innovators として認知されたオタクは influencers に成長できる?
2005年10月08日
予想通り、野村総研(NRI)が発表した『オタク市場:12分野で172万人 規模は4110億』を、マスコミ各社がこぞって取り上げました。話題づくりという点では、NRIの作戦は大成功でしょう。大手新聞社は発表内容をそのまま掲載しただけですが、発表会のプレゼン資料を含めて、詳しくレポートしたネットメディアもあります(オタクは遍在する――NRIが示す「5人のオタクたち」)。興味のある方は、そちらをご覧ください。
NRIが推測した市場規模の大きさの当否はともかくとして、オタクと一般人の垣根が低くなったので、オタクがProduct Diffusion Curve上の innovators の役割を担う可能性が高くなる という指摘には賛成です。
それでは、マーケターはオタクの動向をウォッチさえしていれば、ヒット商品にありつけることになるのかというと、現実はそう簡単ではありません。オタクと一般人の垣根が低くなってとはいえ、「オタク=一般人」ではないので、オタクでウケたものが、そのままの形で一般人にもヒットするわけではありません。ヒットを確実なものにするには、一般人向けに微調整することが必要です。
例えば、「電車男」をテレビドラマ化したフジテレビの鈴木吉弘氏は、原作を一般向けドラマに焼き直すのに、かなりの試行錯誤をしています。 情報源は、ドラマ『電車男』、ヒットまでの道のりです。
――原作は最後の告白まで、あまり波乱万丈もなく進みます。11話もある連ドラの展開の仕方を悩んだと思うのですが。
鈴木 そうですね。原作にない部分で何を足すかってところですね。若松(央樹)プロデューサーや演出家らと話すなかで、正直、僕は三角関係があったり、元彼が登場したりと、いわゆる普通の恋愛ドラマの要素を取り入れないと11話持たないと思っていたのです。
でも、演出をメインで担当する武内(英樹)監督は、「(電車男があこがれのエルメスに電話をかける、かけないで悩むなど)ちまちました話を大げさに盛り上げることで、定番のドラマチックな展開がないままでいける」と最初から自信を持ってましたね。
ほかにもそう言う人がいて、それで僕も揺らぎ始めて。でもまだ不安はあるわけです。そこで、恋敵役の桜井(豊原功補)や陣釜さん(白石美帆)などは、恋愛路線、ギャグ路線どっちに転んでも対応できるように配置したのです。
――連ドラでよく行われるリスクヘッジですね(笑)。あの『踊る大捜査線』も、刑事路線がコケたときに、恋愛路線に軌道修正することを見込んで水野美紀さんをキャスティングしたようですし。それで、とりあえずは大きな起伏のない、フラット路線でスタートしたのですか?
鈴木 実はまだ揺らいでいたところもあって、もし1話がうまくいかなかったときのためにと、いわゆる恋愛ものドラマの要素も入れながら台本作りを進めました。その揺らぎがなくなったのは、1話目の映像が仕上がったのを見てからですね。これがホント面白かった。
でも、そのころには5話目までの脚本ができていました。なので、6話から一気にギャグ路線に戻して突っ走った感じでしたね。
話を、オタクを巡るマーケティングの可能性に戻すことにします。次なるテーマは、「innovators と認知されつつあるオタクが、influencers になる可能性があるのか」です。その前に、マーケティングにおける influencers の重要性を述べた事例として、企業のRSS採用,ほんとうに時期尚早なのかを紹介します。
RSSの先進国である米国でも,RSSを利用している人は少い。米Pew Internetの調査では,昨年末と古い調査だが,インターネットユーザーの5%しかRSSリーダを使っていない。最近のForrester Researchのレポートではもっと少なく,2%という寂しい結果になっている。若年層でやっと5%に届く程度だ。
それじゃ,あわててRSSを採用しなくてもよいのだろうか。確かに,RSSフィードで更新情報などを配信しても,それを読みとるRSSリーダを使っている人は,ほんの一握りの人たちだけ。ほとんどのインターネットユーザーには届いてないのだ。だが,見落としてならないことがある。RSSの伝播力の大きさである。
RSSリーダの利用者が5%であるが,その5%の人たちの多くは,いわゆるインフルエンサーであるのだ。彼らの発言がインターネットの世界で大きな影響力を及ぼしている。情報収集に熱心なジャーナリスト,アナリスト,ブロガーを対象にしたNookedのInfluencer survey では,87%もの回答者がRSSリーダーを使って,RSSフィードをチェックしているという。
米国のメディアサイトが競ってニュース更新などをRSS形式で配信するのは,そうしたアクティブなインフルエンサーに素早く確実にリーチできるためである。
オタクが inflencers になるには、他人に強く働きかける意志と行動力を持たなければなりません。従来のオタクのイメージといえば、自分の殻に閉じこもるといった内向性の強いものでした。大きなギャップがあります。 ところが、NRIの因子分析の結果には、『タイプ4:社交派強がりオタク』として、新種のオタクの存在が報告されています。
『ガンダム』の例が登場すると、説明に一段と説得力が増します。改めてこのタイプの因子分析のグラフを見ると、縦長の異様さにわかります。モノを集めたり、創ったりする欲求は弱いが、他人と共感を得たい欲求が強いタイプです。要するに対人欲求の塊で、何でもいいから他人に薦めることによって喜びを感じる人間です。
このタイプの人間も確かに存在します。俗に言う「薦め魔」です。こういう人間が上司にいたりすると、適当にやり過ごすのに往生することになります。しかし、薦め魔をオタクの1つのタイプと類型化するのは、無理がありすぎるように思います。また、野村総研の調査に対する批判になってしまいましたが...
この調査に疑念が生じた以上、「オタクも inflencers になりえる」という仮説は否定されたというのが、今回の結論です。つまらない話になってゴメンナサイ。
★恐縮ですが、『人気ブログランキング』を クリック してください。
| オタク市場の研究 | |
![]() | 野村総合研究所オタク市場予測チーム 東洋経済新報社 2005-10-14 売り上げランキング : 3,633 Amazonで詳しく見る by G-Tools |



