業績不振のマクドナルド原田泳幸CEOを次期CEOの有力候補と考える会社
2005年10月14日
マクドナルドが4月にスタートした新バリュー戦略が、期待通りの来客増にはつながらず、今期の純利益は前期比99%減となる見込みです。加えて、直営店店長の残業代の支払い問題の交渉は決裂し、決着は法廷に場を移すことになりました。このため、アップルコンピュータ日本法人社長から転身し、就任1年目に黒字転換を達成した原田泳幸CEOにの手腕にも、疑問の声があがっています。 情報源は、『マック「利益ゼロ」――原田路線、挫折か踊り場か、ワンコイン戦略手直し』(2005年10月10日 日経流通新聞MJ 1面)です。
過去の経営と決別するため、藤田田氏の作り上げた企業風土を刷新することが原田氏の最大の課題だった。だが、同氏の経営意思が完全に浸透しないままに戦略を転換したことが業績悪化につながった面も否定できない。
藤田時代の役員は現経営陣にほとんど見あたらない。社長だった八木康行氏はリンガーハットに転出、副社長の石田正氏は娯楽機器のサミー専務、このほか営業担当の責任者らは相次ぎ他の外食企業に去った。一方、新経営陣には大宮裕子氏や好本一郎氏などアップルコンピュータ時代のメンバーや、外部からヘッドハンティングし、参謀を総入れ替えした。
「今までは経営計画すらまともに作れない組織だった。日本マクドナルドの社員は外部で通用する人材として成長する必要がある」と原田氏は話す。グローバル企業の一員であり、年功序列ではなく、実力主義の組織への脱皮を訴える。ビジョンを示すだけでなく、現場社員との対話の場を設けるなど風土改革に奔走した。
危機感を覚えた米国本社の主導で、経営陣を解体した格好だが、藤田時代から連綿と続く一家意識だけはぬぐい去れない。幹部が外部の人材に占められ、プロパー社員の閉塞感も強まる。
事実、外部に社内機密が漏れたり、現役店長が会社に残業代の支払いを要求するなどほころびは後を絶たない。一部のフランチャイズからは「原田氏は利益に対する関心が薄い。だから廃業が後を絶たない」との批判も強い。
原田CEOが導入した100円メニューを柱とした新バリュー戦略は、日本マーケットの独自戦略ではありません。元々米国をはじめ、ドイツ、ブラジルでも成功した実績のあるワン・コイン・メニューを、日本で適用したものです。いわば、原田CEOの率いる日本法人がマクドナルドのグローバル戦略に従った結果です。
日本のローカル・マーケット事情を無視した、グローバル戦略の安直な導入が、今回の業績不振の原因とまでは、現時点では言い切ることはできません。但し、原田体制になってマクドナルド本社の意向に従う面が増えたことは、間違いありません。米国本社と日本の藤田商店の合弁事業に近い性格であったのが、故藤田田社長時代の日本マクドナルドです。
個性派経営者として知られた藤田氏は、必ずしも米国本社の意向には従わずに、日本独自の路線を歩むところもありました。その藤田色を一掃するために米国本社が選んだのが、外資系トップの経験のある原田氏です。藤田氏と違って、原田氏は日本マクドナルドの大株主ではありません。いわば「雇われ社長」です。日本の特殊性を主張して、本社の方針に異を唱える場面は、格段に少なくなって当然でしょう。
外資系企業の本社が現地子会社のトップに期待するのは、本社の意向に沿ったローカル・オペレーションを忠実に実行することです。有能だとしても、本社の意向を無視して独自路線を突っ走るようなトップは、好まれません。逆に原田CEOのように本社の指示に従うトップは、本社にとって格好の人材です。
実際に、苦境に立たされているはずの原田CEOを、次期CEOに迎えると噂される会社さえあります。今やウォルマート傘下の外資系企業となった西友です。情報源は、『ウォルマート子会社化で危機回避 今後の焦点は次期トップ選び 西友』(2005年10月15日 週刊ダイヤモンド 21ページ)です。
西友が今年中に米ウォルマートの子会社になることが正式決定した。子会社化に伴う第三者割当増資で財務基盤も抜本的に改善される。
今後の焦点は渡邊紀征CEOの後継者選びだ。というのも、赤字決算の責を引き、急きょ辞任した木内政雄・前CEOに代わり渡邊取締役会議長がCEOに復帰したのは、緊急避難的な措置だったからだ。渡邊CEO自身も「現時点で能力を持ち合わせる候補者がいなかった。経営の継続性を保つためやむをえなかった」と認めている。現在、50代前後の幹部候補約40人を対象とした研修が急ピッチで行なわれている。
また、社内外での後継者候補も浮上してきた。まず、今年3月から社外取締役になった日本マクドナルドホールディングスの原田泳幸社長。グローバル企業の経営実績を買われての就任だったが、本人も世界最大の小売業・ウォルマートの経営手法にひとかたならぬ関心を持っており、西友の経営にも興味を持っているとされる。取締役会への出席も就任以来ほぼ皆勤に近いという。本人はマクドナルド社長辞任を強く否定しているが、中長期的に見た場合、候補になる可能性は否定できない。
西友の業績不振の大きな理由の1つは、ウォルマート流のEDLP(Everyday Low Price)戦略への転換にあります。日本でEDLP戦略が上手くいかないのは、「本日の特売品」といった形で、品目毎に価格を変動させた方が、日本の消費者が好むからだと言われています。これも、グローバルでの統一戦略が、日本マーケットでは機能しない可能性を示す一例かもしれません。
もしマクドナルドの原田CEOが、西友へ転身することになれば、こういうことになります。本社の戦略に従った結果で業績不振に陥った会社のトップが、同様な状況にある別の会社のトップになるわけです。戦略を考えるのは外国本社なので、日本子会社のトップはその戦略の忠実な履行に努めていれば、外資系企業の就職先はいくらでもあるということでしょうか?
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コメント
経営の事や財界の事には疎いですが、マックを始めとして、会社の経営は目先主義に走りすぎているのでは。と感じます。
20世紀の経営戦略は既に使えなくなっている昨今、過去は捨てて利益のみではない、義を尊ぶ経営に切り替えていかないと取り残されていくのでは。そう思います。
打ち上げ花火ではなく、炭火のように力強く燃え続ける。
Posted by: 石川聡 | 2005年10月16日 10:29