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バリュー戦略が失敗してもマクドナルド原田CEOが自信満々の姿を崩さない理由

2005年10月20日

バリュー戦略導入による業績の低迷、古参社員の不満、店長の残業代支払い問題等を抱えているのが、現在の日本マクドナルドです。ここに来て原田CEOの経営手腕を疑問視する声も聞こえ始めています。そんな渦中の原田氏へのインタビュー記事が、日経流通新聞に掲載されました。

まず最初は、日本のローカルマーケットの事情を無視して、本社からごり押しされたバリュー戦略を展開したことが、今日の業績不振の理由では? という質問に関しては、こう答えています。情報源は、『日本マクドナルドの原田CEOに聞く――価格体系変えない、「シェア回復を重視」』(2005年10月19日 日経流通新聞MJ 19面)です。

――バリュー戦略など日本マクドナルドは米国本社の意向通りに動いているだけなのか。

「日本法人はあくまで独立法人。株主が主人であり、当社のボードミーティングが最高の意思決定機関であることは変わらない。ただ、過去2年で業績を回復したのは米国本社が果たした役割が大きかったのは間違いない。

――ではバリュー戦略は原田CEOの一存で撤回もできるのか。

「もちろんそうだ。バリュー戦略が利益を損なうということも予見され、反対意見もあった。だが、私が百円でいけと言った。既存店売上高で見ると、2004年度は前の年度実績に対して3.3%増、今期も2.7%増と2年で6%伸ばすことになる。ここまで伸びている企業が外食産業にあるのかと聞きたい」

米国本社の傀儡説はバッサリと切り捨てられました。バリュー戦略の狙いは、百円メニューを餌にして収益率の高い関連品の販売を伸ばすことにあったはずです。客単価が上昇しないままで、来店客数が増えても、見かけ上の売上が増えるだけで、収益率は悪化するだけです。 その点を問いただされた原田氏は、こう答えています。

――でも利益が出ていない。拙速ではなかったのか。

「本来は百円メニューとともに新メニューを出すのが最適だろう。だが、シェアが低下している中で、待つことはできない。残念ながら見誤ったことは業績修正に対する批判が想像以上に厳しかったことだ。戦略には今後も変更はない」

業績の低迷だけでなく、原田CEOの方針に関しては社員やフランチャイズ・オーナーから不満の声が上がっているとの噂もあります。

――賃金問題では店長からも残業代の支払い要求が出た。現場との意思疎通はできているか。

「アップルコンピュータ時代にも工場閉鎖などリストラに着手し、厳しい批判記事が出た。変革期には痛みを伴うものだ。幹部社員を見ても、かつては10人が1つの経験をしているだけだったが、今は10の経験をしたメンバーが10人いて経営の質は上がっている」

記事の書き方が悪いのでしょうが、いまひとつわかりにくい説明です。おそらく現在の社員は、10種類の仕事をこなせるマルチ・タレントになったという意味でしょう。慣れない仕事を増やされた社員の立場からすれば、これは労働強化策でしかないといった見方もできます。

――今後の営業立て直し策は。

「収益をにらんだ戦術的な修正はともかく、価格体系は大きく変えない。えびフィレオなど付加価値の高い商品を投入するとともに、他国で成功したハンバーガーなどから日本で支持されそうな商品を探している」

残念ながら、迫力十分の具体的なプランとは言えません。この程度の対策で納得する株主も少ないでしょう。しかしながら、このインタビューからは、原田CEOは現在のマクドナルドの戦略に揺るぎない自信を持っている様子は伝わります。本心はともかくも、現在のような状況の中でトップが少しでも不安な素振りを見せれば、社員の動揺を招くだけなので、正しい態度であることは間違いありません。

以前の投稿で、スーパーの西友が原田CEOを次期社長候補にと狙っている噂話を紹介しました(業績不振のマクドナルド原田泳幸CEOを次期CEOの有力候補と考える会社)。この疑惑に対する答としては、別の記事を紹介します。 情報源は、マックの原田氏は今・・・です。

マクドナルド新商品発表会場での原田氏は、笑顔でとても元気そうだった(少なくとも表面的には)。業績の下方修正やアルバイトへの残業代未払いなどで、世間を騒がせているマックだが、客単価を下げたとされる「100円メニュー」をやめる計画はないらしい。そして、原田氏自身もマックを辞める予定は「全くない」らしい。

この記事は、アップル時代に面識のあったIT記者が、久しぶりに原田氏を見た感想を述べたものです。客観的な立場にある人間が観察した結果ですので、本当に原田氏は元気に見えるのでしょう。結局のところ、例え心中に不安を抱えていたとしても、それを表に出さない術を知っているのが原田氏なのでしょう。

この常に自信満々の姿を演出できる能力が、組織のリーダーに必要とされる理由は先ほど述べた通りです。原田氏クラスの人間には、この能力は別の意味でも重要です。内心の不安が自信のなさとして現れるような経営者を、欲しがる企業はいません。トップに迎えたいのは、あくまでも元気で自信に満ち溢れた人間です。

現在の原田氏がことさら元気そうに振舞っているのは、決して現状に満足しているわけではないでしょう。次のステップを踏むための自己演出と見るのは、ひねくれた解釈でしょうか? いずれにせよ、本人の言葉を額面通りに受け止めて、「辞める予定は全くない」と単純に決めつけたくはありません。

結局、原田氏が辞めるかどうかの判断は、マクドナルドの業績次第だと思います。減額修正した決算の結果がさらに悪化すれば、そのまま留まるのは難しくなるでしょう。反対に次回の決算発表日に、業績回復の兆しを示すことができれば、信念の「とことんやれば必ずできる」を証明したことになります。そうなれば、低迷していた株価は底を打ち、著書も再び売れ始め、万事めでたしの結果になえいます。


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