1,500万円もかかる米国MBA留学を決断する前に読むべきミンツバーグ
2006年07月28日
最近では国内で取得できる経営学修士号(MBA)も増えつつありますが、MBAの王道はやはり発祥の地の米国の大学でしょう。それでは、米国でのMBA取得を目指した場合、どれくらいの費用がかかると考えたらいいのでしょうか?
留学支援のザ・プリンストン・レビュー・オブ・ジャパンは、その金額は合計で、1,500万円になり、時には2,000万円に迫る場合もあると試算しています。 情報源は、『取得までの学費や生活費、資格の値段いくら?――MBA、600万―2,000万円』(2006年7月4日 日経産業新聞 17面)です。
最初は授業料です。
有名校ほど高く、ランキング20位内に入るビジネススクールでは年3万ドルを超える。ペンシルベニア大ウォートン校で3万7,000ドル、スタンフォード大が3万6,000ドル、マサチューセッツ工科大(MIT)が3万5,000。これが2年分かかるため700万―800万円は必要だ。
次に米国滞在中の生活費です。
生活費は授業料とほぼ同額とされ、600万円は見ておいた方がいい。「都心以外では車が不可欠。教材費も学費とは別。学生が社会人同士なので、交際費も結構かかる」という。
以上が実際に通学するのにかかる費用ですが、その前段階として大学院受験料や各種資格試験の受験料も必要になります。これも合計すると、馬鹿にはなりません。
まず英語能力テスト「TOEFL」の受験料が140ドルで、入学適性試験「GMAT」は250ドル。3―4回受ける例が多いようだ。大学院の受験料は250ドルで、受験校数は平均5―6校。このほか見学や面接などで現地に行く場合もある。これらが合計60万円ほどになる。
さらに短期間で目的の大学に合格するには、受験予備校に通う方が効率的な場合もあります。
志望理由書の書き方や面接の受け方を学び、GMAT対策を講じるために留学予備校に通う人もいる。ザ・プリンストン・レビューの受講料は50万―120万円ほどで、合格者平均は80万円。
これらをすべて合わせると、1,500万円程度になります。加えて、英語力に自信がない人の場合は語学学校の費用もかかります。会社を辞めて、受験準備をする人は、その間の生活費も見込むべきでしょう。それらの費用も足せば、総額2,000万円に及ぶケースも決して少なくないという計算になります。
さて、それほどまでに多額の費用を投じて取得したMBAが、全く価値がないだけでなく、有害ですらあるという内容の翻訳本が刊行されました。
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著者は、『戦略サファリ』、『マネジャーの仕事』等の経営学の名著を書いたヘンリー・ミンツバーグ(Henry Mintzberg) マギル大学教授です。2004年に刊行された原著『Managers Not MBAs: A Hard Look At The Soft Practice Of Managing And Management Development』は、現在でも「米国アマゾンのレビュー平均で5つ星」、という高い評価を得ています。
ビジネススクールの歴史をさかのぼり、ハーバードビジネススクール(HBS)、ペンシルベニア大ウォートン校(Wharton)といった、著名MBAコースの実態を分析した同書は、"MBAで教えるマネジメント"と、"企業の現場で必要とされるマネジメント"の違いを鋭く指摘しています。以下に、日本のアマゾンの紹介文を転載します。
業績不振の米国企業のエグゼクティブでMBA取得者の比率は90%
業績好調の米国企業のエグゼクティブでMBA取得者の比率は55%
ダメな会社ほど、ビジネススクール出身者が目立つのはなぜだろう?
「MBA幻想」にだまされるな!!米国流ビジネススクールに批判的な経営学の泰斗・ミンツバーグが正しい経営人材育成の方法をまとめた意欲作。日本ではMBAブーム真っ盛りだが、新卒でビジネススクールに入ってくる若者に数値管理やテックニックだけを教えるMBA教育は、時代遅れと一刀両断。
マネジメント教育は、現場で実践を積んだ人材を再教育する場にすべきだと強調し、企業人向けの新しいMBA教育プログラムの構築を急げと提案する。ビジネススクールの実態や歴史も概説しており、人材育成・人事担当者からMBAに関心があるビジネスマン、MBAを恐れる人までに必読のMBA解体の書。
面白いのは、ミンツバークに酷評されているHBSのレビュー誌が、ミンツバーク特集を大々的に取り上げていることです。
またミンツバーク教授の論文は、1975年、1987年と2度にわたり、マッキンゼー賞を授賞しています。そんなミンツバーク本人が計数分析を主流とするコンサルティング会社の手法にも批判的であるのは、全くもって皮肉な話です。
これらのエピソードからは、自分を評価してくれたからといって、決して批判精神を失わないミンツバーグは、今どき珍しい硬骨漢だと考えられます。
日本から留学すれば1,500万円近くの費用がかかるのが、米国のMBAです。重大な投資判断をする前には、ヘンリー・ミンツバーグの『MBAが会社を滅ぼす』を一読されることをお奨めします。
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