吉野家の新メニューってどうよ?:実践ビジネス発想法

実践ビジネス発想法:
必要なのは情報を知恵に変える力

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 □■□■   実┃ 践┃ ビ┃ ジ┃ ネ┃ ス┃ 発┃ 想┃ 法┃        Vol.3
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        ■  ビジネスの現場で必要とされるのは、情報を知恵に変える力 
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◆ はじめに
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 これまで2号を配信して分かったことがあります。どうも自分の書いてる
 文章がだらだらとしてシャキッとしません。

 その原因の一つが、慣れない「です・ます」調にあると考えました。
 今回は、自分の馴染みのある「である」調に戻してみました。
 
 だからといって、読者の皆さんに対する感謝、敬意の念に変わりはあり
 ませんので誤解なきようお願いします。

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◆ 目次
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  【 1 】吉野家の新メニューってどうよ?

  【 2 】今日の言葉 「うまい、やすい、はやい」

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【 1 】吉野家の新メニューってどうよ?
    〜 牛丼代替メニューを題材として 〜
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 牛丼なき吉野家の苦戦が続いている。本日は、吉野家の新メニューから、
 ビジネスモデルのあり方を分析する。

 まず最初は、関連記事の紹介から。

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■特集「外食大乱:業界震撼!危ないのは牛や鳥だけではない」
 週刊ダイヤモンド3/6号 pp.27-28

 ----引用ここから---------------------------------------------------->

 2月23日。牛丼販売中止の「Xデー」から10日あまりたった昼時に、そのうち
 の一店に行ってみた。(中略)

 店員によれば、「(牛丼)販売中止になっから、客足は半分以下に減った」
 という。

 カレー丼、焼鳥丼、いくら鮭丼といった新メニューはあるが、牛丼に比べて
 割高で味もいま一つ。出てくる時間も遅い。(中略)店内のオペレーション
 は混乱している。

 吉野家の牛丼は、外食業界屈指の「高収益商品」である。本誌が独自に調
 べたところ、280円の並盛に占める食材コストは約27.1%。外食業界平均の
 35%前後に比べて格段に低い。牛丼の原価は並盛一杯当たりたった28円で、
 利益は100円を超えると見られる。(中略)

 いずれにしても、吉野家の来客数がガクンと落ち込んでいることに違いは
 ない。(以下略)

 -----------------------------------------------------引用ここまで--->

 吉野家のビジネスモデルの競争力の源泉は以下に集約される。

 □大量仕入れによる安価な原材料調達
 □効率的なシステムオペレーション
 □高い顧客回転率

 「選択と集中」という言葉を用いるまでもなく、牛丼単品主義に最適化され
 たビジネスモデルにほかならない。
 牛丼販売停止の苦境を迎え、このモデルの修正を迫られた吉野家がとった
 打開策が、カレー丼をはじめとする多品目展開である。


 自らの作り出した最適モデルを否定することにもつながりかねない、多品目
 展開が簡単に奏功しないのは明らかである。

 牛肉の大量仕入れが実現した原価面の優位性(economy of  scale)には、
 もはや期待できない。
 複数の什器、調理器具等を新たに揃える必要が生じるため、必要最低限の
 設備投資に抑制するよう努力したとしても、オペレーションコストの上昇は
 免れない。
 多品目展開は、アルバイトを中心とする作業効率の悪化を招く。店内オペ
 レーションが滞れば、顧客の回転率も当然悪化する。


 以上が冒頭のダイヤモンドの雑誌記事の解説である。

 これだけでは、数ある解説メルマガと差別化できないのは重々承知なので
 独自の解説を展開する。読者の方の思考法の訓練となれば幸いである。

 なお、あらかじめお断りしておくが、私自身は吉野家の関係者でもなければ、
 食品業界とも無縁の人間である。したがって、あくまでも以下の分析は
 私の仮説であり、細かな数字そのものにも事実と多少食い違うものもあるか
 しれない。

 それでも敢えて自説を披露する目的は、「限られた情報から、自分の論理を
 構築するプロセスを示す」ことにある。これは、すべてのビジネスパーソン
 に求められるスキルであり、これこそが「デキル」と「デキナイ」の差を
 もたらすものと信じるからだ。



 私が考えたのは、吉野屋の隠された成功要因は、

 □関連販売商品の高い利益率

 にあるのでは、ということだ。


 冒頭のダイヤモンドの記事の中で注目したのは、「牛丼の利益が100円」と
 いうところ。したがって、引き算すれば、原価は280円となる。

 ここでは、収益性が高い関連商品の卵、味噌汁、お新香の原価を以下のよう
 に設定してみた。上記の牛丼の原価以外は、すべて私個人の推測によるもの
 ではあるが、常識的な数字だと思う。


     売価    原価    粗利    粗利率
 -------------------------------------------------
 牛丼    280    180      100        0.35
 卵      50        10          40        0.80 
 味噌汁   50       10          40        0.80
 お新香   90    20          70        0.77
 -------------------------------------------------
 計    470       220         250        0.53


 牛丼一杯で100円の粗利、粗利率は35%。これに関連3商品すべてを加えた
 フルコースメニューでは、なんと、250円の粗利、率にして50%を超えること
 に気づくはずだ。まさに、驚異的な利益率である。
 

 吉野家の隠れた成功の秘訣「関連商品の高い利益率」を頭に入れて、
 新メニューのラインナップを分析する。

  新メニューは ⇒ http://www.yoshinoya-dc.com/brand/menu.html

 これが私が考える各メニューと関連商品とのマッチングだ。
   (○:適合性大 ×:適合性小)


            売価    卵    味噌汁    お新香
 -----------------------------------------------------
 牛丼    280円   ○       ○          ○  
 -----------------------------------------------------
 焼き鳥丼  450円      X     ○         ○ 
 いくら鮭丼 450円    X     ○     X      
 豚キムチ丼 450円    X     ○     X
 マーボー丼 380円   X     ○         ○ 
 カレー丼  380円   X        X     X        


 私自身は利用者が吉野家に期待しているプライスゾーンは、350円までと
 考える。吉野家側もおそらく主力商品としての役割を、カレー丼、次いで
 マーボー丼に期待したので、この価格を設定したのではなかろうか。

 価格が高いだけではなく、焼き鳥丼、いくら鮭丼、豚キムチ丼には、吉野家
 ならでの魅力が感じられない。この3品で、ある程度の販売ボリュームをが
 稼げるようには思えない。所詮、急場しのぎの中継ぎ役でしかなく、いずれ
 は消え去る運命ではないか。

 設定価格から考えても主力商品としての成長が期待されている、マーボー丼、
 カレー丼にも、問題がないわけではない。

 マーボー丼には、味噌汁、お新香が合うかもしれない。しかし、吉野家が
 提供するメニューとしての必然性がないので、商品訴求力が弱い。
 
 カレー丼の致命的な弱さは、関連販売が期待できないことだ。
 汁物のカレーに味噌汁は合わない。カレーといえば福神漬けで、白菜の新香
 も合わない。カレーと卵の組み合わせは意見が分かれるところだが、絶対
 に牛丼と卵の組み合わせには勝てないはずだ。


 結論からいえば、このメニューをもって、牛丼のように関連商品販売での
 高い利益率の再現を見込むのは無理であろう。


 このままでは、吉野家の将来が安閑としていられないのは明らかだ。

 吉野家もただこの窮状に、手をこまねいているわけではなかった。


 昨日正式に豚丼の販売に踏み切ることが発表された。

  豚丼情報は ⇒ http://www.yoshinoya-dc.com/news/040301_ir.html


            売価    卵    味噌汁    お新香
 -----------------------------------------------------
 豚丼    320円   ○       ○          ○  
 -----------------------------------------------------


 断言はできないが、豚丼には、卵、味噌汁、お新香が合うと思う。

 また、製法、店内オペレーション等を考えても、牛丼の強みが一番近い
 形で活かせるはずだ。

 豚丼にはエース級の商材に育つ「におい」が感じられる。

 ここに宣言する。「豚丼こそが、吉野家の延命の鍵を握る主力商品」だ。


 吉野家の新メニューに辛口のコメントを加えてきたが、私自身の将来に悲観
 しているわけではない。
 その理由は、吉野家がかつての倒産を乗り越え、再生した会社だからだ。
 二度と同じ轍を踏むことはないと考えたい。

 起業家でも同じことがいえる。昨日の日経朝刊13面では「事業を失敗した
 経験のある企業家の方が、慎重に事業計画をつくるため雇用創出力は高い」
 ことが明らかにされている。


 最後に吉野家へエールを。 ガンバレ吉野家!


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【 2 】今日の言葉
         「うまい、やすい、はやい」

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 言わずと知れた、吉野家のビジネスモデルのコンセプトを集約した、キャッ
 コピー。この3要素は、吉野家のビジネスコンセプトの根幹をなすもので、
 どれが欠けても今日の吉野家はなかったはずだ。

 普段当たり前に耳にしている企業メッセージではあるが、そこには深い
 意味がこめられているはずだ。改めてこの3要素を並べる順番にこだわっ
 た。

 一時的な販売中止は、日本全国の消費者の優先順位の一番目に「うまい」が
 くるかのような錯覚を与えた。「青春=吉牛」という中高年男性のノスタル
 ジックな感傷が影響したのかもしれない。
 かくゆう私も、販売中止の知らせを知り「ナミモリツユダク」が恋しくなり
 駆け込んだクチである。

 しかし、冷静に考えれば、いつでも食べられた平時の記憶を思い出すまでも
 なく、優先順位は「やすい、うまい、はやい」であった。時間がない場合は
 これが「やすい、はやい、うまい」に変わるぐらいだ。いずれにせよ、
「やすい」が一番目にくることは間違いない。今でも牛丼1杯に350円以上
 を払う気は全くない。


 吉野家も消費者の選考順位の一番に「やすい」がくるのは、分かっている
 はずだ。

 むしろ、「うまい」を最初にしたのは、こういう風に思われたいという
 願望を表していると解釈すべきであろう。

 つまり、企業メッセージとは、企業から消費者へ向けた一方的なラブコール
 である。


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◆ 編集後記・お知らせ
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 最後までお読みいただきありがとうございます。
 
 徐々に、「実践ビジネス発想法」らしくなってきたと、感じてくれると
 嬉しいんですが ....(^O^)

 お暇な時に、ご意見・ご感想のメールをください。

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 【発行責任者】アンビシャス 神田

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