東大ブランドが「いつまでも」「どこでも」通用するわけではない(大学院進学者増加の背景)
2004年08月05日
今週発売の「アエラ」に、一般企業に就職しないで、大学院に進学する東大生が増えているという記事がありました。その内容の一部を抜粋して紹介します。
Weekly AERA 2004年8月9日号 p.30-321就職怖い東大生「赤門ひきこもり」
超モラトリアムで先延ばし
東大に入りさえすれば就職は楽勝な時代は終わった。
就職活動で初めて味わう挫折感。
少しでも長く東大生でいたいと、就職に及び腰になる学生もいる。
今春できたばかりの東京大学法科大学院に在籍するコウイチさん(24)。卒業後は司法試験を受けて、弁護士資格を取得したいと思っているが、実は法律にはあまり興味がない。「不本意な会社に就職するか、別の道を選ぶか。本音を言えば、弁護士より本を作る仕事がしたい。だけど内定をもらった会社に就職しても、学術書の編集ができるかどうかはわからない。新しく大学院ができるなら、そっちもいいかなと考えました。司法試験に受かれば仕事ができるわけですし。」
今春、東大文学部を卒業したミエさん(24)は、3年生の12月に就職セミナーを受けた時点で就職活動をやめた。最近縁あって、福祉系の団体職員になった。就職活動をやめた後、両親に、「就職だけじゃなく、やりたいことを考えてみたら」と後押しされ、大学院進学を考えたこともある。
就職を避けたい超モラトリアムな東大生にとって、大学院は将来の選択を先延ばしにできる格好の「逃げ場」だ。今回取材した大学院生には、就職しそこなって進学したという人が目立った。知名度の低い企業の社員や不安定な派遣・アルバイトで稼ぐより、東大の学生であり続けるほうが社会的地位も高い。
人文社会系研究科、修士課程2年目の渡辺崇さん(24)も、就職活動に失敗したことが、進学のきっかけになった。2年前に東京の有名私大を卒業し、就職する予定だった。ところが、報道志望で受けたテレビ局15社はすべて不合格だった。現在は、両親がうるさいので、形ばかりの「なんちゃって就活」中。大学から出て自活したいが、本音を言えば先のことはあまり考えたくない。
取材を通じて、留年や大学院進学で学生のまま24歳を過ぎた東大生が何人も、「企業への就職は厳しい」と自ら就職活動のレールを降りる現実を実感した。だが、博士課程に進んでも、大学専任講師のポストは行列待ちの状態だ。『不平等社会日本』などの著書で知られる東大大学院総合文化研究科の佐藤俊樹助教授は言う。「10年ほど前から、研究者養成系の大学院の定員が大幅に増え、入試の合格ラインが大きく下がった。就職先の魅力が下がったために、法科大学院などの職業大学院に進む人もいます。いずれの場合も、『東大に行けばなんとかなる』と思い込んでいる点は同じです。」
大卒者の就職難は、もちろん東大生に限った話ではありません。就職できない、あるいはしない普通の大学の学生は、フリーターになります。東大生がフリーターになるかわりに、大学院へ進学するのは、次の3つの条件をたまたま満たしているからだけではないでしょうか。
- 大学院入試に受かる程度の学力があり、勉強も嫌いではない。
- 親の財力があるので自活しなくてもすむ(東大学部学生の親の平均年収は2002年調査で、1016万円)。
- 東大生には世間も寛容な風潮がある。
そう考えると、ことさら東大生だけを取り上げて、特殊な問題として扱う必要もないように思います。 やはり感じるのは、東大ブランドの強さです。この程度の内容でも、記事になってしまう事実そのものが、世間一般の東大信仰の表れと言えるのではないでしょうか。
私が結構気にしているブログのランキングに 人気ブログランキング というものがあります。ちなみに私は、ビジネス系のブログが集まる「社会・経済(全般)」というカテゴリーにエントリーしています。このカテゴリーの中に、東大女セキララ人生: 東京大学女子学生のホンネを聞いて欲しい!というブログがエントリーされています。東大ブランドを前面に押し出したネーミングでのアピールです。それも、「女子大生」とのダブルブランドになっているので、全国1000万人のおじさんの琴線に訴えかける力は十分でしょう。
このブログが、「社会・経済(全般)」カテゴリーでデビューした時は、鮮烈でした。赤丸急上昇の勢いそのままに、私のブログを軽く追い抜かし、いきなり上位にランクインされました。まさにネーミングの勝利でしょう。現在は、当時の勢いも衰え、私のブログより下位のランクに甘んじています。このブログを私自身は読んだことがないので、中身そのものの論評は差し控えます。興味のある方は、読んでみてください。
この事例から私が考えたのは、次の2つのことです。
- 東大ブランドも確かに一過性の効果はあるが、永久に続くわけではない。ツカミで成功しても、それを最終的に生かすか殺すかは、結局実力次第です。くどいようですが、私はこのブログの中身が面白くないと言っているわけでは、決してありません。念のため。
- 東大ブランドもすべての局面で有効であるわけではない。 このブログがエントリーされているのは、ビジネス系の「社会・経済(全般)」カテゴリーです。ここにエントリーされているブログの大半は、それなりのビジネスの経験を積んだ人間が、ビジネス関係のそれなりの話を書いているものです。そういったブログを相手に、東大と言えども所詮学生が書いたブログが、太刀打ちできると考えるのは間違いではないでしょうか。もちろん、敢えてこのカテゴリーで勝負したい目的が何かがあるのであれば、話は違いますが。おそらく、ビジネス系以外の適正なカテゴリーにエントリーしていれば、もっとブランド力が生きて、上位にランキングされると思います。現在ダントツの1位にいるのは、昭和22年生まれの現役の会社社長が書かれている 大西宏のマーケティング・エッセンス というブログです。自分の本名(たぶん)を使ったストレートなタイトルは、自らのビジネス・キャリアに対する自信がうかがわれます。
ここで冒頭の話に戻れば、大学院という場に一時的に退避した東大生の将来も、そんなに楽観はできないはずです。東大というブランドも30歳を過ぎれば、その効果も減退するでしょう。ブランド力が強力に生きる学術・研究分野でも、明確な目的意識がないまま進めば、いずれ困難に遭遇すると思います。東大だけはポスドク過剰問題に無縁と考えるには、無理がありすぎます。
以下は、東大卒女性タレントに関するおまけです。 現在最も活躍しているのは、CM女王の菊川玲嬢でしょう。彼女がユニークなのは、文系の学部ではなく、理工学部建築学科を卒業していることです。この理系出身というところが、差別化要因として有効に働いています。噂では、慶大医学部、早大理工学部も合格して、結局東大を選んだそうです。その割には、あまり生意気そうに見えないところが、CMタレントとしての人気の秘密なんじゃないかと考えます。
もう1人、東大卒の女性タレントの中で現役で活躍中の人をあげるとすれば、高田万由子嬢あたりでしょう。彼女は文学部西洋史学科卒業です。菊川嬢の建築学科卒に比べると、差別化要因としては迫力に欠けます。また、キャラクターもどちらかと言えば良家のお嬢さんというイメージが強く、平凡さがいなめません。 しかし、人気に陰りが見られそうになったところで、バイオリニストの葉加瀬太郎氏と結婚しました。年齢とともに減価する東大ブランドに、葉加瀬ブランドを加えることにより、タレント生命の維持に成功しました。現在は、誰もがうらやむハイソ・カップルとして、生活文化面にも活躍の場を広げています。見事にブランド再生を果たした好例といえるのではないでしょうか。
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