« 夫が早期退職を口にした(ターゲット読者は誰?) | メイン | 個人情報保護法とマーケティング・リサーチ »

Top起業/ベンチャー > 起業か? 資格取得か? ビジネスマンの広がる選択肢

起業か? 資格取得か? ビジネスマンの広がる選択肢

2004年05月17日

最近売れている「難関資格は働きながらとりなさい―社会人としての実務経験が役立ちます」を題材に、ビジネスマンのキャリアについて考えてみました。

筆者は、働きながら米国公認会計士試験、日本の司法試験に合格した実績をもつ。現在は独立して経済法務関係の法律事務所を営む。本書は、自分の経験をもとに、仕事と資格取得のための勉強を両立するために必要な時間管理法や、日常の実務経験を資格取得に生かす秘訣を述べた本。

少々長くなるが、筆者の主張を引用します。他人の考え方を勝手にまとめると、失敗することが多いので、ほぼそのままの形にしました。

サラリーマンの給料が上がらない(さらに悪ければ、給料が下がる)という昨今の世相を反映してでしょうか、「年収300万円時代」という言葉が流行し、サラリーマンが、そうした状況を克服するための方法として「週末起業」などと称する安易な起業や行き当たりばったりの転職を奨励する本が、巷には満ち溢れています。

日本を代表する大企業でさえ、利益を確保することに四苦八苦しているこの不況下で、サラリーマンが週末だけを利用して起業したとしても、まともに利益を上げることなどできるはずがありません。また、首尾よく転職先が見つかったとしても、せいぜい、つまらない仕事や気に入らない上司から一時的に逃れることができるという程度のことでしかありません。現状の給料や仕事の内容、上司が気に入らないからといった「後ろ向き」の転職では、自分のキャリアに傷をつけるだけです。

現状に不安や不満をお持ちの皆さんとしては、ここで一度、抜本的に今後のキャリア・デザインやライフ・プランを見直し、本気で自己変革と自己再生を考えてみてはいかがでしょうか。

本書では、会社などの組織に頼らず、ひとりで食っていけるプロフェッショナルのための資格、具体的には、弁護士、公認会計士、弁理士、税理士といった、最終的には独立・開業が可能な資格を「難関資格」と呼びます。
こうした難関資格は、一般的には、会社を辞め、二、三年かけて、じっくりと試験勉強に集中しなければ合格できないと考えられているようですが、これは、皆さんの固定観念が生み出した、なんの根拠もない誤解に過ぎません。私自身も、かつては皆さんと同様、不安と不満を抱え、毎日会社と自宅を往復しながら退屈なサラリーマン生活を送っておりましたが、一念発起することにより、働きながらの勉強で米国公認会計士試験と司法試験に、それぞれたった一回の受験で立て続けに合格することができたのです。

本書は、著者自身の体験、さらには、著者と同様、働きながら難関資格試験を短期間で合格した人たちを観察する中で抽出したノウハウを皆さんに披露することによって、難関資格試験は、働きながらの勉強で十分短期合格が可能であるどころか、むしろ働きながら勉強している人の方が有利なのだということを皆さんにわかっていただくために書かれた本です。

働いている皆さんの方が、難関資格試験の合格は有利であるだけでなく、資格取得後も、社会人経験を活かすことのできる皆さんの方が、そうした経験や知識を持ち合わせていない学生上がりの資格取得者よりも有利なのです。つまり現に働きながら経験を積んでいる皆さんこそ、難関資格を取得するべきなのです。

本書が、巷にあふれている「難関資格試験合格法」といった類の本と異なるのは、あくまで「働きながら」、つまり、一定の安定収入を確保したままで勉強し、資格を取得するのでなくては意味がないとしている点です。

本書が、安易な起業や行き当たりばったりの転職といった、一見、手っ取り早いけれども、実効性のない安直な方向転換ではなく、働きながらの勉強で難関資格試験に合格することによって、現状の不安や不満を打開し、会社などの組織に頼らなくても、ひとりで独立して生きていけるプロとして、豊かな生活を実現しようと本気で考えている方の一助になれば幸いです。

現在の自分の仕事で自己実現感が得られなかったり、将来のキャリアに不安を抱いた場合、一般的に考える選択肢としは、おおむね次のようなものがあるはずだ。

  1. 起業(週末起業も含む)
  2. 副業(週末副業も含む)
  3. 転職
  4. 資格取得
  5. 資産運用

筆者は、これらの選択肢の中で4が最もリスクも少ない選択だと主張している。確かにキャリアに一貫性がある場合は、そうだと思う。筆者の場合は、大学卒業後から独立開業にいたるまで、会計・法律関係の業務に従事するという一貫性がある。そうした場合は、日常の業務そのものが資格取得に役立つことも考えられる。また、資格試験の最大のリスクである、試験に不合格となった場合でも、勉強した知識そのものは、業務に十分生かすことができると考えれば、無駄な投資とはならない。

しかし、最初に選んだ業種、職種が自分のキャリア・ゴールにマッチする幸運な人は、まれなのではないだろうか。したがって、そういう場合は、転職で新しい活路を見出さざるを得ないことになる。また、自分の現在の業務とは関係がない資格取得を目指して軌道修正を図ろうとする場合は、試験に不合格となった場合も含めてリスクはかなりあるはずだ。そう考えると、「資格取得挑戦=ローリスク」とはならない場合も多いのではないか。

しかし、ブームに踊らされてはならないという主張は、全く同感だ。 最近は、起業、副業、株式投資の本ばかりが新刊書で目立つ。株式市場もすでに天井を打った感が強い。所詮ゼロサム・ゲームの世界で、これから始める投資家がすべてハッピーになれるわけではない。また、成功している週末起業家も実際は、ごくわずかであろう。

個人の自己実現の選択肢が増えることは、望ましいことだ。結局は、これらの選択肢の中で、どれが自分に最適な手段なのかを、自分で判断するしかない。 そういう点では、起業を志している人も、たまには資格取得関係の本も読んで、 バランス感覚を保っておくことが必要だろう。

なお、本書は著者の主張部分に若干納得できない部分もあるが、自己管理、時間管理のノウハウ本として考えれば、優れた本といえる。具体的な手法は、資格取得を目指す気がない人にも、十分役立つ内容となっている。
もう一方の起業関連最新刊「週末起業チュートリアル」でも、時間管理の重要性とそのノウハウが述べられている。要するに、起業、資格取得というゴールは違っても、プロセスには共通して学ぶ点が多いということ。自分自身の重要なキャリアを決定するには、多様な情報を集めて判断することが大切だろう。


★この記事が面白いと思った人は『人気ブログランキング』をクリックしてもらえるとハッピーです。


週末起業チュートリアル週末起業チュートリアル
ちくま新書
藤井 孝一 (著)
AMAZONで、上の本と合わせて買えば、1,500円以上となり、配送無料、代引可能になります!

  • このエントリーをdel.icio.usに追加
  • このエントリをニフティクリップに追加
  • このエントリをLivedoor クリップに追加
  • このエントリをFC2ブックマークに追加
  • このエントリーをバザールに追加
  • このエントリをSaafブックマークに追加
  • このエントリをChoixへ追加
  • newsing it!
  • このエントリーをCoRichへ追加
  • このエントリーをはてなブックマークする
  • このエントリーを含むはてなブックマーク
  • このblogをはてなアンテナに追加
  • このエントリーのはてなブックマーク数

関連するエントリー

ワード

このエントリーのダイレクトリンクURL:

このエントリーのトラックバックURL:

【注意】重複トラックバック防止プラグインにより、同一エントリーに対する同一のトラックバックは登録されない設定にしています。また2006年から、本エントリーへのリンクのないトラックバックも登録されない設定に変更しました。

トラックバック

» 難関資格は働きながらとりなさい from 自己啓発の処方箋
難関資格は働きながらとりなさい―社会人としての実務経験が役立ちます  超難関資格である司法試験、米国公認会計士試験を独学で、しかもそれぞれ一発合格した著者によるその勉強法について書かれた一冊です。年収300万円時代をどう生きるか、週末起業、ばれない副... 続きを読む

» 「 難関資格は働きながらとりなさい―社会人としての実務経験が役立ちます」 佐藤 孝幸 (著) 書評 from Dadumpの一日一冊
著者は、予備校はアウトプットでのみ利用すべきといいます。  一方、「日米資格4冠王の超スピード学習法」「日米資格4冠王の教える人の10倍役立つメンタルトレーニ... 続きを読む

» 資格の通信講座情報館! from 資格の通信講座情報館!
就職・転職・キャリアアップに役立つ資格・通信講座 続きを読む

コメントする

(初めてのコメントの時は、コメントが表示されるためにこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまでコメントは表示されませんのでしばらくお待ちください)



アクセス解析 アクセス解析 レンタルCGI