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COMDEX Las Vegas 中止のビジネス・インパクト

2004年06月25日

先ほど投稿したCOMDEX Las Vegas 中止の、IT業界各社のマーケティング戦略への影響を考えてみました。COMDEX が、全盛期のように全世界のIT業界関係者が注目する最大のイベントであるとすれば、各社のマーケティング戦略も少なからず軌道修正を迫られるはずです。COMDEX の存在意義がなくなったから、今回のようなことになったわけで、そう考えれば、影響もほとんどないという見方が大半でしょうが....

米国のコンシューマ系IT製品の最大重要期は、クリスマスシーズンです。その直前に位置する COMDEX は、各社のマーケティング部門にとって、新製品を発表する絶好の舞台となります。このため、数年前までは、各社とも11月の Comdex 発表を睨んで、マーケティング・プランを考えていました。 マーケターが COMDEX を舞台に夢見ていた、最大級のプロモーション・プランは、おおよそ次にようにものになります。

  1. 自社のCEOが基調講演(Keynote Speech)の中で、新製品を紹介する: 初日の1番目のトラックであれば最高。
  2. 来場者の導線上、最も有利な位置に巨大なブースを構え、新製品を展示する: ブースは目立てば目立つほど良い。(ちなみに本場の展示会には、日本の風物詩ともいえるコンパニオンは皆無)
  3. Las Vegas のゴージャスなホテルでプレス説明会を別途開く: プレスの交通費は当然、会社もち。
  4. ディーラー、パートナー企業向けにも、別途説明会と懇親パーティを開く。
  5. その結果、翌日の新聞に注目の新製品として、大々的に取り上げられる。

このようなプロモーション・プランは、IT業界の情報が COMDEX に一極集中していた時代だからこそ、成り立っていたものです。インターネットの普及により、各社が情報を分散して発信することが可能になるにつれ、情報センターとしての COMDEX の存在意義も薄れてきました。

かつてのように絶対的な存在ではなくなったとはいえ、今回もCOMDEX での製品発表を計画していた会社もあるはずです。そのような会社にとっては、COMDEX が中止になったことを聞いて、マーケティング・プランの修正が必要になります。やはり、クリスマス前には、新製品の発表は済ませておきたいはずです。年があけてからの CES (Consumer Electronics Show) までは、待てないところもあるでしょう。そうなると、単独の製品発表会を、サンフランシスコあたりで計画するのではないでしょうか。

多数の会社が個別の製品発表会を計画するようになると、今度はマーケターにとって、新しい問題が生まれます。それはプレスの取り合いです。COMDEX 開催期間中に各社が製品発表をおこなう方式は、プレスにとっても好都合なことです。プレス側もラスベガスにいれば、1日に複数社の取材を効率よく済ませることができるからです。それが、個別の発表会が場所も日にちもバラバラに開かれるようになると、とても全部カバーすることは不可能になります。企業側としては、いかにプレスを自分の発表会に呼び込むかが勝負になるわけです。

最後に、COMDEX 中止の日本マーケットへの影響を考えてみます。今回の発表を一番喜んでいるのは、10月末に WORLD PC EXPO を開催する日経BP社ではないでしょうか。PC EXPO は、日本最大のPC関連のイベントですが、これまでは1ヶ月後に COMDEX が控えているため、どうしても割を食っている面がありました。米国系企業は COMEDEX で新製品の発表したいと考えるので、その前の PC EXPO では、新製品は見せようとはしません。結果として、従来品ばかり展示されることになる PC EXPO は目当たらしさが少なく、会場も盛り上がりに欠けることになります。

アジア系の企業の場合も、6月の COMPUTEX TAIPEI の後には、11月の COMDEX への出展を中心にマーケティング・プランを考えていたところが多いはずです。今回の中止により、それらの企業の眼が、日本の PC EXPO に向くようになると、面白いことになります。いずれにせよ、企業のコスト管理が厳しくなる中で、金ばかりかかってマーケティング効果を測定しにくいという欠点を持つ展示会が衰退傾向にあるのは、間違いないと思います。そうした環境下で、今年の PC EXPO が、COMDEX 中止の恩恵を受けて注目度が高まるかどうか、興味がもたれるところです。


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