産業再生機構は東大卒がお好き(CCC常務小城武彦氏が執行役員に就任)
2004年06月13日
日経ビジネスによれば、カルチュア・コンビニエンス・クラブ常務取締役の小城武彦(おぎたけひこ)氏が、新たに産業再生機構の執行役員に加わることが内定したそうです。経営再建中のカネボウには、会長兼最高経営責任者(CEO)に就任した余語邦彦氏を筆頭に、再生機構から複数の幹部人材が転出しました。今回の小城氏の機構役員への就任は、その補充を目的としたものです。
まず、日経ビジネスの記事を抜粋します。
『再生機構に流通経営の助っ人』
日経ビジネス 2004年6月14号 P.12
旧通商産業省からカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)グループに転じた小城武彦氏(42歳)が、7月中旬にも産業再生機構入りする人事が固まったことが、本誌の取材で分かった。執行役員(マネージング・ディレクター)として個別再生案件の陣頭指揮を執る。(中略)
小城氏は1984年入省。米国留学などを経て、中小企業庁でベンチャー支援策を担当した。課長補佐として政策のとりまとめに奔走したが、霞ヶ関からの関与に限界を感じたという。
AV(音響・映像)レンタル店「ツタヤ」を展開するCCC入りしてからは、インターネットを通じた情報発信や商品販売を手がける「ツタヤオンライン」の立ち上げに携わり、昨年まで社長を務めた。現在はCCC本体の常務としてグループ全般の経営企画を立案する立場だが、6月下旬の株主総会で退任する予定だ。
再生機構の富山和彦COO(最高執行責任者)が高校の先輩という縁もあり、9人目の執行役員として招かれた。機構はカネボウ支援で複数の執行役員を取締役などに充てており、幹部クラスの補充が必要とされていた。
小城氏も、再生機構COOの富山和彦氏、カネボウCEOの余語邦彦氏と同じく、東大卒の逸材です。小城氏は、CCC時代に講演活動にも積極的に取り組んでいたため、その活躍ぶりはマスコミにも取り上げられる機会もありました。簡単にいえば、現在のツヤタオンラインのビジネス基盤である、ネットを利用して実店舗の販売を上げるという、いわゆる「クリック&モルタル型」ビジネスモデルを構築した人です。
今回、改めて小城氏の略歴を調べてみましたが、本来の意味でのエリートという印象が強く感じられました。前回の私の投稿 『再生関連企業の新任社長(同じ東大卒でも、中身は色々)』の中で、カネボウの余語邦彦の辣腕ぶりには、毀誉褒貶が相半ばする面があることを書きましたが、小城氏の方は賞賛する方の話ばかりのようです。
まず、日経ビジネスの記事にある留学先ですが、米国プリンストン大学ウッドローウイルソン・スクールの修士課程を修了しています。米国第28代大統領 Woodrow Wilson の名前を冠したこの大学院は、国際関係の研究機関として有名です。留学先も平凡なビジネススクールでないところが、優雅な感じがします。また、 小城氏は、カンボジアの児童買春問題に取り組むNGO団体「かものはしプロジェクト」のサポーターでもあり、単なるビジネス一色という人物ではないようです。ノーブレスオブリージュなんて言葉を久しぶりに思い出したりするのは、買いかぶりすぎでしょうか。なお、ノーブレスオブリージュ (noblesse oblige)とは、「高い地位や身分に伴う義務。ヨーロッパ社会で、貴族など高い身分の者にはそれに相応した重い責任・義務があるとする考え方」のことです。
その他、小城氏に関しては、米倉誠一郎氏の著書『ジャパニーズ・ドリーマーズ―自己イノベーションのすすめ』の中で、13人のジャパンーズ・ドリーマーズの1人として、選ばれています。また、齋藤孝氏の『質問力』では、ツタヤ時代のエピソードが紹介されています。
レンタルビデオのベンチャーTSUTAYAに転職した小城武彦氏は、iモードが登場した時、これを使って市場調査をした。金曜日の昼間30分以内にアンケートに答えてくれたら特典をさしあげますという実験をやった。3万通のメールに対して2,000通もの返信があったという。
このアンケートで彼が出した質問がすばらしかった。「今、あなたはどこにいますか?」という質問である。驚いたことに過半数の人が、学校か職場にいることがわかった。授業中や勤務時間中に携帯を操作してアンケートに応えてくれているということを知り、iモードがとんでもないメディアであることを悟ったという。もしこの時、「あなたは1日にiモードをどれくらい使いますか?」と聞いてもiモードの効果を知る的確な答は得られなかったに違いない。
具体的な事柄を訊ねながら、本質的な事柄に迫ることができるのが、具体的かつ本質的な質問のしかたの真髄である。
小城氏も、カネボウの余語氏同様に、いずれは再建先に転出することは間違いありません。小城氏クラスの大物が必要とされるところは、現在の再生対象企業の中にはないような気もします。だとすれば、これから大型案件が再生機構に持ち込まれることになると予想するのは、考えすぎでしょうか。
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【関係ありそうな本】
ジャパニーズ・ドリーマーズ―自己イノベーションのすすめ
米倉 誠一郎 (著)
ベンチャー・ビジネスの後押しをする著者が、革新的なビジネスを展開する起業家や、際立ったパーソナリティ・経歴をもつビジネスパーソンの横顔に迫り、「自己イノベーション」の方法論を導き出した書。
質問力―話し上手はここがちがう齋藤 孝 (著)
よいコミュニケーションは「質問力」から生まれる。著者の長年の主張を凝縮した一冊。「質問力」は技化(わざか)できることを説明し、良い質問とは何かを解説する。谷川俊太郎、手塚治虫、河合隼雄ら対話名人に学ぶ実践の書。

