« 法科大学院入学希望者に続き、公認会計士試験受験者も減少傾向 | メイン | 独身女性マーケットを狙うためには、どの程度特別な商品設計が必要か? »

Topマーケティング戦略製品/ブランド > 変人扱いされることを恐れているようでは、ビジネスの成功はおぼつかない

変人扱いされることを恐れているようでは、ビジネスの成功はおぼつかない

2004年10月22日

人は見かけによらないというか、ただのアブナそうに見える人が、実は一番真剣に新しいことに挑戦している人かもしれないという話を紹介します。情報源は、『カラダを張る(1)ワタシ自身が実験台(そこまでやるか)』(2004年10月20日 日本経済新聞夕刊 1面)です。

ウェアブル・コンピュータ Data Glass2とは、Data(情報、資料)とGlass(メガネ)をキーワードに名づけられ、「時代を先行く人がいつでもどこでもData Glass2をつけて映像や情報を見ることができる」、「パソコンをいつでもどこでも」をコンセプトに開発をしたウェアラブルパソコン用小型単眼ヘッドマウントディスプレイ(HMD)です。ハンズフリーで個人的に情報を得ることができるこのデバイスはウェアラブルディスプレイとして応用範囲が広がります。

大阪・梅田の人波をかき分けて異形の男が行く。デザイナーズブランドのスーツに長い茶髪。目に青色のコンタクトをはめ、額に取り付けた装置はチョウチンアンコウを思わせないでもない。「何や今のは」と振り返った人々はこの男性が大学教授とは思うまい。神戸大学でコンピューター利用を研究する塚本昌彦の風体はきままなスタイルの若者がかっ歩する盛り場でも目立つ。

「チョウチン」の正体は超小型のディスプレー。ベルトに取り付けた携帯パソコンとコードでつながっている。上目遣いにのぞきこめば、通常のパソコン画面を数10センチ離れたところから眺めているような感覚で見られる。いつでもどこでも、歩きながらでもコンピューターが使えるウエアラブル(装着型)と呼ばれる装置。便利には違いないが、100グラム前後ある装置を終日かぶり続けるのはやはり楽ではなさそう。だが、朝家を出て帰宅するまでこの格好で通す。装置を着けつづけても平気かどうか、体を張って試す。そして何よりも「ウエアラブルの伝道師」として、コンピューターを身に着けた生活をアピールするためだ。

ここまで読んで、我々凡人は「何も大学の先生が自分でそこまでする必要はないんじゃない」と考えてしまいます。実は一見突飛そうに思える行動にも、ちゃんとした理由があることがわかります。

四半世紀前に誕生したソニーのウォークマンはヘッドホンをつけて街を歩く格好良さが受けた。同じように「将来東京・原宿の盛り場で今の私のような格好をした若者が遊んでいる」と予言する。そのとば口を開くため、コンピューターを身にまとい、イベント会場や学会、とにかく人のいるところに出かけていく。コードの接続部の弱さなど、移動に慣れないコンピューターの課題は肌身離さずにいたからこそつかめた。

メンバーの上田安子服飾専門学校(大阪市)と協力してパソコンを組み込んだ衣装やバッグなどの商品を企画したり、ファッションショーを開いたりと、実用化に向け矢継ぎ早に仕掛ける。それにしても、いつまでこの姿でキャンパスや街を回遊するつもりなのか。「街行く人が当たり前のようにこれをつけるようになるとき。それが私が装置を外す日です」。ディスプレーの奥にのぞく目がウインクした。

自らが装着する理由は、2つあります。1つは実用化に向けて改善点を発見すること。もう1つは、製品プロモーションです。普通街中でのプロモーションは、綺麗な女性アルバイトあたりに任せてしまうことが多いものです。私自身も、そのような女性に詳しい製品の説明を求めても、満足な答えが返ってこないで、製品に対する興味を失ってしまったという経験があります。そのような場合も、開発者本人であれば、ちゃんとした説明をすることができます。また、一般消費者との会話から実用化へのヒントをえるケースもあるはずです。そう考えると、マーケットリサーチとしても合理的な行動として説明がつきます。

しかし、現時点で四六時中ディスプレイを眺めていなければならないようなアプリケーションがあるとは思えません。今のところは、携帯電話やPDAがあれば、十分でしょう。もし、ハンズフリーで作業しなければならない環境があるとしても、腕時計型の方が普及する可能性は高いと思います。塚本氏もそのような意見は十分に承知した上で、ファッション性をアピールする方向へマーケティングの軸足を移しているのではないでしょうか。

最初はファッション性だけで注目されたとしても、とりあえず試してみようと思う人が現われれば、成功だからです。製品は時として、開発者の意図しない使われ方が発見されて普及することがあります。研究室で製品用途をあれこれ想定しているよりは、ユーザに最もふさわしい使い方を探してもらう方が近道という考え方です。そのうち誰かが恰好よくて便利な使い方を見つけてくれさえすれば、製品も普及するという逆転の発想です。

なお、ウェアラブル・コンピュータの実機は、現在東京ビッグサイトで開催中の World PC Expo 2004 で見ることができます。展示会最終日の23日には、ステージ・ショーも予定されています。興味のある方は、自分の目でこの製品のファッション性を確認されてはいかがでしょうか。


★この記事が面白いと思った人は『人気ブログランキング』をクリックしてもらえるとハッピーです。


【本件に関連した書籍】

ウェアラブル・コンピュータとは何か
板生 清

おすすめ平均
どのような場面で利用されるかがメインです

Amazonで詳しく見る4140019999


  • このエントリーをdel.icio.usに追加
  • このエントリをニフティクリップに追加
  • このエントリをLivedoor クリップに追加
  • このエントリをFC2ブックマークに追加
  • このエントリーをバザールに追加
  • このエントリをSaafブックマークに追加
  • このエントリをChoixへ追加
  • newsing it!
  • このエントリーをCoRichへ追加
  • このエントリーをはてなブックマークする
  • このエントリーを含むはてなブックマーク
  • このblogをはてなアンテナに追加
  • このエントリーのはてなブックマーク数

関連するエントリー

ワード

このエントリーのダイレクトリンクURL:

現在コメント・トラックバックは受け付けていません


アクセス解析 アクセス解析 レンタルCGI