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日本マクドナルドの売上高1.5倍構想で問われる原田永幸CEOのマネジメント手腕

2004年10月26日

IT業界のビジネスリーダーが他業種のトップへと転出した稀有な例として、原田永幸アップルコンピュータ元社長が日本マクドナルドホールディングスのCEOに就任した話を投稿しました(IT業界のビジネスリーダーは、他業界へ転出してもその手腕を発揮できるか)。その原田体制のもと、日本マクドナルドが遠大な計画をぶち上げている話が明らかになりました。情報源は、週刊ダイヤモンド(日本マクドナルドが掲げる売上高1.5倍構想の成否』2004年10月30日号 p.18)です。

「2008年度に売上高6000億年を達成する」日本マクドナルドホールディングスが練っている壮大な長期経営計画の中身が判明した。2003年12月期決算における日本マクドナルドの売上高は3867億円、今期見通しは3960億円となっている。これを来期以降のわずか4年間で2000億円積み上げて、1.5倍にするという驚くべき構想なのだ。

いったいぜんたい、2000億円もの売上高を積み上げる秘策はあるのか。「現段階では、M&Aという"飛び道具"を使うつもりはない。本業のハンバーガービジネス活性化で増収を狙う」と日本マクドナルド幹部は打ち明ける。となれば、売り上げアップの手立ては、新規出店を加速させること、既存店売上高を増やすことの2つ以外にない。

新規出店については、すでに中長期的には4000店(今期末に約3770店舗の見込み)を視野に入れている。既存店売上高についても、原田永幸新社長が仕掛ける改革が奏功してか、5ヶ月連続で前年比7~10%増と堅調に推移している。店舗改装、商品構成変更などの施策によって、さらに底上げを図る。

もっとも、売上高を1.5倍に増やすほどの効果は望むべくもない。目標数字の勇ましさとは裏腹に、早くも社内からは「絵に描いた餅」という声があがっている。

「売上高1.5倍構想」には、実は米国本社の強い意向が働いているようです。この記事には、本社から実現不可能な数字を押しつられて、苦慮する日本の子会社という論調が見られます。確かに「4年後の1.5倍」という最終結果の数字だけに注目すると、実現不可能と捉えても無理のないことでしょう。 ここに数字の落とし穴があるような気がします。上で与えらた数字を元に、もう少し細かく分析してみました。今年度の売上高を3,960億円とすると、年率11%の増加率を4年間継続して、計画最終年度の2008年に6,000億円を達成することができます。年率10%では若干の未達に終わり、7%になると1,000億円強の増加にとどまります。

年度20042005200620072008
年率11%3,9604,3964,8795,4166,012
年率10%3,9604,3564,7925,2715,798
年率7%3,9604,2374,5344,8515,191

問題は、年間の売上の伸び率のリアリティです。本文中でには、「5ヶ月連続で前年比7~10%増と堅調に推移」とあります。そうすると年率に換算すれば、10%程度の達成は可能という考え方もできます。将来を展望すると、ファーストフード市場全体の成長鈍化や主たる顧客である若年層の減少等の外部環境には、ネガティブな要素が多いでしょう。しかし、画期的な新製品を投入したり、新たな顧客層が開拓できる可能性もゼロではありません。

したがって、年率10%強の成長は、マネジメントが示す目標としては、突拍子もないとまでは言い切れないように感じます。簡単に達成できる数字であれば目標としての意味がありません。本音では年率7%の成長を4年間継続して、売上高5,000億円あたりを着地点として考えているのかもしれません。長期計画において、最初から妥当な数字を提示しても、現場の士気は鼓舞できません。もちろん、長期目標の数字を押し付けるだけでは、現場の反発を招くだけです。マネジメントに必要なのは、そのための具体的な戦略プランを構築して、社員と共有化することです。

売上が長期低迷基調にあった日本マクドナルドに、外部から迎えられたのが原田CEOです。現在ところ店舗巡りも欠かさないなど、徹底した現場主義で社員の評価も高いようです。米国本社から与えられた長期目標を、実現可能なゴールとして社員に納得させることができるかで、トップマネジメントとしての力量が試されることになります。そのためには、単なる精神論を超えた具体的なプランを早急に示すことが必要でしょう。


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