━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■□■□■
□■□■ 実┃ 践┃ ビ┃ ジ┃ ネ┃ ス┃ 発┃ 想┃ 法┃ Vol.11
■□■ ━┛ ━┛ ━┛ ━┛ ━┛ ━┛ ━┛ ━┛ ━┛ 2004/04/19
□■
■ ビジネスの現場で必要とされるのは、情報を知恵に変える力
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ はじめに
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
本日発行の日経系のメディア(日経新聞、日経ビジネス)に転職環境の
変化に関する記事が出ました。
今回は、この記事をネタにして、本当に雇用の流動化を促進する環境が
整備されたのかを、考えてみたいと思います。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【 1 】転職環境は整いつつあるか(心理面、制度面から考える)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
まずは、若者の転職をポジティブに評価した記事の紹介から。
■「若年層で「リベンジ転職」景気回復に乗って失われた10年を取り戻す」
日経ビジネス 2004/04/19
⇒http://nb.nikkeibp.co.jp/free/NBINDEX/20040415/105711/
<--- 引用ここから ----------------------------------------------------
リベンジ---。復讐を意味する英語が転職の今を読み解くキーワードとし
て注目されている。中途採用者の募集に、新卒時に入社がかなわなかった
人たちが捲土重来を期して挑む動きが目立ってきたためだ。失業率は頭を
打ち、新卒採用を増やす企業も目立ち始めた中、「リベンジ転職」も日本
経済の回復を示す証しと言えるのか。
(中略)
リベンジ転職の全体像を示すデータは存在しない。転職者の多くは、20代
から30代前半の比較的若い世代が中心だ。一方の採用企業は、業績好調な
自動車メーカーなど一部の「勝ち組み」だという。
(中略)
「氷河期」とも言われた厳しい就職活動を経験した若年世代は、意に沿わ
ない企業に入社した事例も多いと見られる。こうした人材が初志を抱き
続け、数年を経た後にそれを貫徹する。リベンジ転職の舞台裏には、バブル
経済とその後の「失われた10年」に翻弄された企業と個人の姿がある。
(中略)
リクルートエイブリックの瀧田幹グループマネジャーは「教授推薦に従って
十分に就職活動をしなかった人が、数年後に本当に行きたかった企業を意識
するようになった」と指摘する。中途採用で企業が重要視するのは、学歴
でも教授推薦でもなく、個人の実力だ。売り物になる技量さえあれば、
「片思い」だった企業と結ばれることも決して珍しくはなくなった。
(中略)
インテリジェンスの鎌田和彦社長は「中途採用の市場が本格的に形成され
つつある。雇用の流動化が進む中で、規模や業績に勝る企業に転職する
ことも例外ではない」と語る。
捲土重来を目指して実力を蓄える若年世代。実力重視の採用に転換し始
めた日本企業。そして、両社を結びつける土壌となった雇用の流動化。
リベンジ転職が芽吹きつつある背景には、雇用を巡る三位一体の構造変化
がある。景気回復局面ならではの一時的な現象ではないのかもしれない。
---------------------------------------------------- 引用ここまで --->
若者の早期離職率の高さが、企業にとって問題化していることは、以前
このメルマガでもご報告した通りである。
バックナンバー6号 ⇒ > http://www.planbiz.info/vol-6.html
「シチゴサン」と呼ばれるように、中卒で7割、高卒で5割、大卒で3割
の若者が、入社3年以内に会社を辞めるらしい。
日経ビジネスの記事は、当事者である若手社員の立場から見て、早期転職を
初心貫徹した結果として、ポジティブに捉えた内容となっている。
しかし、せっかく入社した社員に逃げられる会社側から見た場合は、問題
であることは変わりない。
今後は企業側も、優秀な社員を採用(Recruit)するのと同じくらいの努力を
優秀な社員を引き止める(Retention)の方にも、傾けることが必要なのは、
明白だろう。
雇用の流動化が進む背景には、確かに中途採用に対する心理面での障害
がなくなったことが大きく作用している。
それでは、果たして中途採用者に不利とならないような改革は、雇用制度
面でも進んでいるのであろうか。
その回答を考えるために、本日の日経新聞一面の記事を紹介する。
■「第4部さまよう企業(4)転職者が忘れた25億円(年金を問う)」
2004/04/19, 日本経済新聞 朝刊, 1ページ
<--- 引用ここから ----------------------------------------------------
(前略)
転職先に資産を移し、積み立てや運用を続けて将来の年金を増やす――。
企業でなく個人が管理責任を持つ401kは2001年10月、雇用流動化時代
の企業年金の新顔として誕生した。導入企業はまだ約2000社。
転職先に同じ制度がある確率はかなり低い。
転職先に運べない場合、自営業者らのための個人型401kに自ら資産を
移す必要がある。しかし仕組みが周知されておらず、忘れられ、引き取り
手のない資金は"眠る原資"となる。資金自体は取り戻せるが、井瀬さん
は「転職者に不親切な制度だ」と振り返る。
総務省によると、転職経験のある人は48.4%。日本能率協会が昨年の新入
社員に聞いた調査では6割超が転職を考えている。
「厚生年金基金から厚生年金基金に移るのだから、資産を持ち運べると
思っていたのに」。昨年10月、大手旅行会社から医療機器メーカーに転
じた成田裕治さん(27)は首をひねった。元の基金からの通知には転職先
の説明はない。入社以来3年半で積み立てた約20万円は結局、一時金で
受け取った。
代表的な企業年金である厚年基金は、転職先に同じ制度があっても資産を
移せない。終身雇用を前提にした制度だからだ。転職するとそのたびに
わずかな一時金を受け取り、次の勤め先でまたゼロから積み立てることに
なる。年金資産はなかなか増えない。
政府は今国会提出の年金改革法案で、転職先の基金が認めれば基金間で
資産を移せるようにした。ただ、複雑な制度を企業が調整するのは難しく、
実現はおぼつかない。年金制度は転職の時代に追いついていない。
(中略)
一つの企業に縛られない転職者は、可能性を追い、様々な方向へ歩き始
めた。ただその道を年金という視点で眺めると、落とし穴ばかりがやけに
目に付く。
日本の企業は終身雇用――戦後の高度成長期、会社を勤め上げた社員に
報いる企業年金が誕生した。リストラや離職が増えた1990年代以降、
転職は日常の風景に。「会社を変わっても年金を確保できる」が売り物の
確定拠出年金が登場したのは、ようやく2年余り前のことだった。
---------------------------------------------------- 引用ここまで --->
雇用の流動化に対応すべく、米国の401Kプランにならって導入されたのが
日本版確定拠出型年金(DC: Defined Contribution)である。
本制度が定着すれば、勤務先が変わっても、転職者は自分の積み立て済み
の年金を持ち運べるので(Portable)、転職者も不利益を被ることは、
ないはずだあった。
しかし、現制度でも、Portable性には問題がある。
一番、大きな問題は、自社で厚生年金基金や適格退職年金を運用している
大企業での、確定拠出年金への移行がなかなか進まないことだ。
大企業で確定拠出年金の採用が進まない理由は、後ほど詳しく述べる。
転職先に確定拠出年金の制度がなく、他の企業年金制度もない場合は、
自分で個人型確定拠出年金に加入して、継続することは可能である。
しかし、少なくとも年金制度がある会社から、制度が何もない会社への
転職は、上昇志向のリベンジ型の転職にはあてはまらない。
転職先に確定拠出年金の制度がなく、他の企業年金制度がある場合は、
追加の拠出はできないが、これまでの積み立て金額を運用することは可能
である。しかし、実際問題としては積み立て額が小額のままなので、運営
管理料等の負担を考えると、高リターンをあげることは困難だろう。
大企業で確定拠出年金への移行が進まない背景には、拠出可能上限額が月額
36000円に押さえらていたことがある。本年10月からは、これが46000円
に引き上げられることになった。これでも大企業の現在の給付水準と比較す
れば、十分とは言えない。大企業が自社の年金制度から確定拠出年金への
転換をためらうのも当然ともいえる。
この上限額のUPに関しては、厚生労働省が将来の公的年金を補うために
66000円までの要求を提出したが、結局は財務省側の反対に合って、46000円
に落ち着いたという経緯がある。
今国会でも年金制度改革は、与野党間の争点の一つとなっている。
小泉首相は、国会議員の年金の廃止など、大向こう受けを狙った発言を
好む傾向がある。是非とも、実質的な影響力のもっと大きな、拠出額の
限度額の問題にも真剣に取り組んでもらいたい。
雇用流動化を妨げる心理面での障害は、もはやほとんどなくなった。
これからは、制度面での障害を取り除き、企業、社員とも最大の生産性を
あげることのできる自由な雇用環境の実現が待たれる。
現状では、本当に信頼でき、持ち運べるのは、やはり自分の実力だけと
いうことか。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆ 編集後記・お知らせ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
最後までお読みいただきありがとうございます。
最新ニュースや、書籍のベストセラー情報も満載のBLOGも見てください。
⇒ http://www.planbiz.info/blog/
お暇な時に、ご意見・ご感想のメールをください。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
メルマガ「実践ビジネス発想法」
〜 ビジネスの現場で必要とされるのは、情報を知恵に変える力 〜
【発行責任者】アンビシャス 神田
【関連サイト】バックナンバー掲載中 http://www.planbiz.info/blog/
【ご意見・ご感想】メールアドレス mailto:info@planbiz.info
皆様の声を是非お聞かせください。いただいたご意見・ご感想は、
今後の情報発信の参考にさせていただきます。
【購読登録・解除】 http://www.mag2.com/m/0000126742.htm
【2次利用】 本メルマガは、基本的にどなたに転送しても結構です。
掲載内容はあくまでも発行人個人の考え方を表現したものですので、
利用によって生じたいかなる損害も、発行人は責任を負いません。
Copyright (c) 2004 Ambitious Kanda All rights reserved.
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Powered by
Copyright (c) 2004 Ambitious Kanda. All rights reserved.
|