カネがすべての産業再生機構のカネボウ・スポンサー選びと企業買収問題
2005年10月18日
産業再生機構によるカネボウのスポンサー選びが、今年末に行われる予定の第3次入札に向けて最終段階に入りました。第2次入札を終えても、花王がガチガチの本命と目されている状況は、この前の投稿時点と何ら変わりありません(できレースと噂される産業再生機構のカネボウ入札に参加する各社の思惑)。
変わったところと言えば、産業再生機構側の態度です。ここに来て再生機構は、「花王本命説」を打ち消すのにやっきになり始めています。機構にとっては、"The party is over" と思われてしまっては困る事情があるのです。 情報源は、『カネボウで焦る再生機構 売却先の選定、「価格で決める」に豹変』(2005年10月17日 日経ビジネス 14ページ)です。
パートナーの組み替えを促しては最後までレースが盛り上がるように画策し、花王本命説を否定しては他陣営に気を持たせる。これらの背後に浮かび上がるのは、競争を煽ることで売却額を少しでも引き上げようともがく再生機構の姿だ。これまでカネボウ2社には4000億円以上が注ぎ込まれた。
入札の目玉は化粧品の専門店ネットワーク。ここに興味を持つスポンサー候補の事業会社は、仏ロレアルの撤退で花王だけになった。ファンドがどういう価格をつけるかは読みにくい。スポンサーが最後まで本気で入札に挑むように仕向けなければ、売却額が予想を大幅に下回る可能性もある。
「(売却後に事業を切り離すかどうかなど)再生のやり方は関係ない。すべては金額。一番高い金額を入れたところがスポンサーに決まる」。再生機構の幹部はこう語る。ダイエーなどのスポンサー選定では、価格よりも事業が発展するビジネスモデルをどう描くかを重視してきた。価格だけでは決めないという「国の意地」があったが、今回はどうやら違う。
2次入札に参加した事業会社は、結局花王とコーセーの2社だけになりました。当初興味を示していたP&Gやロレアルが応札しなかったのは、再生機構側が外資は無理と考えているといった噂が流れたからです。また、資生堂が退いたのは、事業構造的にカネボウとのシナジーが期待できないという別の理由です。
2次入札に参加しなかった外資系の会社も、3次入札の時には再度グループ企業の1社として加わることは可能です。このため、再生機構側も「すべてが金額次第なので、外資系でもOK」と、一転して秋波を送リ始めたわけです。
今さら再生機構の呼びかけに応じて加わるような外資系の事業会社は、いるのでしょうか? 所詮、花王の提示金額の釣り上げを目的とした、噛ませ犬の役回りでしかないことを知りながら... もし、花王、コーセー以外の外資系が入ったグループが、3次入札で最高金額を提示することになったら、再生機構はどうするつもりなんでしょうか? 国民の血税を投じて救済したカネボウが、外資の傘下に入るのを本気で認めるのでしょうか?
現在、阪神電鉄やTBSの問題を契機に、企業買収の話題がマスコミを再び騒がせています。個々の背景事情は若干違いますが、これらの買収に反対する意見の共通点は、「カネさえつめば会社を買えるわけではない」ということにあります。要するに純粋な資本の論理の否定です。
一方、応札金額だけで決めるという再生機構の考えは、この対極をなすものです。4000億円の税金を投じたカネボウが、最も高い根付けをしたという理由だけ外資の手に渡った時には、世論は納得すると考えているのでしょうか? もちろん、回収する金額の最大化を目指す再生機構の立場も理解できますが...
本来、再生機構の役割は、これからの日本における企業再生モデルを示すことで、スポンサーの選択基準にも、行政の意向が強く反映されていると考えるのが当然です。 だとすれば、放送局にしろ、プロ野球球団にしろ、高い金額を提示するところが所有すべきといった発想が出て来ないのは、釈然としません。
いまどき、放送局に外資規制を適用するのも、時代錯誤の感じがします。結局は、行政の都合によるダブル・スタンダードではないでしょうか? 個人的には、再生機構の冨山COOあたりに、最近の買収騒動についての意見を聞いてみたいところです。
【おまけ】
More Beer! これもカネボウ製品。一見すると缶ビールのようですが...
・生薬(高麗人参など)の温浴効果で血行と発汗を促進。・お風呂上りの爽快な一杯を実現。
※これは飲み物ではありません。
※ビール又はビール酵母を原料とした入浴剤ではありません。
※ビールを直接、浴槽に入れて使用するものではありません。
※入浴中の飲酒は大変危険ですのでお止めください。
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