日経産業新聞「企業とビジネスマンの資格意識調査」をどう読むか(その3)
2004年10月07日
前々回の投稿(日経産業新聞「企業とビジネスマンの資格意識調査」をどう読むか(その1))と、前回の投稿(同(その2))の続きです。今回はビジネスマンが資格取得に取り組む目的と、会社側に期待する支援策に関してご紹介します。情報源も、これまでと同じ「資格取得、7割意欲、ビジネスマン・企業、本紙意識調査――昇進・昇格で優遇も」(日経産業新聞 2004年10月5日 25面)です。
資格はいったい何の役に立つのか――。何らかの資格を持つビジネスマン669人のうち、「その資格が会社で業務、処遇などで役立っている」と答えたのは52%とほぼ半数だった。
具体的には「実務に直接役立つ」が69%、「対外的な信頼獲得」が13%で、業務面での効果が上位を占め、「資格への報酬」(11%)、「昇進・昇格時の優遇」(3%)といった処遇面での効果を上回った。
これに対し、企業が個人に資格を取って欲しい理由は「業務の遂行に役立つ」(49%)、「対外的な信頼獲得」(18%)、「社員の配置上の選択肢拡大」(17%)、「新事業が可能に」(6%)の順。個人が役に立つと考えるのと似た結果となった。
ただ、資格を取ったからには評価されたい。ビジネスマン個人は、いったいどんな評価を望んでいるのだろう。
「特定資格に対する報酬」「昇進・昇格時の優遇」「異動の希望が通りやすくなる」など、資格を何で評価してほしいかという問に対し、個人は報酬が61%で圧倒的に高かった。「昇進・昇格時の優遇」が24%、「異動通りやすく」は11%にとどまり、個人はより分かりやすい評価を求めているようだ。これに対し企業の実際の評価は、報酬がトップではあるが30%どまり。「異動を通りやすく」が24%、「昇進・昇格時の優遇」が13%の順となった。企業ではその他も37%に上り、より多様な評価を模索している姿がうかがえる。
この結果そのもに意外性はありません。資格取得により特別手当が支払われることを短期的な効果とすれば、昇進・昇格への優遇は長期的な効果と考えられます。そうすると、実態面では企業側も短期的な要望にはそこそこ応えているものの、長期的な効果はあまり認められていないようです。これは、同一企業内に留まる限りは、資格を取得した時点ですぐに昇進・昇格が約束されるわけではないという現実を表したものでしょう。取得した資格が業務に活かされてはじめて、昇進・昇格の際に考慮されるようになると理解すれば、納得できるものです。
興味深いのは、その比率にあります。ビジネスマン側が「報酬」に61%の期待を寄せているの対して、企業側が30%で応えています。ビジネスマン側が「昇進・昇格時の優遇」に24%期待し、企業側が13%認めています。両方とも、ビジネスマンの期待値の半分の割合でしか、企業側が考慮していないことになります。ビジネスマン側の満足度も、半分程度といえそうです。
次は、資格取得を奨励する支援施策に関する設問です。
調査対象企業の九割が、資格取得の支援策を備えていることも判明した。主要企業が資格取得を後押ししようとする姿勢の表れといえる。では具体的には、どんな支援策を設定しているのか。
最も多かったのは専門学校などの「受講費の支給」で、55%が挙げた。以下、「社内研修の実施」(35%)、「受講に必要な時間は休んでも勤務扱いに」(23%)、「資格、学習法にかかわらず一定の自己啓発費支給」(21%)、「資格、学習法にかかわらず一定の自己啓発休暇を設定」(8%)となった。これに対し、ビジネスマンが支援策として企業に望むのは「資金的な援助」が55%でトップ。資格によっては専門学校の受講費が高額になることなどから、資金面での支援をしてほしいとの声が多かった。2番目は「学習時間を取りやすくして欲しい」で31%。
多忙なビジネスマンには、専門学校などの通学時間の確保も深刻な問題だ。資格取得の学習法では、「専門学校に通う」が11%にとどまり、「独学」が47%で最も多く、「通信教育」が37%で次いだのも、そうした事情を反映した格好だ。
これも極めて分かりやすい結果です。両者とも、金銭面でのサポートが最も効果的な資格取得奨励策であると考えていることが明らかです。
最後に、この日経産業新聞の意識調査を読んで、もう少し突っ込んで調査してもらいたかった点について少し述べます。それは1人で複数の資格を持っている割合です。この調査では、54%のビジネスマンが何らかの資格を取得していることが明らかになっています。私の感覚から考えると、この数字は2人に1人のビジネスマンが資格も持っているというものではありません。どちらかと言えば、6割のビジネスマンが資格を何も持っていないのに対して、残りの3割が1つの資格を保有し、1割の人が2つ以上の資格を持っているという感じがします。分かりやすい例を挙げれば、「MBA」「米国CPA」取得者が「TOEIC730点以上」であることは、当然でしょう。さらに、複数資格を持っている人の、保有資格の組み合わせとその理由も調査されていると、もう少し面白い分析が出来たのではないでしょうか。
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