米国流に判断したとしても、佐藤ゆかり氏の失地回復はかなり難しい
2005年09月02日
前回の投稿『踊る佐藤ゆかり氏不倫メール報道 刺客候補が自爆候補に変わる瞬間』の自己フォローです。週刊文春の記事は、当然のように他のマスコミでも話題となっています(『ゆかりタン不倫メール波紋「離婚成立前しかも二股」』)。佐藤ゆかり氏の話題も、今後は舞台をメジャーなメディアに移すことになるでしょう。 材料出尽く感も強くなってきたので、同氏に関する投稿はしばらく見送ることになるかもしれません。
最後に少し冷静になって、不倫メール騒動の影響を分析してみたいと思います。よく考えてみれば、政治家が不倫関係のスキャンダルにまみれるのは、決して珍しいことではありません。また、日本に限った話でもありません。その中で全世界を驚かせたものといえば、やはり1998年に発覚したクリントン米国大統領の「不適切な行為」でしょう。
「妻子ある現職の大統領が、大統領執務室において、かなり年下の実習生と」、その種の行為に及んだわけですから、その不道徳性は佐藤ゆかり氏の場合の比ではありません。佐藤氏の場合は、「かつて、一私人が、私的な空間において、分別をわきまえてしかるべき年齢の社会人と」、不倫行為に及んだ過去があるということです。
クリントン大統領の場合は、弾劾裁判に至っても、支持率が大幅に落ち込んだわけではありません。米国であれば、佐藤氏程度のスキャンダルは、大きな問題とならない「過去の話」として扱われる可能性もあります。この背景には、米国人と日本人との間の判断基準において、大きな違いがあることが考えられます。情報源は、『西洋人と東洋人では映像の見方や記憶の仕方が異なる、米国の研究』です。
異なる文化を背景に持つ人は異なる認識の仕方をしている、とする研究報告が増えている。米Michigan大学のHannah Faye Chua氏らは、米国人と中国人に同じ写真を見せて眼の動きを観察し、背景と対象物に対する視線の向け方が異なることを見出した。これは、認識処理の違いが、知覚の段階から始まっていることを示唆する。
知覚判断と記憶における文化的な差に関する研究は、これまでも様々なアプローチで行われてきた。
西洋人は、中心となる対象物に注目する(分析的)が、東洋人は背景にも注意を払い、背景との関係や類似性を基に対象物を認識する(全体的)傾向がある。物事を説明するときも、西洋人は対象物について集中的に説明するが、東洋人は背景の要因との関係という観点から説明する、という報告がある。
記憶についても同様だ。著者たちは先に、水中の風景を見せ、何を見たか思い出すよう求める実験を行った。米国人は、大きく明るい色で、素早く動くものを中心に記憶していたが、日本人は、背景の岩や水の色、小さな動かないものなどについて、米国人より60%多く記憶していたという。
この調査結果は、米国人はモノゴトの明るいところに目を向けるのに対して、日本人は全体像を把握する傾向にあることを物語っています。この傾向は、人物評価に関しても当てはまるとは、考えられないでしょうか? 米国人は核心部分を中心に人物の資質を判断し、日本人は周辺部分も加味して判断しようとするのではないか、という仮説です。
政治家であれば、人物評価の対象となるのは、あくまでの過去の実績や政治的手腕であり、それ以外の情報は判断基準として重要な意味を持たないというのが、米国流です。 クリントン大統領の場合は、大統領の執務室で行われた行為だとしても、本質的には私的な行為の範疇にあたるものであり、その政治手腕とは無関係と判断されたわけです。
日本人の人物評価は総合評価が基本であり、直接業務遂行能力とは無関係と思われる要素も、判断材料とされます。「あの人は仕事ができるが、家庭環境に問題あり」とかが、人物評の典型でしょう。総合評価が行き過ぎると、人物のアラを探す減点主義につながります。1つの突出した能力に優れているだけでは、高評価をもらえないのが日本社会です。
話を佐藤ゆかり候補の場合に戻します。米国流の判断基準が適用されれば、今回の騒動は、佐藤氏の政治家としての将来の障害とはならないのでしょうか?話はそう単純ではありません。クリントン大統領の場合は、不倫事件発覚以前に、十分な政治的手腕を証明する実績がありました。だからこそ、政治家としてのクリントン大統領に対する信任が揺るがなかったのです。
一方、佐藤氏の場合は政治家としての実績はなく、したがってその政治手腕も全くの未知数です。あるのはエコノミストの実績だけです。有権者はその実績から、政治家としての業務遂行能力を類推するしかありません。さらに佐藤氏の場合で問題となるのは、不倫騒動とは別に伝えられるエコノミストとしての実績にも、芳しいものがほとんどないということです。これでは、米国流にプラスの部分のみを取り上げようとしても、それもできないことになります。
今回の騒動に関して佐藤陣営が、どのような手段で失地回復を狙おうとしているのかは、現時点ではわかりません。不倫問題に関しては、今まで通りに「個人情報につきノーコメント」を繰り返すだけ、というのが私の予想です。この種の話題は、反論しても泥沼にはまるだけでしょうから。
唯一残された手段といえば、エコノミストとしての実績を再度輝かせることです。政治家が本来的に問われるべき能力のプラス面を強調することにより、私生活でのマイナス面を打ち消そうとする作戦です。しかし、現状から判断する限り、エコノミストとしての業績をかさ上げすることも、難しそうな感じです。もちろん、有力な隠し玉がないことを前提とした話ですが...
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