新検索サービス導入に向け怒涛のキャンペーン(グローバルメディアオンライン)
2004年11月02日
ライブドアと楽天のプロ野球新規参入とそれに続くソフトバンクのホークス買収発表以来、ネット企業に対するマスコミの注目が一段と高まった結果、一般ビジネス誌でもネット企業の関連記事が毎週のように登場しています。そんなトレンドを総括するかのように、今週発売の東洋経済には一挙に30ページをさいて一大特集記事『熱いぞ!ネット企業 新次元に突入したネットビジネス』が掲載されました。
その中から、ライブドア、楽天、ソフトバンクに次ぐ、2番手グループに位置すると思われる、グローバルメディアオンライン(GMO)社長の熊谷正寿氏とサイバーエージェント社長の藤田晋社長の対談記事を紹介します。なお、2番手グループとは、事業規模の比較というよりも、マスコミで取り挙げられる頻度と考えてください。情報源は、『ネットバブル崩壊を乗り越えて 生き残りの「秘訣」は朝令暮改のスピード感』(週刊東洋経済 2004年11月6日号 p.36-37)です。
【藤田】2000年に上場したときに中長期の目標として04年9月期に売上高300億円、経常利益で30億円と掲げたのですが、その時点での実績では売上高で4億5,000万円しかありませんでした。それで現在はほぼ近いところまでできています。数字こそ計画どおりですが、何をやるかはまったく未知数でした。手探りでいろいろなものを試しながら、つじつまを合わせた感じです。
【熊谷】まったく同感です。マーケットの伸びは思ったとおりだったけれども、商材のポートフォリオというのでしょうか、これはまったく当初想定とは異なります。数字だけを決めて、それに見合うように商売をやってきたのが現在というわけです。ネットバブル崩壊を乗り越えた会社とそうでない会社の分かれ目はビジネスモデルではなく、経営者、経営陣の資質につきるのではないでしょうか。【藤田】たとえば楽天のモールというビジネスモデルは、日本でしか成功していないですよね。あれは三木谷浩史社長が頑張った、経営者の気合が大きかったと思います。とりわけネット企業の場合、経営者の頑張りはビジネスモデルに勝りますね。
【熊谷】頑張りというのは具体的にはスピード感に代表されると思います。うちでは上場したときのプロバイダ事業の売上高は今では全社の1割を切っています。インターネット産業は数年間で目まぐるしく変わってきました。事業領域は変わっていませんが、産業動向、消費者ニーズに自分たちを合わせてきたのです。
【藤田】古い会社は決断と実行に移すのが、僕らから見ると、びっくりするぐらい遅いですね。まだインターネット=わからないという心理的障壁が、年配の経営者に結構残っているところも、若い経営者が活躍しやすい環境になっている一因かと思います。ライブドアの堀江さんがプロ野球でネットやITに詳しいわれわれがやればうまくいくという説明をすると皆黙ってしまいますが、あれは典型的な反応だと思います。
この対談記事を読んでの第一印象は、両社長とも態度も紳士的で好人物であるということです。両社がネットバブルの崩壊を生き延びることが出来たのも、とりあえず高い目標を掲げてがむしゃらにやってきたからだということを正直に認めています。ネット企業の成功要因も、精緻なビジネスモデルの完成度というよりは、経営者のビジョンと頑張りによる方が大きいのが実情のようです。ベンチャー企業の社長の口から、古臭い「頑張り」という言葉が何度も出るのは意外に感じました。同じように高い目標を目指しながらも、バブル後に淘汰されたベンチャーも数多くあるわけですから、やはり両社長の手腕、特に臨機応変に軌道修正する俊敏さには、卓越したものがあったのでしょう。逆に高い目標を大言壮語しただけで、「頑張り」が足らなかった大多数の社長は、ただの「ほら吹き」で終わったことになります。ある意味では「勝ち組」と「負け組み」の差は紙一重だったのかもしれません。
この記事から受ける印象だけだと、穏やかそうな社長とイメージしてしまいますが、本当にそれだけだと思ったら大間違いです。目標を決めたらそれに向けて一気呵成に攻めまくる強引さも当然持ち合わせています。GMOが現在ターゲットとしているのは、検索エンジン・マーケットです。同社は9月19日、複数のサイトを一括検索できるサービス「9199.jp(クイックジェーピー)」をリリースしました。これはアクセスポートの運営する日本語キーワード検索「JWord」をベースにしたもので、アドレスバーにキーワードを入力すると、ExciteやYahoo! JAPANなど複数のサイトを一括して検索できるというものです。既にGoogle、Yahoo、Microsoftが圧倒的シェアを握っているマーケットへの参入には、果たして勝算はあるのでしょうか。その秘策として、大規模なプロモーションを計画しているようです。情報源は、「広告費10億円、05年度売上高60億円」--検索市場に切り込むGMOの狙いとはです。
【熊谷】TVCMを大々的に流そうと考えています。超有名タレントを起用して、大量に露出させます。10億円くらいの広告費用をかけるので、今世紀最大級のインターネット関連プロモーションになるんじゃないでしょうか。僕は中途半端がキライですから(笑)。数カ月後には、9199.jpは知らない人がいなくなるくらいのブランドになると思います。
僕らのメディアのパワーを最大限に引き出すためには、一般の人に対する刷り込みが重要なんです。例えばキリンの「生茶」も、CMだけを見て飲もうと思う人はいません。CMを見て、コンビニで見かけたときに買おうと思うわけです。9199.jpもバナー広告などのクリック率を上げるためにCMで刷り込んでいきます。
お米の炊き方ではないですけれども、事業も「はじめちょろちょろ」で、行けると思った時点でどんといけと言っています。ドメイン事業もはじめは様子を見ながらやっていましたが、行けると思ったので当時何億円も広告費をかけて、「ドメインとるならお名前.com」というブランドを築いたわけです。そういうことがすごく重要ですね。
超有名タレントが誰か気になるところですが、一大キャンペーンを計画していることは間違いありません。GMOの検索サービスは、既に他の検索エンジンを使いこなしているインターネットのヘビーユーザではなく、比較的新しいユーザをターゲットにしています。あるところで読んだ情報では、熊谷氏は自分の母親をベンチマークにしているそうです。そういった独自の分析から、現在の検索サービスには満足していない顧客層が多数存在すると考えたのでしょう。
果たして、大量のCM投入という洗脳型作戦で、目論見通り新しいユーザを開拓できるのでしょうか。 私自身はこの戦略に若干疑問を持つところもあるのですが、年末に向けて同社のキャンペーンと、その成果に注目していきたいと思います。
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