シリコンバレーで活躍する若きビジネスマン像2題 (人生いろいろ)
2004年09月15日
シリコンバレーで活躍する日本人の若手ビジネスマンの姿を伝える記事を、2つ続けて読みました。1つ目は、CNET Japan の中の梅田望夫氏のコラム 世界中どこにいってもやっていけるたくましさ です。この記事は、梅田氏が主催したシリコンバレー視察旅行のプログラムの中で、自らの米国でのビジネス体験を発表してくれた若者に接した感想をまとめたものです。
第2回JTPAシリコンバレーツアーも無事完了。20名の参加者の皆さん(すべて20代。12名が学生、8名が社会人)にとって、得るものも大きかったことと思う。(中略)
中でも感動したのは、「アメリカに留学し、卒業後、同世代のアメリカ人たちや留学生たちと同じ条件で、いわばアメリカビジネス社会の下積みから、一歩一歩キャリアを構築する」という経験を約10年、20代から30代にかけて積んだ人たちの凄みであった。彼らが身体から発する何かとは、一言でいえば、「世界中どこにいっても、身一つ、体一つ、頭一つでやっていけるだろう、たくましさ、自信」である。
2つ目の記事は、今週の週刊東洋経済に掲載された『ルーター革命を狙う2人の日本人起業家 シリコンバレー最前線 ある30代ベンチャーの闘い』です。本文は、シリコンバレーの日本人ベンチャーキャピタリスト藤村道男氏の元に、2人の日本人青年が訪ねた時の回想から始まります。
藤村氏は、5年前を思い出しながら語った。「2人が私のところに起業投資を求めて来られました。そのときは、問題点をホワイトボードに列挙してお引取り願いました」。
2人とは、当時ともに32歳の吉川欣也氏と石黒邦宏氏。1999年、すでに日本で成功した若手経営者と、ネット社会で世界的に知られたエンジニアの組み合わせだった。ただ、彼らはカリフォルニアで会社を設立する方法さえ知らなかった。2人に、藤村氏は英語力や米国での業務遂行能力の欠如、日本の視野でアメリカを見ていることなど20点以上を厳しく指摘したのである。
その半年後、吉川氏と石黒氏は藤村氏のオフィスを再び訪れる。これに藤村氏は驚いた。投資を断られて、再チャレンジしてきた例は初めてだったからだ。「問題点に取り組み、対応策を提示してきました」。吉川氏は、日本語を自由に話す東京大学大学院卒業の米国人を、事業のサポート役として東京から連れて来てもいた。「彼らは見違えるように成長していました」。
この後、2人はIPインフュージョン社を立ち上げ、吉川氏は共同設立者兼副社長、石黒氏はCTOに就任します。創業してから5年、紆余曲折はあったものの、現在の同社は50人の従業員を雇うまでに成長し、主力製品のソフトウェアルーターは、米国だけでなく欧州、アジアにまで出荷されています。主な顧客にはエリクソン、富士通、韓国LGなどの大企業が名を連らね、毎月黒字を計上し経営状態も安定したものです。吉川氏は、ここまで成長する過程でシリコンバレーで学んだことは、次の5点だと述べています。
- どんなによい製品を持っていても、法律的にグレーな部分があったら成功はおぼつかない。
- 設立時から弁護士や会計士等の費用はケチらず、正規の手続きに則った経営を行う。
- 企業ビジョンを明確にし、製品デモのは必須条件、見せる相手や状況に合わせた事業計画書を練る。
- シリコンバレーのビジネス常識を知る。
- そして、最後に自信を持つこと。
藤村氏の方は、2人の成功の要因を次のように分析しています。
メンターの藤村氏は、2人が苦労を重ね、すべてが決して思ったとおりには運ばないことで、逆に「それが底力になっている」という。2人はこの先、本当に満足のいくサービスを手にできるかどうか。ただ、吉川氏は言う。「シリコンバレーはまじめにビジネスをやると面白いところだ。日本人でももっとチャレンジする人が出てきてもいい」。
この2つの記事を読んで感じたことは、シリコンバレーで日本人が成功するには、「必ずこうしなければならない」という法則があるわけではないということです。1つ目の記事の中で紹介されている若者たちのように、学生時代から米国社会に飛び込んだ方が、ビジネスを始めるときのカルチャー・ショックは少ないかもしれません。しかし、2つ目の記事の例に見られるように、日本である程度の実績を積んでから約束の地を目指しても、決して遅すぎることはありません。平凡な結論ですが、要するに信念の問題ということでしょうか。
また、改めて思い直してみれば、「日本人でも」とか「日本人だから」といった、型にはめて考えてしまう方が、もはや古いのかもしれません。日本人としてのアイデンティティは、もちろん失ってもらいたくはありません。しかし、これからの若者には国籍を意識することなく、グローバルなビジネスの舞台で自由に活躍してもらいたいと思います。
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