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日本で取れる会計資格 ハイリスク・ハイリターンからローリスク・ローリターンまで

2004年11月09日

今年度の公認会計士試験の合格者状況が発表されました。 情報源は、『会計士合格、最多の1,378人――2次試験9%増、就職難は深刻化』(2004年11月9日 日本経済新聞 朝刊 17面)です。

公認会計士・監査審査会は8日、2004年の公認会計士第二次試験の合格者が前年比9%増の1,378人と発表した。受験者数、合格者数、女性の合格者数いずれも過去最多だった。ただ、大手監査法人の今秋の採用人数は前年比横ばいで、就職難の深刻化を懸念する声も出ている。今年の受験者数は16,310人で前年より9%増えた。うち女性の合格者は同27%増の261人だった。合格率の8.4%、合格者の平均年齢26歳は前年と変わらなかった。最年長合格者は50歳で、最年少は20歳だった。

金融庁は約15,000人いる公認会計士を2018年をめどに5万人まで増員する計画で、合格者数は近年増え続けている。一方、監査法人は収入の伸び悩みなどを理由に採用を抑制している。あずさ、新日本、中央青山、トーマツの四大監査法人では、2004年秋の採用者数の合計は850人程度と前年比1%増にとどまる見通し。2002年までは合格者の9割が大手監査法人に就職できたが、合格者増に監査法人の採用抑制が重なり就職難が表面化した。二次試験の合格者は監査法人や企業で3年間の実務研修に入り、三次試験に合格して会計士資格を取得する。

日本の公認会計士マーケットは、当分の間オーバーサプライ(供給過剰)状況が継続しそうです。二次試験合格者の中で、一般企業への就職の道を選択せざるえない人の割合はますます増加するでしょう。こうなると、花形難関資格といわれていた公認会計士資格への挑戦は、ハイリスク・ハイリターンからハイリスク・ミドルリターンの方向へ変わっていくのではないでしょうか。

このような環境が続くと、経済のグローバル化を睨んで米国公認会計士への進路変更を考える人も出てくるような予感もします。こちらの方がはるかに敷居は低そうです。情報源は、『米国公認会計士――語学生かし国際派へ一歩』(2004年11月8日 日経産業新聞 23面)です。

米国公認会計士の資格を取得するには、米公認会計士協会(AICPA)などが実施する試験を受験する必要がある。5月と11月の年2回の試験だけだったが、今年4月に試験制度が改定され、最大で年4回の受験が可能になった。受験資格などは州によって異なるが、実際の受験地は自由に選べる。試験は全4科目で、問題はすべて英語。財務会計、商法、監査など幅広い知識が試される。受験料は1科目あたり100ドル50セント~134ドル50セント(約1万600~約1万4,300円)。出願料は州によって異なり、50~200ドル強(約5,300~2万1,200円)。

4月から完全にコンピューターベースになり、受験者は1万題以上の問題の中から無作為に出題される問題を解答。100点満点の75点以上で合格となる。暗記知識だけでなく業務遂行能力を磨く狙いで、今年から「シミュレーション」と呼ばれるケーススタディーの出題方式が導入された。合格率は40%台半ば。日本の公認会計士の8.4%と比べれば格段に広き門だ。資格学校大手のTACによると、合格者の70%強が社会人。「半年で合格する人もいるが、働きながらだと平均1~2年かかる人が多い」と言う。受験勉強に要する時間は1,000~2,000時間程度だが、英語の習熟度で大きく異なる。

人事コンサルティング会社、マーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティング(東京・新宿)の舞田竜宣シニア・コンサルタントは「資格取得を推奨する企業は増えているが、まだ定着していない」と話す。企業人にとって、米国公認会計士などに挑戦するなら時間・費用の面で個人の負担によるところが大きいようだ。

費用、勉強に必要な時間とも、その気になれば何とか都合がつきそうな感じもします。試験が年に4回も受けられるのは好都合です。当然、受験地までの渡航費は別途かかりますが、コンピュータ化によりグアムやハワイでも受験可能になりました。コンピュータ回答での合格ラインが75点以上というのも、魅力的に映ります。よくわからない設問でも、とりあえず回答さえしておけば、強運の持ち主は合格できるかもしれません。

気になるのは、取得した米国CPAの資格がどの程度評価されるかという点です。公認会計士や税理士などの専業的な資格とは、根本的に性格が違います。したがって、日本国内では独占的に何らかの業務を営む資格が与えられるわけではありません。しかし、会計の専門職として処遇する企業や、英語と会計の両方の達人として評価する企業も、外資系企業を中心に存在します。企業内で活用する資格としては、それなりの価値はあると思います。トータルで考えれば、ミドルリスク・ミドルリターンと言ったところではないでしょうか。

中程度ののリスクすら取りたくないけど、会計関係の資格に挑戦したいというわがままな人にお薦めなのが、米国公認管理士(CMA)という聞きなれない資格です。情報源は、『米管理会計士協、日本支部を発足――認定資格の知名度向上』(2004年11月2日 日経金融新聞 5面)です。

米国公認管理会計士(CMA)などの資格認定を行う米国管理会計士協会(IMA、ニュージャージー州)がこのほど日本支部を発足させた。管理会計の視点から経営戦略の立案などで経営トップにアドバイスするCMAの知名度向上に取り組む。IMAは1919年設立の管理会計担当者の団体で会員数は世界で約7万人。CMAのほか米国公認経営管理士(CFM)の資格認定もしている。米国以外にも支部があり、日本は国際支部としては7番目。会長に西沢脩・早稲田大学名誉教授が就任。事務局は早稲田大学商学部の清水孝教授の研究室に置いた。

日本でも広く認知されている米国公認会計士(CPA)は、主に社外で会計監査などを担当するが、CMAは経営企画部署などに籍を置き、生産、販売、財務など各種の会計情報から、経営の意思決定や戦略立案に対してアドバイスする。米国では25,000人以上のCMAが活動しているが、日本の資格保有者は約60人にすぎない。清水教授は「資格保有者を増やすよりも、まずはCMAの役割を認知してもらうことに力を入れたい」と話す。

はっきり言って、海のものとも山のものともわからない資格です。とりあえずグーグルで調べたところ、受験予備校のANJO Intenational のサイトが一番詳しいみたいです。これを見ると、この試験もネットワークを使ったコンピュータ出題で、日本から祝祭日を除き毎日受験可能なことがわかりました。

新聞記事にもあるように、これから日本で認知度の向上を計画している資格です。現在はとりあえず有資格者の数を増やそうという段階にあります。少なくとも3桁の資格保有者がいなければ、話になりませんし。新聞記事では否定されていますが、本音ベースで協会が考えているのは「質よりは量」でしょう。そうすると、試験が簡単な今のうちに受験した方が得策かもしれません。しかし、米国の試験の発想は「合格させること」で、日本のように「落とすこと」が目的ではありません。ですから資格の認知度が今より上がっても、試験が難しくなるという保証もありません。

資格取得後の利用方法は完全な企業内資格です。スタンスとしては、ローリスク・ローリターンでしょう。今後、この資格に有用性が認められれば、ミドルリターンに近付く可能性もゼロとはいえません。とりあえず取得して、おお化けするのを祈るというギャンブル発想で臨むべきでしょう。


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