企業メッセージの認知度向上は必ずしも販売効果を約束するものではない
2004年09月12日
企業メッセージを最も効果的に消費者に伝えるものが、コミュニケーション・タグライン(キャッチフレーズ)です。以下では、このタグラインとメッセージを同義のものとして話を進めます。各社のメッセージを見ると、自社の企業ビジョンを掲げたものや、商品・サービスの特性を表現したものなど、さまざまなパターンがあります。企業からの情報発信量が飛躍的に増大した現在では、いかにして記憶に残るタグラインを作るかで、各社とも頭を悩ませています。企業メッセージに関する調査結果が、最新の日経ビジネスに掲載されました。(『企業イメージ浸透の切り札:日立が躍進、マクドナルドは初登場16位』日経ビジネス2004年9月13日号 p.146-8)
本記事では、企業メッセージを各種のイメージ要素毎にランキングしています。
- インパクトがある
- チャレンジ精神がある
- 時代を切りひらいている
- 夢がある
- 信頼できる
- 高品質、技術の高さを感じる
- 覚えやすい
- ゴロがよい
自分の属する事業ドメインに応じて、企業が訴えるイメージも当然異なってきます。例えば、ハイテク関連企業であれば、「時代を切りひらいている」という先進性を表す指標での高得点を目指します。食品、医薬品業界の企業は、安心感、安全性が第一のため、「信頼できる」の指標で高得点が欲しいところです。しかし、どんな企業メッセージにしろ、受け手の記憶に残らなければ、話は始まりません。したがって、マーケターが最も重視するのは、「企業メッセージと企業名が正しく関連付けられて憶えられているか」いうことになります。そこで、今回は記事の中から「企業名想起率ランキング」をご紹介します。これは、個々の企業メッセージをから、それを使っている企業名を正しく答えられたかどうかの確率でランキングしたものです。
- お口の恋人 ロッテ 87.9%
- あしたのもと 味の素 68.3%
- ココロも満タンに コスモ石油 63.2%
- Drive Your Dreams トヨタ自動車 56.1%
- うまい、やすい、はやい 吉野家D&C 55.8%
- マチのほっとステーション ローソン 53.7%
- 目の付けどころがシャープでしょ。 シャープ 47.6%
- Inspire the Next 日立製作所 47.0%
- SHIFT_the future 日産自動車 46.6%
- 安値世界一への挑戦 コジマ 45.1%
このランキングから、次のようなことが明らかになります。
想起率は露出量に比例するわけではない 自動車メーカーと広告出稿量の双へきをなす、ビール、飲料メーカーが、上位10社には一社も含まれていません。
長い間使われいるメッセージほど記憶に残る 若干古臭いイメージも感じる「お口の恋人」などがその例です。
マルチブランドを扱うメーカーは、統一した企業メッセージが希薄になる 次々と新ブランドを投入する、ビール、飲料メーカーの場合は、企業としてのメッセージを想起しにくくなります。また、製品個々のブランド名さえ浸透すれば、企業メッセージを伝えることは重要ではないと考える企業もあります。トイレタリー製品でグローバルに展開する、P&Gや、日本リーバなどがそれです。
しかし、マーケティング上の最大の問題点は、企業メッセージの浸透度と製品個々の売上との直接的な因果関係が曖昧であることです。11位にランクインしている、「Heat-Beat Motors」は三菱自動車の企業メッセージです。 一連の不祥事以降、同社の販売額は急落していて、まさに「Heart Break」状態です。米国産牛肉輸入禁止措置以降、同じく売上が低迷を続けている吉野家の脱牛丼戦略も、決して「はやい」ものではありません。近頃やっと、「吉ブー」をキャラクターに使った、豚丼を本格的にプロモートする作戦をスタートしましたが、その切り替えは遅きに失した感があります。吉ブーに同社全体の業績回復を託すのは無理でしょう。なお、非売品の吉ブーの携帯ストラップは、予想以上に人気を集めているようで、ヤフオクでも数多く出品されています。やはり、最も大事なのは単なるイメージ戦略よりも、その根幹をなす企業戦略であることは明らかです。
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