グローバルスタンダードと個人情報保護:実践ビジネス発想法

実践ビジネス発想法:
必要なのは情報を知恵に変える力

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        ■  ビジネスの現場で必要とされるのは、情報を知恵に変える力 
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◆ はじめに
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  今回は、個人情報保護に関する話題です。

 この問題は、これからのビジネスプランを考える上では、決して避けて
 通ることのできない問題になると思います。

 硬めの内容ですが、お付き合いください。

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  ◆ グローバルスタンダードと個人情報保護
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 本日の新聞記事の紹介から。

■ユビキタス・コンピューティング:各国の独自性に配慮必要
 日経新聞 2004/04/15  31面 (経済教室)

 この記事は、ユビキタス・コンピューティングの提唱者である坂村健 
 東京大学教授が自ら執筆したもの。

 以下に、要旨をまとめる。


□RFIDの米国での導入目的は、企業が従業員や消費者を不正の監視すること


 米国では製品が販売されるまでに、抜き取りにより3割なくなるという。
 その対策として期待されているのが、RFIDの導入である。
 3割なくなる原因は、従業員の犯行や業者の不正で、RFIDなら電波を常に
 当てて紛失を監視できる。


□RFIDの日本での導入目的は、生産者や流通を消費者が監視すること


 日本では、企業が従業員や消費者を監視するのではなく、逆に消費者が生産
 者や流通を監視するために、RFIDを使う。
 したがって、情報の向きは米国と反対となる。
 日本のユビキタス・モデルでは、利用者が環境から情報を読み取るので
 あって、SF映画「マイノリティ・リポート」のように、環境が個人の情報を
 読み取るのではない。

 
□欧米でRFIDについては、プライバシーの侵害を理由に強固な反対運動があり、
 多くの実験が中止にまで追い込まれているのも、うなずける。
 使う側が監視のためにつけるものを買わされるのは、不愉快だろう。


□米国を中心とするRFIDの標準化機関EPCグローバルは、無線タグを標準化
 を推進している。


□各国での利用実態を考えずに、何が何でも「グローバルスタンダード」を
 絶対視することは危険きわまりない。今後の日本の産業政策にもかかわる
 ことでもあり、慎重に検討する必要がある。


□ユビキタスの技術の利用は実生活に深く結びついているため、文化や国民性
 など国による違いに対する配慮が必要である。国によって導入する目的が
 違うことを考慮し、グローバルスタンダードについては慎重に検討しなけ
 ればならない。
 


 坂村教授の論旨「各国の文化、制度により違いあるので、全てがグロー
 バル・スタンダードの名のもとに一部の地域での仕様を押し付けられる
 べきではない」には、全く同感である。


 製品の仕様に関しては、必ずしもグローバルスタンダードが、最適解とは
 ならないはずだ。


 しかし、その反面、国民感情、意識の問題に関しては、グローバルスタ
 ンダードを念頭においた発想をすることも、大事なことだと思う。
 プライバシー保護の問題に関しては、日本国民、企業は、もっとその重要
 性を真剣に考えるべきではないだろうか。


 坂村氏の説明にもあるように、RFID関連したプライバシー問題は、欧米
 諸国では、すでに大きな話題を巻き起こしている。
 特に米国では、企業が国民のプライバシー意識を軽視したような対応を
 とると、おおきなしっぺ返しを食うことがあることも事実だ。


 例えば、RFIDを埋め込んだ製品の実験を考えた、ウォールマート、ベネトン
 等の企業は、何れも消費者団体の大反対に合い、実験の中止に追い込ま
 れた(2003年)。

  
 ⇒『消費者に理解されていない「ICタグ」』
      Nikkei IT Pro 2003/08/07

   http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/OPINION/20030806/1/


 古くは、半導体メーカーのインテルが、PSN(Processor Serail Numbr)の
 導入を試みて、消費者の不買運動を招き、その機能を Default 状態では
 使えないように変更させられた事件もあった(1999年)。


  ⇒『Big Brother Inside! ペンティアムIII ボイコットキャンペーン』


  http://www.jca.apc.org/~yukihiro/korea/antiintel/index.html


 ことは米国だけに限った話ではない。個人情報保護意識の高さは、欧米
 先進国共通だと考えるべきだ。


 先ほど無料メールサービスの開始を発表したばかりのグーグルが、プライ
 バシー侵害の恐れありと、早速欧州各国で非難を集めている。


 ⇒『Gメール:プライバシー侵害で市民団体が申し立て』
    Hot Wired Japan  2004/04/20
 
    http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20040421206.html


 我々日本人の感覚からすれば、これら一連の事件は一部の消費者の過剰
 反応に感じられるかもしれない。

 しかし、個人情報保護も基本的な人権の一部と考える他国の国民から
 見れば、日本の方が「変な国」と考えられるかもしれないと発想する方が
 ビジネス上は安全であることは間違いない。


 残念ながら、外国での個人情報保護に関した話は、日本の一般マスメディア
 で紹介される機会は、極めて少ない。


 日本のRFIDの報道と言えば、小泉首相が皿にタグが埋め込まれた回転寿司を
 試食した程度の、おめでたい話で終わってしまう。


 また、このところ毎日のように報道される個人情報の流失問題も、管理
 責任の解明が主で、重要な意識の問題に踏み込んだ内容は少ないように
 思われる。しかし、本当に流出事件を予防するためには、背景となる個人
 情報保護に関する意識を啓蒙する努力も必要であるはずだ。


 国民性の違いが、単に文化論のレベルにおさまっているのであれば、文化
 人に任せておけばよいのかもしれない。
 だが、このような意識の違いも具体的にビジネスがからんでくると、国民
 性の違いと、簡単に片付けてしまうわけにはいかない。


 BSE問題でも、日本が要求する全頭検査は、科学的に根拠がなく、現行の
 検査基準で、食品安全基準は十分に満足してるはずだと、米国政府は主張
 する。一部日本の識者の中でも、全頭検査の有効性に関して疑問を投げか
 ける意見もあるようだ。


 しかし、問題の本質は統計的確率論に基づいた「安全」ではなく、国民
 意識を反映した「安心」の確保にある。日本の消費者が「安心」に感じら
 れるようにするには、無駄かもしれない全頭検査も時として必要な場合も
 ある。文化が違えば、国民の判断基準も異なるのも当然であろう。


 米国肉牛生産者の中にも、単純にビジネス判断として、全頭検査に応じても
 よいというものも現れ出した。しかし、米国政府は国としてのメンツが
 あるので、この申し出を却下している。
 国民性の違いと、政府の思惑が絡んでくると、問題はさらに複雑化すること
 になるわけだ。


 確かに国内問題として、住民基本台帳ネットの安全性を問題を論じることは
 大事である。
 しかし、ベースとなる個人情報保護の問題も、グローバルな視点から、
 もう一度真剣に考え直す時期に来ていると思う。


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◆ 編集後記・お知らせ
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  今日は、難しい話になったので、短めにまとめました。
 
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 【発行責任者】アンビシャス 神田

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