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外資系IT企業が先陣を切って進める就労環境の効率化と福利厚生の充実

2004年08月17日

大手の外資系IT企業の日本法人は、従業員の就労形態の多様化や福利厚生面の拡充策に積極的に取り組んでいます。8月14日の日経新聞夕刊1面に、日本オラクルが全社員に在宅勤務制を導入する計画であるとの記事が掲載されました。オリンピック開会式直後の土曜日の夕刊に載った記事なので、そんなに真剣に読んだ人も少なく、見落とした人もかなりいるのではないでしょうか。オラクルの広報担当者の落胆している姿が目に浮かびます。週末の日経に出るような記事は、たいていの場合、速報の必要もなくてかなり前に取材済みの、埋め草的な性格が強いものです。広報担当者側としては、ビジネス関連記事の精読率の高い、平日の朝刊に掲載されることを期待するのが普通です。

日本オラクルは来春をメドに、全社員1448人を対象にした在宅勤務制度を導入する。最低週一回程度の出勤を義務づけるが、それ以外は自宅やホテル、海外などどこでも自由に仕事をできるようにする。出社の手間を省いて業務効率の向上を図るとともに、大規模災害などでオフィスが閉鎖された場合でも業務を継続しやすい体制を確保する。

大手企業の間で特定の職種や職場で在宅勤務制度を導入する動きは広がっているが、全社員に適用するのはまだ珍しい。
9月1日から顧客サポート担当部門の約300人を対象に導入、経理、総務など他の部署に順次広げていく。早ければ来年3月までに全部署に導入する。大規模災害やテロ、事故などで事務所閉鎖などの緊急事態が起きても、業務を長期間停止せずに再開できる体制を敷くことも狙う。 昨年10月から75人を対象に試験的に運用したところ、全体の8割の社員が週1~2回の在宅勤務を希望したため、全社員への適用に踏み切る。試験導入では上司への成果報告が頻繁になり、業務効率が向上するなどの効果も確認できたという。

【閑話休題】オラクル社内で予想される会話

課長「明日、君はオフィスに出社するの?」
部下「私はテレコミ(*)です。課長は?」
課長「あ、そう。オラクル(おら来る)よ。」
(*)在宅勤務の英語 telecommuting の略。外資は何でも縮めることが多い。

この記事では、在宅勤務制度導入の目的を(1)業務効率の向上と(2)災害時の緊急体制の確保、と説明しています。私はこれ以外に、もう1つの大きなマーケティング上の目的があると思います。顧客サポート部門の社員が在宅で勤務できるようになるには、顧客情報を社外から常時アクセスできるようなシステムが、構築されていなければなりません。そのために必要なのは、顧客情報のデータベース(DB)システムです。オラクルのコアビジネスは、データベースソフトウェア製品です。そう考えると、自らが最新DB技術で実現した在宅勤務システムのモデル・ケースになることにより、製品の拡販に結び付ける構想があるものと想像します。

在宅勤務といえば、最近はトンと聞くことの無くなった、サテライトオフィスの方は、どの程度普及が進んでいるのでしょうか。会社でも家でもない、中途半端な所に通勤するような考え方は、あんまり意味がないような気がします。

次に外資系企業による新制度導入の例を、もう1つご紹介します。8月17日に日本IBMがプレスリリースを発表しています。

日本IBMは、仕事や生活における社員および家族のさまざまな課題を解消するための支援を行い、個人の適切なキャリア形成や人生設計を促進する総合窓口(ポータルサイト)「ワーク/ライフ充実ナビ」を開設しました。

当ポータルサイトは、「ITエンジニアから営業に職種変更したいが、どんなスキルを身につけたらよいか」「子供を預けられる保育園を探したい」「ストレスを感じているので対処法を身につけたい」「夫婦・家庭の問題について相談したい」といった社員の課題に対して、適切な相談窓口(社内もしくは外部専門機関)や関連するプログラム、関連情報等を提供するものです。また、ポータルサイトだけでなく、外部専門家による相談窓口も設置し、電話や対面、さらにセキュリティーとプライバシーに配慮した個人別専用ページを通じて、相談、カウンセリングを行います。外部窓口では匿名での相談も可能です。

社内相談窓口では、産業医や保健師、看護師、キャリアカウンセラー等が対応、外部専門機関では、保健士、看護士、管理栄養士、臨床心理士、ソーシャルワーカー、ケアマネジャー等の多様な知識と豊富な経験を持つ専門家が対応し、社員の仕事と生活を支援します。

これらの総合的な支援の提供を通じて、社員が適切なキャリア形成を行い、より良い人生設計を持ち、健康で健全な生活を営むことを促進することにより、社員の持てる力を最大限に発揮してもらうことを目的としています。

この種の社員支援制度は、従来の日本であれば労働組合が実施してきたような内容でしょう。サービス産業の労働人口が増えるにつれ、日本企業の組合組織率も低下の一方です。今後は弱体化した組合に代わって、企業本体がこういった支援制度を手掛けることになるのでしょうか。おそらく、自前で設備や専門家を用意するよりは、アウトソーシングを利用することになるでしょう。 福利厚生のアウトソーシング産業は、今後も成長していくと思います。


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