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アテネオリンピックのチケット販売が不調なのはマーケティングの問題

2004年07月30日

アテネオリンピック開催まで、あと2週間になりましたが、聞こえてくる声には、あまり芳しいものはないようです。スタジアムなどの建築工事の遅れ、交通渋滞の可能性、テロの脅威など、いまだにはっきりとした解決策が示されていないこともあり、現在でもかなりのチケットが売れ残っています。 これらの問題は、ギリシャのオリンピック委員会側の準備不足にあると考える専門家の意見も多いようです。今回は、この事例をマーケティング面から分析した記事をご紹介します。情報源は、ウォートン・ビジネススクールの Despite Lackluster Ticket Sales, Can Greece Be a Big Winner in This Year’s Olympics? です。次にその内容の一部を要約します。

6月末時点のギリシャ政府の発表によれば、530万枚用意したチケットのうちで、195万枚しか売れていない。ギリシャ政府は、販売数量の発表をそれ以降は、行っていないので、現状の正確な把握はできない。米国内のチケット販売も、200年のシドニーオリンピックの時より、約20%ダウンしている。

テレビの放映権料や公式スポンサーからの広告収入は、開催国に大きな収入をもたらすものではない。チケット収入のみが開催国に与えられた特権だ。したがって、このままのペースで行けば、ギリシャ政府は多額の負債をかかえることになる。

予想されるアテネオリンピックのビジネス面の失敗は、貴重なマーケティング戦略上の教訓を教えてくれる。失敗の原因の1番目は、現地オリンピック委員会と観光業界との連携不足にある。特にギリシャのような小国にとっては、オリンピックは観光客を誘致する絶好の機会であったはずだ。オーストラリア政府は、シドニーオリンピックの時に積極的に観光客へのプロモーションを行って、チケット販売に成功した。1992年のバルセロナオリンピックでは、スペイン政府主導の観光プロモーションにより、観光収入を150%増加することができた。今回のギリシャ政府には、おなじようなマーケティングプランへの努力が見られない。

2番目はPR戦略のまずさにある。準備不足がささやかれる中、開催国側はそれを打ち消す積極的な発表を行ってこなかった。PRのやり方も、問題への事後対応が中心の Reactive 型で、事前に不安要素を解消するような Proactive 型の対応ではない。もっと優秀なPR代理店を使っていれば、このような失敗は未然に防げたはずだ。

3番目は、オリンピックさえあれば軌跡が起きると過大な期待をしたことにある。 確かにオリンピックは世界最大のスポーツイベントであることは間違いない。しかし、それ以外にはアテネには観光客にとっての魅力が少ない。まともな宿泊施設も十分に容易できずに、クルーズ船をホテル代わりに使わせるようでは、観光客は来ない。

4番目は、ヨーロッパ特有の事情を甘く見たこと。大会期間中の8月は、サマーバケーションのシーズンで、アテネ市民も喧騒を避けてオリンッピク会場に足を向けない。元々ギリシャには熱狂的なスポーツ文化がなく、米国人やカナダ人と違って、スポーツを観戦する趣味もないとすれば、なおさらマーケティング努力を強化すべきであったはずだ。

5番目は、テロに対するセキュリティ上の不安だ。この面では、アテネ政府も大会期間中の米軍兵の警備を許可するなど、最大限の準備を行っている。それでも不安に思う人々が、スタジアムに足を運ぼうとしないのは、どうしようもないことだろう。

確かに、日本でもアテネオリンピックを現地で観戦しようという盛り上が足りないようです。盛り上がっているのは、オリンピックを最大の商機と考えているAVメーカー各社の薄型テレビとDVDレコーダーの宣伝ばかりのような気もします。しかし、日本でのチケット販売状況は好調です(完売続出でも「残席アリ」――間際まで続く観戦ツアー販売戦)。この記事をよく読むと、もともと旅行会社がシドニー五輪に比べて、募集人数を半分から数分の1に絞っている結果のせいで、絶対数は明らかに減っていることになります。

この記事の中にも、ギリシャ国民はそれほどスポーツ好きではないので、盛り上がりに欠けるという指摘がありました。ことサッカーに関しては、先ごろ開催された EURO 2004 でギリシャチームが優勝したり、元ブラジル代表のリバウドがギリシャのオリンピアコスに入団するなど、国内の人気も盛り上がっているのではないでしょうか。スタジアムの観客も、事前予想よりは増えるのかもしれません。毎回話題になる、日本代表を応援する「弾丸ツアー」のチケットも、今回はまだ余りがあるようですので(過酷0泊4日五輪イタリア戦弾丸ツアー)、体力に自身のある方は挑戦してみるもいいかもしれません。

次回のオリンピックは北京で2008年に開催されます。開催地の国民性という点では、少し疑問に思うところがあります。現在中国で行われているサッカーのアジアカップで、日本チームへ露骨に示す中国人観客の応援は、正直いって関心できません。確かに小泉首相の靖国神社訪問などの原因により、中国国民が半日感情を高めるのは理解できます。しかし、スポーツと政治とは、切り離して考えるのが基本です。ましてや大会ホスト国の国民が、あからさまにその感情を表すことは、避けるべきだと思います。

次回のオリンピックを成功させるためにも、中国政府と国民は、ホスト国としてはすべての参加国を平等に扱うことの重要性を学ぶ必要があるのではないのでしょうか。普通に予想すれば、北京オリンピックの海外からの最大の来場者は、日本人もしくは韓国人になるはずですので、それまでには是非とも改善してもらいたいものです。


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