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わかりやすいだけに陥りやすいマーケティング原則「80対20の法則」の罠

2004年10月09日

インターネット・マーケティングにおける「80対20の法則」に関する記事が Cnet にありました(インターネットは80対20の法則を越える)。「80対20の法則」とは、元々パレートの法則といわれるもので、非常にわかりやすいコンセプトなので、マーケティングの分野でも事象分析のために幅広く応用されています。しかし、このことがかえって「80対20の法則」の混用を招くこともあります。今回の Cnet の記事でも、若干疑問に感じる点がありましたので、これを題材に考えてみたいと思います。

現在、マーケティング分野で使われている「80対20の法則」の応用例は、主として以下のようなものになります。話がややこしくなるので、販売面のみの紹介にとどめます。

(1)総売上の80%は、売上上位20%の「商品」から生まれる。
(2)総売上の80%は、売上上位20%の「顧客」から生まれる。
(3)総売上の80%は、売上上位20%の「販売チャネル」から生まれる。

Cnet の記事では、この部分を以下のように紹介しています。

有名なので詳述の必要はないと思われるが、念のため80対20の法則のおさらいを簡単に。

The 80/20 rule is a rule of thumb every startup should know. We used to use it in consulting when reorganizing sales forces - 80% of your sales would usually be from 20% of your customers. Of course, it was never precisely the way it worked, but it was usually close because it is the nature of power laws.

よく言われるのは、売り上げの8割は2割からもたらされるというCRMの世界でもよく引用される言い回しである。満遍なく売る努力をするよりも、ここぞというターゲットを絞って営業活動を行う方が効率が良いという話に繋がってゆく。

この後の、この記事の元ととなった"The Internet And the Death Of 80/20"にある事例の紹介が続きます。

  • 【音楽業界の事例】 CDショップの店頭に置けるのは、一部の大物アーチストの作品に限られていて、売上も80対20法則そのままに、これらに依存していた。 それが、店頭スペースに制約のないインターネット販売では、プロモーションもしていないマイナーなアーチストの作品も結構売れる。
  • 【アマゾンの事例】 総売上の50%が、上位10万タイトルから生み出されている。
  • 【eBayの事例】 売上はそれぞれ別個の商品の積み上げであり、上位20品目が80%の売上を占めることは、当然ながらありえない。

確かにこれらの事例から、インターネットでは売上品目に偏りが少ないことがわかります。したがって、売上品目の80対20の法則「(1)総売上の80%は、売上上位20%の「商品」から生まれる」は当てはまりません。しかし、顧客数から分析する80対20の法則「(2)総売上の80%は、売上上位20%の「顧客」から生まれる」の否定を導くことには、論理的に無理でしょう。もちろん、eBay の事例は顧客が偏在しないことを物語っています。これはC2Cビジネスを介在するビジネスモデルなので、その他のB2Cビジネスモデル一般と同列に論じることはできません。これらの事例から、導くべきは、「インターネット販売では、一般のショップ販売に比べて、販売品目が平準化する傾向が強い」でしかありません。

例えば、インターネットでしかCDを買わない人間は、メジャーなアーチストの作品でも、マイナーな作品でも買うはずです。少数のファンしかいないと考えられるマイナー商品がたくさん売れるからといって、少額しか購入しない多数の顧客が分散化していると推定するのは、論理的な飛躍ではないでしょうか。 つまり、購買される品目が平準化しているからといって、それに応じて顧客の数の方も平準化するということにはならないと思います。

疑問に感じて、改めてこの記事の原文"The Internet And the Death Of 80/20"を見直してみました。冒頭の記述からして異なります。

The 80/20 rule is a rule of thumb every startup should know. Economizing on time, management effort, and money has to be second nature. They should constantly be going after the 20% of the effort that provides 80% of the benefit. They should constantly be focusing on the 20% of their products and customers that provide 80% of the revenues.

こちらの方では、ちゃんと「20% of their products」との表記があり、論旨も「(1)総売上の80%は、売上上位20%の「商品」から生まれる」の否定として一貫しています。なぜ、Cnet の筆者がこれを、「顧客」数の話として紹介したのでしょうか。筆者にその真意を尋ねたいものです。


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コメント

ちょっと話は、ずれるかもしれませんが、80対20の法則にすべてを当てはめるより、その法則から未来を生み出す、応用するという姿勢が大事だと思います。
例えば野口悠紀夫氏は、1冊の本は2割しか読まないと言われています。

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