« ボストンコンサルティンググループ次期代表は水越豊、御立尚資のツートップ体制 | メイン | ライブドアが募集を開始したパブリック・ジャーナリストに関する疑問点 »

Top経営戦略ネットビジネス > マスコミの寵児となった堀江社長が自社メディアを持つのは得策ではない

マスコミの寵児となった堀江社長が自社メディアを持つのは得策ではない

2004年11月21日

いまや一部マスコミの寵児となった感のあるライブドアの堀江貴文社長に関して、久々に投稿します。最近はマスコミへの登場機会も増えてきたので、堀江氏の発言を全部フォローすることはもはや不可能です。1番目は、新聞のインタビュー記事です。『カネで買えないものなどあるわけない』(朝日新聞 2004年11月20日 be)の中で、堀江氏の発想法の特徴がよく表れている部分を抜粋します。

── 他の企業に比べ、頭1つ抜けて見れる最大の理由は。
単純に、普通の経営者に比べて若いからじゃないですか。これってすごく大きい。みんな、やっぱりスピードが遅い。僕も体力的、精神的にいっぱいいっぱいでやっていますが、これを50歳でやれって言っても無理。だから、いちばん時間がかかる時間がかかる情報収集と知識の吸収ができていない。
── みんな、余計なことばかりしていると。
そう。人に会うなどリアル(現実)にモノを吸収するのは、物理的に限界があるわけですから、僕は、メールでもネットでも本を通じてでも、どんどんインプットする。圧倒的なスピードと効率でやれば、十分差別化になる。僕、ビジネスでも、同じ人に会うのは、せいぜい1、2回。あとは担当者に投げちゃいます。
── 東大在学中の96年に起業していますね。
バイトしてみて、インターネットが大きな市場になることが分かったし、これならナンバーワンになる可能性があると。大学には、ほとんど行ってません。東大は、入ったことが重要で、あとは、「何年入学だよね」「あっ、同じじゃない」って、人脈も勝手にできるんですよ。
── で、業績を順調に伸ばし。
ええ。本当に頭のいいヤツって、なぜか起業しないです。だから、楽に勝てた。

── 日本が窮屈では。
米国に行ったら、自分はワン・オブ・ゼムにすぎないんですよ。日本だから、「変なヤツ。クレージーだ」と言われながらも、オンリー・ワンなんですよ。願ったりかなったりです。
── ビジネスでは、ウィンドウズの対抗馬、リナックスがベースの基本ソフト(OS)を手がけるなど、「アンチ」を貫いてます。
もうかるからですよ。全部リナックスに切り替わったら、うちはボロもうけじゃないですか。要は、他人が注目しないところを狙うこと。うまくいけば、いちばんもうかるんですから。「逆バリ」の発想ですよ。
── おカネで計れないような価値を広めたいとは思いませんか。
それに何の意味があるのか、逆に教えてほしいですよ。世の中、おカネで買えないものはないし、おカネの前ではすべて平等なんです。いくら貧乏でも、才能があれば、それをおカネに換えられるし、頑張った分だけ報われる。頭がいいとか、運動能力があるとかって、絶対的な基準で比較はできない。でも、稼ぐおカネで推し量ることはできるんです。
── はっきりしていますね。
「おカネで買えない価値がある」なんて言うのは、自分が努力しないことに対する逃げ、自分の才能が足りないことを認めたくない逃げですよ。僕は、自分に能力がないんだったら、努力するか、あきらめるか、はっきりしろよって言いたいですね。
── 夢は何ですか。
ないですね。飽きっぽいんで。社長をやっていていいのは、最低限もうかれば、何をやっても構わないところ。知的好奇心を満たすため、毎日、毎時間、違うことをやって、それは満たされている。夢みたいな感傷的なもの、持たなくていいんですよ。

変わり者と考えられている堀江社長ですが、唯一信じられるものはカネしかないとの信念と、世の中の全ての事象を金銭に置き換えて考える発想は、終始一貫しています。そう考えると、同氏のシンプルな人生哲学は極めて理解しやすいものに思えてきます。

私が今回の記事に注目したのは、インタビュー発言内容よりも、掲載された媒体の方です。堀江社長も色々とマスコミに登場するようになりましたが、全く扱いのないメディアもあります。それは、読売新聞、週刊読売、Yomiuri Weekly 等の読売系の新聞、雑誌です。逆に言えば、「ホリエモン対ナベツネ」の図式を好むアンチ読売系のメディアにとって、堀江氏は恰好の材料を提供してくれる存在となり、重宝がられているわけです。堀江氏自身は、新規参入球団の決定が下りるまでは、直接的な反読売発言は控えていました。しかし、楽天に負けた後では、一転して今回の選考結果は読売の陰謀だとハッキリと述べるようになりました。怒りのマグマを溜めていた分だけ辛らつさも大きいようです。

その代表となるのが、先週発売の日経ビジネスに掲載されたインタビュー記事です。実名を挙げて、堀江氏が批判の矛先を向けているのは、楽天の小澤隆生執行役員や長谷川一雄コミッショナー事務局長などです。堀江氏が述べているようなことが実際に起こったのか、ことの真相は分かりません。ここでは、その種の批判的な部分は除いて、マスコミを買収したいという野望を語っているくだりだけを紹介します。情報源は、『敗軍の将、兵を語る "読売クラブ"にやられた』(日経ビジネス 2004年11月15日号)です。

具体的にどこを狙うかも、それは言えないですけど、我々は前からメディア企業を欲しいと言っている。新聞社はいらないし、プライベートカンパニー(非上場企業)だから買えないですよ。いちばん買いやすいところはどこか、自明の理じゃないですか。

在京キー局はすべて上場していて、カネ次第で株を売る外国人の持ち株比率も高いでしょ。放送局は、放映権というところでも野球ビジネスにおいて重要な地位を占めているわけですよ。

「敗軍の将、兵を語る」に載るんですか。やっぱり。僕は、あのコーナー大好きなんですよ。でも、やめましょうよ、敗軍って。負けイメージがつくのは嫌なんだけど。まあ、分かりましたよ。そうかぁ。初登場だな、俺。

ここで考えたいのは、ライブドアが既存のメディアを買収することの損得です。現在は堀江氏は、色々な話題を提供してくれる存在としてマスコミから引っ張りだこです。しかし、世間の熱は冷めるのも早いもので、来年以降同様にライブドアや堀江氏を好意的に扱ってくれる状態が続くとは思われません。メディア露出量としては、やはり球団オーナーとなった楽天や三木谷宏史社長の方が、 増えて行くことは間違いないでしょう。結局、ライブドアと楽天の知名度の格差は、徐々に広がっていくのではないでしょうか。

そうなると、やはり自社のメディアを通してライブドアのニュースを配信して、もっと知名度をあげることを目指すのは、十分に理にかなった発想に思えます。しかし、自分でメディアを持った場合のライブドアを、競争相手となる他のマスコミが好意的に扱ってくれることはなくなるはずです。むしろ、今度はライブドアは商売敵として恰好の標的となり、同社に対する批判的な記事しか掲載されなくなる可能性も高いでしょう。

また、日頃リベラル振りを装っている日本のマスコミも、野球界と同様に体質の古い面もあります。特に、新参のよそ者が既存メディアを買収するという行為に出れば、一致団結して守りに入るような展開も予想できます。数年前にソフトバンクの孫正義氏がテレビ朝日株を保有した時も、マスコミの集中砲火を浴びました。堀江氏のキャラクターを考えれば、それ以上の反発が起きることでしょう。

こういう風に考えると、ライブドアが自社メディアを保有することは、戦略的にはマイナス面が多いと考えられます。今のように、たまに面白い話題を提供して、読売系以外のマスコミ各社と共存共栄の関係を維持している方が、得策ではないでしょうか。堀江氏なら、例え悪いニュースばかりになっても、マスコミに登場することそのものが自社の知名度の向上につながると喜びそうな姿も予想できます。しかし、悪名ばかりが高くなったら、やはりライブドアの株価も下がるでしょう。株式市場も所詮美人コンテストと同じですから。株価の下落を一番恐れているのは、他ならぬ堀江氏本人のはずです。

最後に、一時はマスコミに持てはやされ、その後激しいバッシングの嵐に遭って、いまや全然マスコミからも見放されたベンチャー企業の社長の例を紹介します。マスコミが相手にしなくなっても、会社の業績は順調です。情報源は、『光通信会長重田康光氏――野球チームに興味ない』(2004年11月17日 日経金融新聞 5面)です。

「地味な会社になったので野球チームには興味がありません」と語るのは光通信の重田康光会長。以前、ベンチャー投資の対象だったライブドア(当時は前身のオン・ザ・エッジ)が球団獲得に意欲を見せているが、同社では主力事業との相乗効果がないと判断した。

中小企業向けコピー機販売や保険契約獲得事業が好調。「顧客基盤が整い収益が安定」してきており、通期の連結純利益を上方修正、2期連続で最高益更新の見通し。「今後も主力事業に特化して着実な利益成長を続ける」と、長打狙いでなく、こつこつヒットを重ねる考えだ。

こういうやり方もあるわけですから、何もメディアを利用するだけが経営手法ではありません。


★この記事が面白いと思った人は『人気ブログランキング』をクリックしてもらえるとハッピーです。


【日経ビジネスのライブドアに関する記事】昔は完全なキワモノ扱いだった

【堀江社長のように「カネこそ全て」と考える人への参考書籍】

「東大脳」の作り方と使い方
中本 千晶

生活情報センター
2004-10
売り上げランキング 15,439

おすすめ平均 
東大卒逆学歴コンプレックス
東大卒の人に過大な期待をしないために

Amazonで詳しく見るby G-Tools

一攫千金―なにをやってもサイテーな男の成功術
安田 久

講談社
2004-10
売り上げランキング 14,184

おすすめ平均 
この本で得られたこと。

Amazonで詳しく見るby G-Tools

金のつくり方は億万長者に聞け!~大富豪トランプの金持ち入門~
ドナルド・トランプ

扶桑社
2004-09-25
売り上げランキング 11,115


Amazonで詳しく見るby G-Tools

宝島社文庫「金持学(かねもちがく)」
関口 房朗

宝島社
2004-09-29
売り上げランキング 8,006

おすすめ平均 
待望の文庫本化

Amazonで詳しく見るby G-Tools

間違いだらけの自己投資―「100万円かけて勉強する人」から「成長して1000万円儲ける人」になろう!
西田 光弘

ソフトバンクパブリッシング
2004-09
売り上げランキング 1,192

おすすめ平均 
自己投資に落とし穴
自己啓発オタクの、オタクによる、オタクのための本。
輝く凡人になりたい

Amazonで詳しく見るby G-Tools

マーフィーお金に好かれる50のルール―この法則で、あなたも幸せなお金持ちになれる
佐藤 富雄

ゴマブックス
2004-09-10
売り上げランキング 11,614

おすすめ平均 
前向きになる本
お金持ちの頭の中

Amazonで詳しく見るby G-Tools

夢をかなえるお金の教え 豊かさの知恵 お金と幸せを呼びこむ「経済自由人」という生き方
本田 健

フォレスト出版
2004-01-16
売り上げランキング 3,097

おすすめ平均 
充実してます。
心が晴れました
素晴らしい本です。★5つで推薦させていただきます

Amazonで詳しく見るby G-Tools

ハワイ プチ富豪の成功法則
ヒロ・ナカジマ

アスコム
2004-10
売り上げランキング 292

おすすめ平均 
女性でも役立つ本です
考え方、Goodですね
実体験だから、ジーンときます。

Amazonで詳しく見るby G-Tools

普通の人がこうして億万長者になった- 一代で冨を築いた人々の人生の知恵
本田 健

講談社
2004-02-18
売り上げランキング 1,715

おすすめ平均 
インタビューもの?
幸せにお金持ちになるには
もう少し1万2000人の肉声が聞こえれば尚良かったかも知れません

Amazonで詳しく見るby G-Tools

金持ち父さんのサクセス・ストーリーズ -金持ち父さんに学んだ25人の成功者たち
ロバート・キヨサキ

筑摩書房
2004-11-09
売り上げランキング 575

おすすめ平均 
成功者の体験が大変役に立ちます

Amazonで詳しく見るby G-Tools

金持ち父さんの金持ちになるガイドブック -悪い借金を良い借金に変えよう
ロバート・キヨサキ シャロン・レクター 白根 美保子

筑摩書房
2004-11-09
売り上げランキング 563

おすすめ平均 
何度も、決意を確かめるために。
非常に簡単で理解しやすい本です。

Amazonで詳しく見るby G-Tools

世界一の金持ちになってみろ!―単純に考えればうまくいく
竹村 健一 堀江 貴文

太陽企画出版
2004-10
売り上げランキング 1,464

おすすめ平均 
お金が好きな人にはOK!!!★★★★★
物事を合理的にシンプルに考える、本当に頭のいい人。
下卑た拝金主義ばかりを強く感じる。

Amazonで詳しく見るby G-Tools

稼ぐが勝ち ゼロから100億、ボクのやり方
堀江 貴文

光文社
2004-08-07
売り上げランキング 2,354

おすすめ平均 
恐るべし。だがしかし。。。。
誇大的妄想本 (ある意味おススメ)
ちょっと中身が薄過ぎるかな・・

Amazonで詳しく見るby G-Tools

堀江貴文のカンタン!儲かる会社のつくり方
堀江 貴文

ソフトバンクパブリッシング
2004-08-31
売り上げランキング 1,281

おすすめ平均 
『稼ぐが勝ち』のほうが面白かったです。
1つの価値観としてはいいと思う
安物

Amazonで詳しく見るby G-Tools

100億稼ぐ仕事術
堀江 貴文

ソフトバンクパブリッシング
2003-11-15
売り上げランキング 8,599

おすすめ平均 
ネット社会の仕事の仕方が参考になった
コスト意識
確かに睡眠時間は大事だね・・・共感!

Amazonで詳しく見るby G-Tools


  • このエントリーをdel.icio.usに追加
  • このエントリをニフティクリップに追加
  • このエントリをLivedoor クリップに追加
  • このエントリをFC2ブックマークに追加
  • このエントリーをバザールに追加
  • このエントリをSaafブックマークに追加
  • このエントリをChoixへ追加
  • newsing it!
  • このエントリーをCoRichへ追加
  • このエントリーをはてなブックマークする
  • このエントリーを含むはてなブックマーク
  • このblogをはてなアンテナに追加
  • このエントリーのはてなブックマーク数

関連するエントリー

ワード

このエントリーのダイレクトリンクURL:

このエントリーのトラックバックURL:

【注意】重複トラックバック防止プラグインにより、同一エントリーに対する同一のトラックバックは登録されない設定にしています。また2006年から、本エントリーへのリンクのないトラックバックも登録されない設定に変更しました。

コメントする

(初めてのコメントの時は、コメントが表示されるためにこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまでコメントは表示されませんのでしばらくお待ちください)



アクセス解析 アクセス解析 レンタルCGI