーナーの悲鳴の声と続けば、昔よく聞いた「搾取」という言葉さえ連想してもおかしくない状況でしょう。

日本マクドナルドは、株式の50%近くを米国本社が握るとはいえ、日本で公開している企業なので、それ以外の日本の株主に対する責任もあるはずです。当面の利益を度外視してマーケットシェア・アップを狙うような経営方針に、納得できない株主も少なくないでしょう。

マクドナルドを日本で立ち上げたのは、故藤田田氏です。その藤田氏の日本マクドナルドの株式も遺族がすべて売却しました(マック株:藤田田氏の一族、独立系投資会社に売却)。これで創業家一族と現在のマクドナルドとの関係は一切なくなったことになります。

故藤田氏も経営の私物化が批判され、晩節を汚したという風評のあった人物ではあります。しかしながら、藤田氏は米国本社の意向よりも、日本市場のことを第一に考えていたことは確かでしょう。そこが、本社の気に障るところだったわけです。今さら藤田時代の方がよかったとは言うつもりはありません。しかし、そんな声があがってきても不思議ではないように思えるほど、現在のマクドナルドを蝕む病巣は深刻なように感じられます。


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コメント

藤田氏は日本にマックを持ち込む交渉を米国本社のオーナー クロック氏とのやりとりするなかで、「アドバイスは受けても、命令は受けない」という条件を取り付け、日本市場にあった独自のやり方で成功させました。

例えば当時の米国マックは、郊外のロードサイド店展開が主流でしたが、藤田氏は銀座三越1Fに第1号店をオープンさせ、都市型出店を展開し、その戦略が全世界のマックへ導入されていきます。他にも藤田氏の知恵が全世界のマックへ輸出されています。

当時とは時代も違うし、藤田氏と原田氏の立場も違いますが、経営とは売上ではなく、利益、CFでよしあしを判断すべきだと思います。

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