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勝手におまけをつけるより消費者に選択する権利を与えるのがマーケティングの王道

2004年10月15日

先日、リクルートが発行するフリーマガジン R25 の例から、無料雑誌が今後は増えそうだという内容の投稿をしました(雑誌の新刊ラッシュの舞台裏には、業界全体のビジネスモデルの変化がある)。本日の nikkebp.jp に全く同じ切り口の記事フリーペーパー「R25」に学ぶことが掲載されました。私の着眼点が平凡であることの証拠かもしれません。筆者は、百年コンサルティングの鈴木貴博(すずきたかひろ)氏で、東大卒のボストンコンサルティンググループ(ボスコン)出身者です。まあ、立派なキャリアの人と同じようなことを言っているわけですから、よしとしましょう。さすがに鈴木氏の方は、もっと突っ込んだ提案をしています。

元々、雑誌の世界は広告収入で成り立っている。400円~700円くらいの価格の雑誌でも、雑誌自体の売り上げは収入全体の2割~3割程度で、7割は広告収入でまかなわれているのが大半である。もし広告収入が十分であれば、雑誌本体価格がゼロ円でもビジネスモデルは成り立つという理屈はあり得るのだ。

(中略)

例えば、「中身は充実して面白いけれど部数が伸び悩んでいる雑誌」を、新聞の定期購読のオマケにつけるという方法はどうだろうか。AERAに対抗して創刊されたものの、(失礼ながら)苦戦を強いられている「YOMIURI weekly」。無理してキオスクで売らなくてもよいではないか。
読売新聞の日曜版として毎週日曜日に読者の自宅に届けることにしたらどうだろう。読売新聞の部数は約1000万部なので、一気に週刊ポストを抜いて日本最大の発行部数を誇る雑誌になる。1000万部の読者に届くとなれば、広告収入は現在の何十倍にも増やすことが可能だし、コンテンツも今以上に充実させていくことが可能ではないか。

同様の考えで、逆に新聞の購読部数が日経・読売・朝日に比べて少ない産経新聞などは、「SPA!」を毎週火曜日に無料で届けるという手もある。SPA!は元々、雑誌として苦戦していた「週刊サンケイ」が思い切って内容刷新して若者向け雑誌として生まれ変わったところ、大ブレークしたという経緯がある。
その人気を利用して同誌と産経新聞をセットにすれば、産経新聞は若者に選ばれる人気新聞に躍り出る可能性もあるかもしれない。

大胆な発想です。しかも、第一線のコンサルタントが、こんなことを言って、「YOMIURI weekly」の編集部からクレームは来ないのでしょうか。「YOMIURI weekly」からの執筆のお呼びかからなく可能性は大きいでしょうね。

一見してよさそうなアイデアなんですが、2つ問題があります。1つ目は「YOMIURI weekly」は読んでいるが、読売新聞は読まない人、「SPA!」は買うことはあるが、産経新聞は絶対買わないような人への影響です。私は、このタイプの人間です。私の場合は、新聞のおまけの雑誌になってしまうと、雑誌単体での価値が下がってしまうような印象を受けます。他人にタダで配られているものに対して金を払う価値を感じないからです。したがって、雑誌の方も買うのを止めるでしょう。

もう1つは、逆のパターンです。新聞は読むけど、雑誌は欲しくない人もいるはずです。そういう人は、自分に興味のない雑誌をつけるくらいなら、その分新聞購読料を安くしろと主張するはずです。

同じようなことをつい先頃経験しました。あるビジネス雑誌で面白そうなセミナーの広告を見つけました。残念ながら、掲載されていた雑誌そのもを失念してしまったので、セミナーのタイトルは思い出せません。確か、35,000円程度の有料セミナーだったと思います。セミナーの内容そのものに興味をひかれたので、詳しく読むと、参加者には「Newsweek日本語版1年分進呈(たぶん)」みたいなことが書かれてあります。1年分を年間購読すると、15,000~16,000円程度の金額になります。

そもそも、そのセミナーの内容は、Newsweek とは全く無関係です。余計なおまけをつけて、セミナーの費用を高く設定する正当な理由が理解できません。Newsweek がセミナーのスポンサーであったのかもしれませんが、そのことは受講者には全く関係のない主催者側の勝手な都合です。こう考えると、急にセミナーの内容自体が色あせて見えてきて、参加を見送ることにしました。もちろん、セミナーの参加費は会社の経費で落として、雑誌だけ自宅に送付させることを考えている人間を狙った作戦とも解釈できますが、この際法人資本主義的発想は邪道として無視します。

この場合は、セミナー本体の価格は、20,000円前後(35,000円マイナス年間購読料相当)に設定すべきだと思います。その上で、受講者特典として、希望者には別途 Newsweek の割引を提示するのが正しいマーケティング戦略でしょう。 先ほどの例に戻れば、新聞のおまけとして雑誌を配るのではなく、雑誌が宅配される割引特典を提供するのが正しい方法なのではないでしょうか。大事なのは、消費者が望みもしないものを勝手に押し付けるのではなく、選択する権利を与えることだと思います。


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