G2Cと専門代理業の将来を考える:実践ビジネス発想法

実践ビジネス発想法:
必要なのは情報を知恵に変える力

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   ■□■   ━┛ ━┛ ━┛ ━┛ ━┛ ━┛ ━┛ ━┛ ━┛   2004/03/15
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        ■  ビジネスの現場で必要とされるのは、情報を知恵に変える力 
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◆ はじめに
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 先週やっと所得税の確定申告を済ませました。

 ということで、今回のテーマは何のひねりもなく確定申告に決めました。

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◆ 目次
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  【 1 】G2Cと専門代理業の将来を考える

  【 2 】今日の言葉 「 O2O(オーツーオー)」

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【 1 】G2Cと専門代理業の将来を考える
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 先週、平成15年度分の所得税の確定申告を済ませたが、今年は、去年の3割
 程度の時間で申告作業を終えることができた。
 インターネットにつながったパソコンとカラープリンターさえあれば、
 自宅でもPDF版の申告書を作成できるようになったので、昨年までのように
 税務署に用紙をもらいに行く時間の算段に苦労することもなかった。
 忙しい身には、大助かりである。


  ⇒ 国税庁の所得税の確定申告書作成コーナー
     http://www.nta.go.jp/category/kakutei/kakutei.htm


 単純な書類作成時間の短縮以外にも、確定申告の計算がWebベースで可能に
 になったことには、もう一つ大きな意味がある。
 それは、源泉徴収されている大半の給与所得者が、確定申告をすれば支払っ
 た税金のうちどれくらいの金額が取り戻せるのかを、簡単に試算できる
 ようになったことだ。

 自分が払いすぎた税金を確定申告によって取り戻すか、取り戻さないかは、
 納税者の自由裁量に任されている。これまでは還付される金額の見当もつか
 なかったので、実際に申告すべきかどうか迷ったあげく、面倒くさくなって
 申告しなかった人が多かったのではないだろうか。

 還付額の試算が簡単にできれば、申告の損得をシミュレーションできる
 ようになる。電卓片手に一所懸命計算したあげく、すずめの涙程度の金額
 しか還付されないことが分かり、無駄な労力を使ったことを嘆く失敗を繰り
 返すこともなくなるはずだ。


 例えば、医療費控除の計算の場合はこうなる。
 自分の支払った医療費が少なくとも、10万円を超えることが確実と思う人
 は、試してみる価値はあると思う。(10万以下の場合は控除対象外)

 まず、画面の案内にしたがって、必要事項を記入する。勤務先から配られた
 源泉徴収票を見て該当部分を入力するだけの簡単な作業で済む。

 次に、自分の支払った医療費の大まかな額を入力してみる。
 その結果、例えば

 (1)医療費が20万円の時は、5,000円還付
 (2)    30万円     10,000円
 (3)    40万円     15,000円

 となることが分かるはずだ。

 このシミュレーション結果を元に、還付額とこれに費やすコスト(申告書
 作成および提出に費やす労働時間)を比較する。その結果がプラスになると
 判断すれば、本格的に申告書類の作成に取り掛かればよい。

 当然、判断結果は各自の労働コストに対する意識により異なる。
 15,000円では確定申告するまでもないと考える人もいれば、5,000円でも
 十分に元がとれると喜ぶ人もいるはずだ。

 確定申告でも通常のビジネスにおける意思決定と同じように、期待収益に
 対する投資判断を下すという合理的な行動ができることになる。
 申告することを決めた後は、予定還付金額マイナス労働コストが最大に
 なるように、ビジネスプロセス管理と同様な考え方で作業時間を調整して
 いくことが肝要だ。


 申告用紙を税務署窓口まで取りに行く手間がなくなったので、今回は父親の
 分の確定申告も私が代わって行った。Webでの申告書の作成、税務署への郵送、
 指定口座への納税額の送金に至るまでの一連の処理をインターネットを使っ
 て完了させた。これまで自分で計算するのが大変だったようで、父親には
 大いに感謝され、ちょっとした親孝行気分にひたることもできた。


 今回、父親の確定申告を代行して感じたのは、単純な行政手続の代行で
 あれば、私程度の知識でも簡単にできるのではないかということだ。


 そこで、話題をさらに一般化して、各種行政手続のIT化(G2C)の流れが、
 既存の専門家の代行ビジネスに及ぼす影響を考えてみることにした。

 現在日本では、電子政府、電子自治体構想の実現に向け、公的認証サービス
 の導入が急ピッチで進められている。このサービスが充実すれば、これまで
 役所の窓口に出向く必要のあった行政手続が、家庭や職場からネット経由で
 できるようになる。


 ⇒ 総務省発表資料 http://www.soumu.go.jp/c-gyousei/kojinninshou.htm


 予定されている行政手続には、次のようなものがある。
 資料発表から1ヶ月以上経過しているが、この予定通り進捗しているかどう
 かは未確認である。
 
 □当面の予定(平成16年度) 
  (1)2月2日〜:国税電子申告(国税庁=東海4県) 
  (2)時期調整中:社会保険関係申請・届出(厚生労働省)
  (3)3月末〜 :旅券申請(外務省)  

 □その後の予定
  6月より国税の電子申告が全国に拡大されるほか、国の機関の他手続・
  各地方公共団体の手続が、順次追加される見込み



 公的認証サービスの基盤となっているのが、PKI(公開鍵認証基盤)技術
 である。簡単に言えば、国民一人一人が電子的な身分証明書としてIC
 カードを持ち、その中に本人しか知らない暗号用の秘密鍵を格納する。
 申請手続の時に、秘密鍵で電子的に署名することにより、申請者本人に
 間違いないことを証明する仕組みである。

 はっきり言って、大方の読者にとっては細かい技術的な話は興味の対象外
 だと思うので、この程度の説明にとどめる。また、公的認証基盤の実現には
 評判の芳しくない住基ネットも関係しているのだが、さらに混乱を招く恐れ
 があるので、これも触れないことにする。興味のある方は、自分で調べる
 ことをお勧めする。


  ⇒ 公的個人認証ポータルサイト http://www.jpki.go.jp/


 公的認証サービスは、本来申請者の利便性の向上と行政運営の簡素化、
 効率化を目的として設計されたものである。しかし、現実の行政手続は、
 申請者本人の代わりに各種の法的代理権をもった専門家が代理申請すること
 が多い。このため、専門代理業者が本人の署名に加えて申請代理人として
 電子的に追加署名するという、技術的にも複雑なプロセスも必要になる。


 今回の認証サービスの導入に伴って、影響を受けることが予想される専門家
 (いわゆる士業)を次にまとめた。

  ○税理士:国税電子申告
  ○社会保険労務士:健康保険、厚生年金
  ○旅行代理店:旅券(パスポート)
  ○司法書士:各種登記
  ○行政書士:行政手続き一般


 これらの代理申請を行う専門家には、当然公的認証サービスの基礎技術に
 習熟することが要求されることになる。実際のところは、新技術に対応して
 いくことに不安を感じて、不安の声を漏らす専門家の声も聞こえている
 ようだ。


 専門家にとってもっと深刻なのは、新サービスの導入により代理業に対する
 需要が少なくなるのではないかという懸念の方かもしれない。専門家に対
 するニーズの変化を予測するには、代理業が必要とされる理由を分析する
 必要がある。

 一般の人が専門家に代理を依頼するケースは、大別して2つとなろう。

  (A)専門知識がないので、自分では不可能な場合
  (B)不可能ではないが、代理業に任せた方がコスト的に有利な場合

 公的認証サービスの導入により、(B)と考えていた利用者の中から少なか
 らずの割合が、代理業者に頼らずに自分でやろうと考えを変えるはずだ。
 単純な行政手続であればあるほど、このように考える割合は高くなる。

 もちろん、そのためには行政側の用意するWebの申請システムが一般人にも
 分かり易い仕組みになっていなければならない。(フローの説明、FAQ、
 ヘルプの充実等)

 例えば、パスポートは自分で申請する人が増えるだろう。今までは、都道府
 県の申請窓口まで自分で行く手間を嫌って、旅行代理店任せにしていた人が、
 これからは自分で自宅から申請する方を選ぶことなると思う。


 (A)の理由から代理業を利用していた人に与える影響の度合いは、申請
 に必要な専門知識の中身によって異なるはずだ。

 ほとんど影響を受けないと考えられるのは、高度に専門的な判断が要求され
 る場合だ。行政手続の根拠となる法律の解釈によっては、申請者にとって
 有利となったり、不利となったりの違いが生じると考えれば、申請者は
 今まで通り、豊富な業務経験を持つ代理業に依頼する方を選ぶだろう。

 反対に判断がほとんど必要とされない、主として申請書類の整理と代筆を
 行っている場合は(いわゆる代書屋的業務)、依頼者が減る、もしくは相当
 程度の料金を引き下げないと顧客をつなぎとめることが難しくなるだろう。
 読者の中にも関係者がいることが想像されるので、言葉を選らばざるを
 えないが、単純業務に特化した代理業の将来は、必ずしも明るいものでは
 ないと思う。


 しかし、公的認証サービスが始まっても、業務を続けることができる代理業
 は、まだ幸運と考えるべきかもしれない。さきほども言ったように電子
 署名システムを理解するには、ITの実務知識が要求される。このIT化の
 波についていけない、高齢な専門家も少なくないはずだ。

 もはや、定年後に自宅での代理業で生計を立てるといった、SOHO型モデル
 の存在は許されなくなるのかもしれない。
 零細経営の士業にとっては、公的認証サービスの導入という、ビジネス環境
 の変化は、脅威として捉えられているはずだ。


 しかし、座して死を待つよりも、IT化の流れもビジネスチャンスと捉えて
 積極的な対応策を考えるのが正しい選択であることは、いうまでもない。
 考えられる方向性は、3つある。

  (1)零細専門家どうしが共同事務所を設立し、IT化を図る
  (2)専門家とIT専門業者とが補完的なパートナーシップを結成する
  (3)専門家にITを教育する新規事業を展開する

 どの方向をたどるにせよ、行政手続の専門家のサバイバルレースが始まる
 ことには、間違いないだろう。


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【 2 】今日の言葉
         「 O2O (オーツーオー)」

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 O2Oとは、Object to Obeject のことで、モノとモノとが通信ネットワークを
 通して直接サービスや取引を行う形態をさす。
 今話題の、Auto ID センター、ユビキタスネットワークのように、ICチップ
 とセンサーが自働的に通信することが、この例。

 B2B(企業対企業)、B2C(企業対個人)、C2C(個人対個人)、G2B(行政対
 企業)、G2C(行政対個人)の通信が、完全に自働化された姿ともいえる。

 これまでのB2Cに代表される通信形態においては、必ず人間が介在していて
 制御が可能であった。しかし、モノとモノが自働的に通信を始めるように
 なると、新たな問題が生じる可能性が指摘されている。

 電子機器は自分で判断できないので、電源が供給され続ける限り永遠に無駄
 な通信を続けるためにネットワーク全体に非常に負荷がかかることや、機密
 情報が簡単に漏洩するなどの、セキュリティ上の問題などが想定されている。

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◆ 編集後記・お知らせ
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 最後までお読みいただきありがとうございます。
 
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 第3号でとりあげた吉野家の豚丼を食べましたか? 味はいかがでしたか?
 私の正直な感想は ? です。

 第7号でとりあげた高橋尚子は、アテネ五輪には選ばれませんでしたね。
 長嶋監督も依然として出場が危ぶまれていますし、サッカー日本代表の
 予選突破の雲行きも怪しくなってきました。

 こうした話が続くと、五輪ムードに陰りが出そうな悪い予感がします。
 五輪人気を当てこんでいたはずのAV機器メーカーは、お払いでもしたい
 心境でしょうね。

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 【発行責任者】アンビシャス 神田

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