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アンパンマンのロングセラー化はマーケティング・コラボレーションの賜物

2004年08月17日

ロングセラー商品を生み出すには、ブランド・マーケティングにも、卓越した戦略性が必要になります。テレビアニメ「アンパンマン」の放送開始は1988年にさかのぼりますが、17年たった現在でも、関連ライセンス商品の売上は、5期連続で最高金額の記録を更新中です。通常のテレビアニメのキャラクター商品の売上は、放送終了後の1年程度でピークを迎えるのがほとんどです。アンパンマンのロングセラー現象は、このキャラクター業界の常識を覆すものです。その成功の秘密は、版権元とライセンシー製品各社が、単独企業の枠を越えて、原作が持つ豊かな世界観を守るよう結束していることにあるようです。各社のマーケティング・コラボレーションの様子を伝える、8月17日付けの日経流通新聞1面記事『アンパンマン強化会議』の一部をご紹介します。

毎週火曜日午後4時。アンパンマンの版権管理を手掛ける日本テレビ音楽で開かれる、通称「アンパンマン会議」。アガツマ、バンダイ、トーホー、セガトイズの玩具メーカー4社の開発担当者が新商品の企画を持ち寄り、原作の世界観に沿っているか、品質に問題はないかを相互にチェックする。会議はアニメ放映と同じ1988年に始まり、746回を数える。通常は版権を持つライセンサーとメーカーなどライセンシーは個別に商談し、競合メーカーが企画案を見せ合うことなどあり得ない。業界でも奇跡と言われるこの会議が、人気を支える屋台骨だ。「テレビ発のキャラをディズニーをしのぐ定番に」。会議を発案した日本テレビ音楽の渡辺常務の発想はこの一点に収れんする。普通のテレビキャラ商品は放映終了と共に寿命も尽きる。1年間で売るだけ売って撤退するあだ花的な商売を脱するため、数々の施策を発案した。

続いて、アンパンマン・ブランドを維持するための秘訣ともいえる『5つの原則』です。

1.社員証を外せ
「自社エゴなら出てこないでよ」。会議ではしばしば渡辺常務のしっせきが飛ぶ。求められるのは所属する会社の利害を超え、顧客である子供の利益だけを考えること。

2.ブームを作るな
強力なライバル商品がなかったこともあり、売上高総計はここ2期連続で20%前後伸びた。普通なら大喜びだが、渡辺常務は「完全な失敗」と切り捨てる。ブームは飽きを早くすると考えるからだ。3つ新商品を出すなら古い商品を2つ減らすなど、品目数を抑えるよう各メーカーに指示し、手堅い成長を目指す。

3.ノルマを設けず
通常のライセンサーは最低限の収入を確保するため、ある程度の初回生産個数をメーカーに課してそれに応じたロイヤルティーを先に受け取る。ミニマムギャランティーと呼ばれる制度だが、日本テレビ音楽は一切これを要求しない。

4.競争させない
現在のライセンシーは約48社で、初期の約40社からわずかしか増えていない。「売り上げを伸ばすために複数のメーカーに競合させる版権元もある」(ある玩具メーカー)中で、1分野1社の約束をかたくなに守り、信頼を醸成する。

5.買うのは父母
子供に受けても、親の信頼を得なければ購入してもらえない。そこで特に品質に敏感な食品分野は、ほぼ全商品でパッケージに「お母様へのメッセージ」を入れている。例えばカレーなら「卵、小麦など五大アレルゲンは使っておりません」といった具合だ。

この記事にもある通り、キャラクタービジネスのお手本はディズニーです。アンパンマンの方も、ディズニーに比べて遅れていたライセンスショップの展開を、今後は強化して行く予定です。また、来年には首都圏に「アンパンマンミュージアム」を開設する構想もあるようです。おそらく、アンパンマン関連商品の売上は、今後も順調に伸びていくと思います。

そうなると、次に期待したいのは海外展開です。ここで問題になるのが、そもそもアンパンマン・ファミリーのキャラクターの元になった、「あんぱん」や「ジャムぱん」といった製品が、海外の子供たちには馴染みがないことです。将来の海外制覇を睨んで、いまのうちから新キャラクターの追加を準備しておくのはどうでしょうか。たとえば、「ベーグルマン」、「プリッツェルおばさん」なんかもいいアイデアとは思うのですが....


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