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株式会社組織の新規参入により大学ビジネスもマーケティン力が勝負の時代へ

2004年09月22日

このブログでは、MBAやロースクールなどの専門職大学院の話題を数多く取り上げてきました。しかし、行政側の積極的な規制緩和の動きを反映して、新設が進んでいるのは、専門職大学院に限ったことではありません。民間の競争力を導入するという狙いから、株式会社形態の大学や大学院を新設しようとする動きも活発化してきました。今回は株式会社組織が文部科学省に設立を申請している、ユニークな新設教育機関の話をご紹介します。情報源は、今週発売の週刊ダイヤモンド『新しい大学づくりを始める 企業人を動かした危機感』です。

週刊ダイヤモンド20040925新しい大学づくりを始める
企業人を動かした危機感

週刊ダイヤモンド 2004年9月25日号 p.16-7

現在、2005年春に開校を予定している大学および大学院、学部の新設・改編は、文部科学省の諮問機関である大学設置・学校法人審議会に設置認可申請が出され、11月の結論を待っている段階だ。これら大学と大学院、新設学部のうち、株式会社による学校は、LEC東京リーガルマインド大学(大学院を設置)、ビジネス・ブレークスルー大学院大学(新設。以下BBT大学)、デジタルハリウッド大学院大学(学部を設置。以下デジハリ大学)の3校。いずれも大学設置基準を一部緩和した構造改革特区制度を利用している。

入学式を米国・カリフォルニア州のハリウッドで開催予定しているのは、デジハリ大学である。これは、決して洒落ではない。藤本真佐社長はこう言う。
「たとえば、ゲーム産業は世界的に市場が広がっているにもかかわらず、日本のゲームづくりにかかわる関係者たちは、英語が不得意であるために世界を相手にした商品を生み出しているとはいえない。」英語力不足はIT産業に共通している。藤本社長は英語力のなさが、国内のIT産業が世界レベルで発展することを阻害する大きな要因になっていると考える。そうした現状を踏まえて、デジハリ大学ではカリキュラムの半分は英語の授業にし、これに「IT技術」「クリエーティブ」を加えた3本柱を徹底的に教えようと計画を立案している。

国の将来を憂えて学校を立ち上げようとする点ではBBT大学も同じである。経営学者の大前研一が創業したビジネス・ブレークスルーは、CS放送を使って最新の経営学を教えるチャンネルを立ち上げているが、BBT大学は基本的にはこの番組の視聴とネットを使った討論で構成される通信制である。

入学資格は就業経験が2年以上ある社会人とし、会社を辞めなくても続けられるよう、講義をインターネットを使って好きな時間に視聴することができるように制度設計している。最終的には「新たな富を生み出せるような職業人・起業家を育成する」のが目的だ。

構造改革特区という例外措置を用いながらも、従来の文部行政の枠組みでは実現不可能であった、ユニークな設立趣旨の高等教育機関が増えていくことは、歓迎すべきでしょう。2007年には、大学進学志望者数と募集定員数が均衡する「全入時代」を迎えることになります。そうなると、大学ビジネスも完全なサバイバル競争時代に突入です。これからは、単に学術指導の質だけではなく、マーケティング力の差が、教育機関の勝ち組みと負け組みとの選別をもたらすことになります。特に株式会社形態の大学には、民間ビジネスの経験を生かした効率経営と、顧客満足度(CS)を重視するマーケティング・センスが期待されています。したがって、株式会社が設立する大学院は、その面子にかけても募集定員割れを起こしたり、赤字経営に陥ることはできないはずです。各社とも独自のノウハウと実績にもとづいた経営計画を立てているはずですが、その業績にも注目したいところです。

規制緩和が進む教育行政ですが、現状でも問題は結構あるように思います。記憶に新しいところでは、虚偽の新設で大学設置の認可を受けた、東北文化学園大学の不祥事が報道されました。学校法人は税制面を含め、各種の優遇措置の恩恵に浴してきました。実際には、放漫経営に近い学校法人も数あるようです。株式会社の参入を機に、ビジネスとしての学校経営も健全化の方向に進むことを期待します。

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