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起業家を輩出する企業風土とは

2004年05月23日

昨日の投稿の続き。
ビジネスマンは、「再建」向きか、「起業」向きかのパターンで分かれるのではないという仮説をもった発端は、日経ビジネス5月24日号16ページのユニクロの前副社長の記事。

日経ビジネス0524日経ビジネス2004年5月24日号 p.16
時流超流 人スクランブル
「在庫の目利きで企業再生:100億円超を集めてユニクロの前副社長

カジュアル衣料専門店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの副社長当時、柳井正会長兼CEO(最高経営責任者)の社長就任要請を断って、独立という道を選んだ沢田貴司(46歳)。今春、沢田氏は流通業界で経営が行き詰った会社の再建支援という新たな活動を本格的に開始した。

沢田氏は2003年2月に再建支援コンサルティング会社、KIACON(キアコン、東京都渋谷区)を設立、同年夏には自らの出資やそのほかに海外の再生ファンドや機関投資家から約1億ドル(約110億円)を集めて投資ファンドを立ち上げた。

沢田氏は伊藤忠商事を経て、ファーストリテイリングに移籍した。大ブームとなったフリースを手がけるなど、同社の躍進を営業面から支えていた。当然、2002年5月末に退任した時には多くの起業から誘いがあった。「最初から再建支援ビジネスを考えていたわけではない」と明かす

最初にこの記事で疑問に思ったのは、なぜ沢田氏が社長就任を断ったかということ。(表には聞こえてこない複雑な社内事情があったのかもしれないが、その可能性はこの際無視して話を進める。)
就任を要請された当時のユニクロだって、多角化策として打ち出した海外事業や野菜販売の不振(本年3月に撤退決定)など、「再建」の必要な課題を結構かかえていて、社長になれば、腕を振るう場面は一杯あったはずだ。新しいビジネス分野として、企業再生分野を選ぶ前に、ユニクロでも、それに近い仕事はできたと思う。

就任を断った理由は、大企業になる前の段階からダイナミックに成長していくユニクロ時代を経験してきた沢田氏にとって、安定成長に近い段階に入ったユニクロの社長職は、もはや魅力的に映らなくなったからではないだろうか。彼の起業家マインドが、大企業の社長よりも、新しいビジネスの立ち上げという道を選らばせることになったのだと思う。

このように、かつての新興企業が大企業になると、キーパーソンが飛び出して、自分で新会社を起業することは、珍しい話ではない。若手起業家を輩出している有名どころとして、まずあがるのがリクルートだ。リクルートグループ出身者が新会社を立ち上げて、株式上場まで至ったものだけでも、相当な数に上る。

  • 安川 秀俊 ゴールドクレスト社長
  • 宇野 康秀 有線ブロードネットワークス社長
  • 鎌田 和彦 インテリジェンス社長
  • 飯岡 隆夫 ゼファー社長
  • 島津 英樹 データベース・コミュニケーションズ社長
  • 七村 守 セプテーニ社長
  • 白石 清 Jストリーム社長
  • 和納 勉 クイック社長
  • 伊藤 裕二 ディースリー・パブリッシャー社長
  • 広岡 哲也 フージャースコーポレーション社長
  • 嬉野 勝美 ディジットブレーン元社長

リクルートの事業領域を反映して、人材紹介、不動産分野での活躍が際立つのは当然としても、ネット関連企業も多いことが分かる。このことは、リクルートでの経験が、その事業分野固有のノウハウというレベルを超えて、他のビジネスでも応用可能な起業家マインドを育てたことに他ならない。特にリクルートの創業者江副浩正氏の薫陶を直接受ける機会に恵まれた人は、江副チャイルドと呼ばれ、起業意欲が旺盛なことで知られている。

ここで、前回に書いた話題に戻る。
カネボウの余語社長はマッキンゼー、産業再生機構の富山COOはボスコン(BCG)と、再生ビジネス関係では、外資系コンサルティング会社の出身者が多いことをが分かった。そこで今度は、その他の外資系コンサル出身者で、企業のトップとなっている人間を調べてみた。

  • 藤井清孝 SAPジャパン (マッキンゼー出身)
  • 三枝匡 ミスミ (ボストンコンサルティンググループ出身)
  • 西尾直紀 メディアシーク  (アクセンチュア出身)
  • 金子英樹 シンプレクス・テクノロジー (アクセンチュア出身)
  • 西川潔 ネットエイジ (ADL出身)
  • 吉松徹郎 アイスタイル (アクセンチュア出身)
  • 原田英治 英治出版 (アクセンチュア出身)

すでに出来上がった会社に社長として迎えられたケース(藤井、三枝の両氏)を除けば、みな創業者。こちらも起業マインドは負けてはいないことになる。
「コンサルタントは他人のビジネスを分析することには長けているが、分析力と起業パワーは別物なので、起業家としては成功する場合は少ない」という批判が当たらないことが分かる。
そもそもは、「コンサルタント出身者=再生向き」、「新興企業出身者=起業向き」との仮説を持って調べ始めたわけだが、そのよう傾向がないことが明らかになった。

リクルートを筆頭に、起業家マインドを育てる風土を持つ企業は、確実に存在する。冒頭で紹介した沢田社長はユニクロ出身。
現在注目される若手起業家の代表格は、楽天の三木谷社長、マネックスの松本社長、ライブドアの堀江社長あたり。これから5年後あたりに、彼らの薫陶を受けた人間が、続々とスピンアウトして、会社を興すことになるのだろうか。そうなれば、指導者としての資質も本物ということが証明されることになるはずだ。


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