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バブル期以来の採用ブームを追い風にしたリベンジ転職は正しい選択か?

2004年08月31日

先日、企業業績の回復に伴い、企業側の採用意欲も上昇基調にあることを投稿しました(ひさびさの転職マーケットの回復にヘッドハンターが警鐘を鳴らす)。今週発売の『AERA』にも、関連記事「大求人到来 賢い選択 バブル期以来のブームが来た」が掲載されました。この記事のタイトル「バブル期以来のブーム」が本当だとすれば、失われた10年間分の時間を逆戻りするほどの勢いがあることになります。

人材紹介会社リクルートエイブリックに寄せられる求人数も、ほとんどの業界で、今年度に入って急増している。まさに「大求人時代」に入った。
人材紹介会社アイ・ピー・シー(IPC)の武谷広人氏はこう指摘する。「これまで採用を抑えてきた反動と、景気の回復を追い風として、現在の盛り上がりはバブル期以上です。全業界にわたって求人熱は今までにないものがあります。牽引役は自動車をはじめ、電機、機械。一部の大手メーカーなどは全国から人をかき集めているような状況になっています。」

「氷河期」が続いていた新卒の就職戦線でも今春は、3年ぶりに回復感が強まった。朝日新聞社が主要100社を対象に行った05年春の新卒者採用計画調査でも、29社が04年春より「増やす」(前年22社)とし、「減らす」は3社(同15社)に留まった。

現在の好環境を象徴するキーワードが2つある。「リベンジ転職」と「第二新卒」だ。「新卒の時には行けなかったような有名企業、大手企業への転職が可能になっている。それがリベンジ転職。また、最も企業が採用したがっているのが入社3、4年目以内で転職を志す第二新卒者層。この層を戦略的に採ろういう企業が増えています」(リクルートエイブリック)。

転職情報誌「B-ing」編集部の森健太郎さんはこう話す。「第二新卒者が動くなら絶好のタイミング。ここ数年、企業は新卒採用を抑えてきたため、社内の人口ピラミッドがいびつになっている。そこを埋めるのに、それほど色がついていなくて新卒ほど教育に手間がかからない第二新卒は、企業にとって魅力があるのです。」

だが、こうした好況下、安易な転職を戒める声もある。前述の人材紹介会社IPCの武谷氏は、こう警告する。「バブルのころ、大量採用を行った会社ほど辞める社員がたくさん出ました。今の環境では、求職者は多くの内定をもらえるだろうが安易に条件で判断するのでなく、会社のカルチャーや経営理念などに重きを置いて選んだほうが失敗はない。一方で、この好況は長くは続かないでしょう。求人環境は3年周期くらいで好不況を循環しています。今回のピークは今年いっぱいとみています。タイミングは逃さないようにしてほしい。」

この記事の中には、転職成功者の談話も紹介されています。それらはすべて20代後半までの若手社員の話です。30代以降の中堅社員の転職マーケットは、若者ほどには劇的な好転は見られないようです。最近の若者の転職志向を表す言葉に「シチゴサン」というものがあります。これは、中卒で7割、高卒で5割、大卒で3割の若者が、入社3年以内に会社を辞めることを表現したものです。転職マーケット好転の追い風を受けて、若年層の離職率が高まることは間違いないでしょう。

私が気になったのは、「リベンジ転職」という現象です。リベンジとは、復讐、あだ討ちの意味です。リベンジと言う言葉には、忠臣蔵の例を持ち出すまでもなく、どうしても美化するようなニュアンスがあります。「苦節何年遂に初志を貫徹する」というような具合に。果たして、リベンジ転職は賞賛されるべきものでしょうか。私はリベンジ転職に、若者の職業観の希薄さを感じ、むしろ危惧を覚えます。

リベンジ転職に疑問を感じる理由は、次のように考えるからです。 新卒時に拒絶された企業や業界に入社すること自体が、目的化してしまっているのではないだろうか? 本当に将来自分が何をやりたいのかを考えたのだろうか? 新卒時の3、4年前に志望した企業や業界は、その時が絶頂期であったという見方もできます。一時の人気が沈静化したからこそ、今度は入りやすくなっただけかもしれません。

企業の寿命は30年といわれたこともありました。ITを中心とした技術革新のスピードが飛躍的に向上した現在では、その寿命はもっと短くなっているはずです。新卒時に憧れであったという気持ちだけで、転職先を決めるのは、あまりに安易な選択です。 少なくとも3、4年の業務経験があるのだから、その経験に基づいて自分の進むべき道を判断すべきです。もちろん十分に考えた上での結論が、たまたま新卒時に志望した会社や業界に一致することもあるでしょう。そうした場合まで、否定するつもりはありませんけど。


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