ヒット商品を生み出す7つのコミュニケーション戦略
2004年06月22日
マーケティング戦略の中でも、コミュニケーション戦略の占める役割が、近年ますます重要になっています。このコミュニケーション戦略の具体的な戦略を解説する特別レポート『ブーム、ヒット商品を生み出す7つのコミュニケーション戦略』が、今週の週刊ダイヤモンドに掲載されました。
ブームを巻き起こし、ヒット商品を生み出す秘訣は、メッセージが的確に、相手に伝わるかどうかだ。メッセージはバラバラではいけない。ストーリー性、話題性を持った「明確なメッセージ」でなければ、相手を揺り動かすことはできない。
2人のコミュニケーションの専門家が7つの戦略を解き明かす。
最初に、コミュニケーション戦略の成功例として、紹介されているのが、花王の「ヘルシア緑茶」です。この中で使われているのが、6番目の戦略「その商品が解決する問題を広める」という手法です。
花王が最初に行ったのは、現代サラリーマン共通の肥満の問題を広く世間に
広めることでした。具体的には、2003年6月に「現代サラリーマンの健康・肥満意識調査」のプレスリリースをマスコミに向けて発表しました。この結果、全国紙の各紙面を通して、働き盛りの男性サラリーマンの75%が「太っている」と自覚しているが、積極的に肥満対策をしているのは、1割にも満たないという事実が明らかにされます。
ここで注意したいのは、この発表の中で触れられているのは、あくまでも「中高年男性の肥満問題」だけということです。この時点では、ヘルシア緑茶という商品名や商品情報は、全く公表されません。
つまり、商品そのものではなく、その商品が解決する「問題=イッシュー」を世の中に広めることにより、商品の需要を喚起する「間接的な」手法が取られているわけです。
需要が高まったところを見計らって、今度は解決策としての商品ヘルシア緑茶を投入しました。その後は、タイミングよく商品宣伝などの「直接的な」マーケティング戦略を本格展開したので、ヘルシア緑茶は生産が追いつかないほどの大ヒット商品となったのです。
もう一つ本文の中で具体例を挙げて説明されているのが、4番目の戦略「主役の世界を構築せよ」です。宇治市に本社のあるクリーニング業者「ハッピー」は、まず「消費者の2人に1人が、現在のクリーニングに不満をもっている」という事実に注目しました。
そこで、ハッピーは、その不満点の解消のために、通常では取れなかったシミ、汚れを落としたり、縮んだ衣類を再生するクリーニング技術の開発に取り組みます。こうして開発した独自サービスを「衣類のケア・メンテ」と名づけて、同時に顧客情報のデータベース化も進めました。いまでは、宅配便を積極的に活用することにより、全国の顧客に対して「衣類のケア・メンテ」サービスを提供しています。
既存のクリーニングサービスの対抗軸に、自分のサービスをポジショニングすることにより、他社に真似ができない「自分が主役になれる世界」を築く、差別化戦略に成功した例です。
最後に、ここで取りあげた2つに戦略を含めて、7つのコミュニケーション戦略の概要をまとめます。
戦略1:「キーメッセージ」を生み出せ
キーメッセージとは何か?
それは目にとまる派手なキャッチコピーでもなく、企業のひとりよがりな決意表明でもない。ビジネスの目的を実現するためには「誰に、どう見られればよいのか」という、しっかりとしたコミュニケーション戦略の中から生まれるべきものである。そして、それは実体としての事業戦略や販売戦略、さらに実績に基づくものであることが重要だ。戦略2:「第3の存在」を巻き込め
企業や組織からの一方的なメッセージや発信では、その効果に限界がある。利害関係のない、中立的な第三者の「共感」を勝ち取り、その評価や主張を自分たちの目的に沿うかたちで戦略的に活用しなければならない。
それが、その企業にや商品に対する信用につながり、またメッセージの信頼性や公平性を高めるのだ。さらには当事者だけでは実現できない「場」での情報発信にも発展するのである。戦略3:「相手の興味」に橋を架けよ
あなたが伝えたいこと。それはあなたの企業や商品のよさかもしれないし、それに感謝している消費者のことかもしれない。しかし、そうしたことは、そもそもみんなが興味を持って聞きたいところだろうか。これが、あなたが最初に直面する難題かもしれない。知的好奇心を刺激したり、ワクワクさせるような話題でなければ、メッセージは伝わらない。「まず、どうやって相手に目を引き、耳を傾けさせるか」を考える。戦略4:「主役の世界」を構築せよ
誰もが主役の世界を夢見る。しかし、自社商品の優位性を押し付けるだけで、はたして主役になれるだろうか? そこには、なぜそんな世界が必要なのかという説明が不可欠である。ニューカテゴリーや既存市場でのリステージ(再登場)にしても、その企業や商品が主役になれる舞台を設定すべきだ。勝負は「あなたが価値を提供する世界」をどう位置づけて表現し、相手の理解を得るかである。戦略5:「眠れる情報」をストーリー化せよ
情報は生き物だ。生まれたり死んだりする。一人歩きするし、眠ったままのときもある。そして、企業は常になにかを伝えたがっている。重要なのは、「目的」と伝えたい「メッセージが明確」ならば、それに沿って眠っている情報を生み出せることだ。人知れず眠っている情報を目覚めさせ、多くの人が共感できる物語性を付け加える。こうして誕生する「ストーリー」が、あなたのメッセージを広く運んでいくことになる。戦略6:その商品が解決する「問題」を広めよ
あなたの商品はどんな問題を解決できるのか。その「問題」はそもそも人々に広く知れ渡っているのだろうか。イシューブランディング(問題提起、惹起)は、商品ブランドをターゲットの消費者層に直接的に「売り込む」のではない。解決すべきイシューを明確化して世の中に広め、その事実を知った人々が解決策を求め、結果として消費者の目がその商品に向く。こうしたシナリオを前提とする手法だ。戦略7:見えないサービスは「評判」を流通させよ
目にみえにくい提供物をPRするのは簡単ではない。まして同業他社との差別化を図るのはさらに厳しい。法律事務所や会計事務所、病院や大学、さらには政党まで、目に見えない価値を提供する組織はどうすればいいのか。形がないぶん、そのサービスに対する「評判」を伝播させることだ。サービスのパッケージ化、ネーミング化で、「見えない価値をどう伝えるか」に知恵を絞る必要がある。
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玉木 剛 (著)、本田 哲也 (著)
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