個人ブログでの自由な意見表明により解雇される危険性は他人事?
2004年09月02日
米国のソーシャルネットワーキング会社の社員が、自分個人のブログに書いた内容を理由に解雇されるという事件が発生しました(個人ブログが「やぶ蛇」に--ネット企業が社員を解雇)。
Friendsterが米国時間8月30日、個人的に付けているBlogの内容に問題があったとして、従業員の1人を解雇した。同社は、オンラインソーシャルネットワーキングという新しい分野を開拓し、仲間うちでの自己表現を促進していることで有名な企業だ。解雇されたのは、カリフォルニア州サニーベル在住のウェブ開発者Joyce Park(35歳)だ。同氏は、個人的に書いていたBlog「Troutgirl」の内容が許容範囲を越えていると、30日に上司から告げられたという。また、最高経営責任者(CEO)Scott Sassaの決断だということ以外、解雇に関する説明は会社側から得られなかったと同氏は述べている。
「解雇される前に、私がBlogのなかでFriendsterに言及したのは、3回だけだ。3回とも、一般に公開されている情報しか掲載していない。Blogをつける場合の社内規定もなかったし、(自分の行為について)事前に警告があったわけでもない。Blogの記載を取り下げるように言われたこともない」(Park)
Friendsterの広報担当Lisa Koppは、従業員の人事についてはコメントしないと述べている。
一般に、個人のブログの内容を理由にして、従業員が解雇される場合には、次の2つが考えられます。
- 業務上知りえた未公開情報を漏らしたため、会社に不利益を与えたと判断される場合
- 上記には該当しないが、その内容が不適当と判断される場合
今回の米国のケースは、会社側では(1)を解雇理由として挙げているようです。社員の方は、既に公開済みの情報について言及しただけで、守秘義務違反に問われる社内規定もないと、真っ向から反対の主張を述べています。この記事の原文を読んでも、真偽のほどは定かではありません。
日本でも未公開情報を漏らせば、解雇されるのは当然でしょう。勤務先が上場企業であれば、証券取引法でのインサイダー情報漏洩になり、さらに面倒なことになってくる可能性も否定できません。しかし、善良な市民としての立場から考えれば、社員による積極的な内部情報の公開が奨励されるべき時もあります。社会正義のために立ち上がる、いわゆる内部告発がこれに当たります。三菱自動車の例でも、社内不正に関する情報がもっと早く告発されていれば、未然に防げた事故もあったはずです。したがって、企業人でも個人の良心の声に基づいた判断を下すことが大事です。
日本で正当な解雇理由に当たるかどうかが問題になりそうなのは、(2)のケースです。米国の場合は、言論の自由(Freedom of Speech)が尊重されるので、 私的な意見を理由に解雇されるケースは少ないように思います。ただし、プライバシーの保護も同様に尊重される国柄なので、根拠のない誹謗中傷の場合は、そちらの方で責めを受ける可能性はあります。
私がちょっと調べただけでも、大胆な内容のブログがあります。どうしてもブログという性格上、会社のことを含めて、身近な話題を投稿することが多くなりがちです。例えば、先日読んだ比較的アクセスの多いブログにも、赤裸々に会社の上司を批判するキワドイ内容のものがありました。読ませてもらう方は、ビビットな情景描写もあって、結構楽しめます。まさにブログの醍醐味を体現する投稿と呼べるものでしょう。もし、記事中に非難されている人物がこの記事を読んだとしたら、その反応は容易に想像がつきます(その反応が正当であるかどうかは別の話ですが)。解雇されるかはともかくとしても、それなりのリベンジがあるのではないでしょうか。極めてスリリングな展開が予想され、見つかってしまった方が、面白い後日談を期待できます(嘘ですよ)。
最後に私の論点をまとめておきます。1つ目は、個人的な内容を書くブログの場合には、書き手の正体を占めすヒントが文中にたくさん含まれているということ。リバースエンジニアリングのように、本人の属性および趣味に関するキーワードから、ブログを見つけ出すことも不可能ではありません。2つ目は、知人に見られていることを意識せずに、無防備に意見を書くと、不幸な結果を招く可能性があるということです。だから、刺のある投稿は辞めましょうと警告しているわけではありません。むしろ、知り合いに見られても面倒が起きないように、予防線を張っておきましょうというアドバイスです。私の場合は、つまらない日常生活を送っているので、個人的な事象を書くことはほとんどありません。それでも、個人が特定されそうな内容を書くときもあります。そういったときは、「一般に」とか、「聞いた話では」、「友人に起こった事件ですが」などの、わざとらしい枕詞をつけるようにしています。これは、書いている内容に文句がついた場合に、「これは私とあなたの関係のことを書いているわけではなくて、あくまでも伝聞です」と言い逃れをする余力を残しておきたいからです。見え見えの嘘でも、それなりの効果はあるはずです。以上、これからも、そこそこ注意して、刺激的なブログ・ライフを楽しんでください。
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