穐田誉輝カカクコムCEOのキャリア・パターンはビジネスマンの理想形
2004年07月13日
私もよく利用している、価格比較サイト「価格.com」の代表取締役CEOの穐田誉輝(あきたよしてる)氏の、インタービュー記事が、今週発売の週刊ダイヤモンドに掲載されました。
記事の中から、穐田社長の少年時代のエピソードをご紹介します。
高校に合格したお祝いとして、父親がオーディオを買ってくれることになった。それからというもの、段ボールひと箱分のカタログを集め、ドルビーサラウンドなどの技術規格を頭にたたき込み、秋葉原に通い詰めた。何十軒もの電機店を回り、粘りに粘って50万円のオーディオセットを30万円で買った。しかし、買ったあとに音楽を聴くことはほとんどなかったという。
「興味を持ったら全部調べ尽くし、徹底的に比較してものを決める。買い物が好きなのではなく、これを買おうと決めるまでの過程が大好きなんです。だから衝動買いは絶対にしません。」
「あきた」の名前とは反対に、これと決めるまでには、飽きることなく探し求める執念深い性格のようです。最初は、この半ば偏執狂的な調査・比較癖が高じて、比較サービスを自ら立ち上げたのに違いないと想像しました。しかし、実際はそうではありません。次に穐田氏のキャリアを簡単に振り返って見ます。
大学卒業後は、まずベンチャーキャピタルの大手ジャフコに入社しています。しかし、考えてみれば、ベンチャーキャピタルの仕事も、ある意味では徹底的な調査・分析能力が要求されるもので、本人の性格にピッタリのものだといえます。そこでの仕事は、持ち込まれる玉石混交の投資案件の中から、本当に将来性があるものだけを選ぶ、いわばビジネスの目利きともいえる仕事です。おそらく、当時のジャフコはビジネス・プランを評価する基本的な手法を習得するには、最適の場所だったのでしょう。
ジャフコで3年過ごした後に、中古車買取・販売業のジャックホールディングに転じています。そこで、事業のインターネット化を推進するとともに、ベンチャーキャピタル時代に習得したノウハウを発揮して、ジャックの店頭公開を果たしています。
ジャック入社後3年たつと、再びベンチャーキャピタルの世界へ戻ります。このベンチャーキャピタルの投資先の1つが、現在のカカクコムです。その縁から、カカクコムの取締役に就任することになります。その後、カカクコムの社長になり、同社の東証マザーズへの上場を成功させることになるわけです。
こうして見ると、ベンチャーキャピタルと事業会社を交互に経験するのが、穐田氏のキャリア形成のパターンであることが分かります。本人が意図したかはともかく、結果としてはビジネスマンのキャリア形成の理想形の1つといえるように思います。
ベンチャーキャピタルやコンサルティング会社は、ビジネスプランを客観的に分析する能力に習熟するには、最適の職場です。しかしながら、どんなに第三者としてビジネスを分析する能力が高まったとしても、自分で事業を営む経験を持たないと、わからなことも多々あります。そういう意味では、事業会社で自ら陣頭指揮を執ることも、ビジネスマンには必要な経験です。逆に自社の経営しか知らない人間には、どうしても視野が狭くなり、客観的にビジネスプランを分析することが、不得意であるという傾向があります。そう考えると、両方の立場を経験した穐田氏は、理想的なキャリアを歩んできたといえるのではないでしょうか。
カカクコムは、従来の物品の価格比較に加えて、最近では携帯電話の料金プラン比較などサービスの価格比較へと、そのビジネス・ドメインを拡大しています。各種の割引が設定されたおかげで携帯電話の料金体系は、ますます複雑化しています。利用者の家族構成や利用パターンによっては、最も有利な料金プランを知るために、何通りものシミュレーションが必要です。今やカカクコムのサービスなくしては、かしこい選択はできなくなってしまったようです。そう考えると、同社のサービスに対する消費者のニーズは、ますます高まっていくことは間違いないでしょう。今後、番号ポータビリティが導入されると、選択はさらに難しくなります。当分の間、カカクコムのビジネスモデルは、陳腐化することはありえないと思います。
しかし、穐田氏のベンチャーキャピタル・マインドは、カカクコム1社で終わるようにも思えません。将来的には、同社からえたキャッシュフローを、有力ビジネスへ投資することも考えているのでしょうか。穐田氏とカカクコムの今後を注目したいと思います。
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【本件に関係ある本】
本物の実力のつけ方榊原 英資 (著), 和田 秀樹 (著)
経済のスペシャリストと勉強法のスペシャリストによる対談+各小論集という形式をとり、非常に読みやすく理解しやすい。決して難しいことは述べていない。この変化の激しい時代を生き抜くために、どのように考え、行動すべきか示唆を与えてくれる。バブルまでのように右肩上がりの経済成長は終わりを告げ、抜本的に社会システムが変化していくこの時代を乗り切るための指針として、各分野でスペシャリストとして活躍するお二人の意見は貴重である。今まで通りやっていてはいけないのである。「本物の実力」をつけなければならない。
週刊ダイヤモンド 2004年7月17日号

コメント
穐田氏とカカクコムの関係についての記述を読ませてもらいました。批評が分析力があって、かなり参考になりました。
私もかなりカカクコムは使いますが、今後はビジネスの場面でもっと活用されるのではないかと考えています。
Posted by: sq | 2004年09月18日 07:08