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楽天のプロ野球コンテンツ配信はネット企業の技術力のショーケースとなるのか

2004年11月25日

プロ野球参入表明以来、一般マスメディアでも楽天やライブドアの記事が急激に増えてきました。このブログでもビジネス誌の記事を中心に両社の話題を取り上げてきましたが、そこで論じられているのは当然ながら両社の投資戦略や、マーケティング戦略が中心となります。そのせいもあり、私も技術力という観点から両社の現状を深く考えたことはありませんでした。これには、私自身が技術にはあまり詳しくないことも影響しています。そこで今回は、ライブドアの執行役員 Chief Technology Architect の宮川達彦氏が、両社の技術力に関して述べたコメントを紹介します。情報源は、ライブドアはテクノロジー企業かです。

さて翻ってライブドアですが、Googleのようなコアコンピタンスとなる強靭なテクノロジーというものは基本的には保持していません。もちろんエンジニアのレベルは個々では優秀な部類で、アプリケーション面では、自社開発のオープンソースフレームワークを共通武器に、インフラ面でも、テレビなどで話題になり殺到しているトラフィックも自社のデータセンターでほぼすべてまかなっており、その強みは間違いなくあると思います。

ただ、この会社にとってそうした技術面での強みは、1つの要素ではあるものの、それがよりどころとなるようなコアなものではないということは言えると思います。ちょうど同様の立場から書かれている GREE の田中良和氏のエントリ「ネット産業は、サービス産業かテクノロジー産業か?」がよくまとまっているので引用しますと、

「で、たしかに、日本にはテクノロジーな企業がぱっと思い浮かばないぐらい少ないのですが、僕が思うにこれはシンプルな問題で、(楽天しかり)「生活密着型サービス産業」のほうが儲かるから、ということだと思います。
...
#楽天の例で言えば、そんな凄いECシステムも、多くの店舗と購入者が存在するから、初めて価値があるわけで、システムだけ持っていても、そんなに収益を上げられるはずもありません。サービスとテクノジーが両輪といっても、優先順位があるわけです。 」

ライブドアでも同じことは言えるわけです。ただ具体的なサービスのアプローチの仕方として、Yahoo!や楽天と比較すると、ライブドアではより先進的なテクノロジーであったり、日本の市場ではまだ馴染みがないようなサービスでも積極的に取り入れていく、というところに違いは見出すことができるんじゃないでしょうか。

確かに楽天にしろ、ライブドアにしろ、サービスのバックボーンを支えるには、相応の技術力の蓄積があることは想像できます。あくまでもサービスあってのテクノロジーという考え方も、両社で共通しています。したがって、外部へのアピールの仕方も、米国のIT企業のそれとは若干異なるようです。米国企業では、製品やサービスのかなり先のリリース予定までも、ロードマップという形で積極的に外部に発表することが珍しいことではありません。一方、楽天やライブドアが打ち出しているものは、単純な技術の方向性というよりは、ビジネス・モデルのビジョンを示すものに近いように感じます。

両社とも日本のネット業界で有数の技術陣を抱えていることも確かでしょう。先に紹介したライブドアの宮川氏は、個人としても日本のRSSサービスの先駆けとなったBulknewsを運営していることで有名です。同様に個人として GREE を開発、運営してきた田中良和氏は、先月まで楽天の社員でした。この度、GREE を株式会社化し、新会社の社長に就任するために、楽天を退社しました(「GREE」が株式会社化、楽天が出資)。この2人は、たまたま私が公開情報からその存在を知っただけです。両氏と同じ、もしくはそれ以上の技術力を持った人が、ライブドアや楽天の社員として働いていると想像するのが自然でしょう。こう考えると、両社がかなりの技術基盤を持つ会社であると推測することができます。

そうはいっても、技術者以外で最先端のテクノロジーを理解できる人は限られているでしょうし、私のようにコア・テクノロジー自体には深い関心のない人も多いと思います。そういう人にとっては、身近な例で洗練されたアプリケーションを体験するのが、企業の技術力を理解する早道になります。例えば、楽天がプロ野球配信で計画中の新サービスは、そうした技術実験の場として期待できるものになりそうです。情報源は、『楽天「参加型」ネット中継――月額300円、利用1万5000人、ソフトバンクも検討』(2004年11月24日 日経産業新聞 1面)です。

楽天は有線ブロードネットワークスとの折半出資会社、ショウタイム(東京・渋谷)が運営するブロードバンド(高速大容量)通信対応コンテンツ(情報の内容)配信サイトを通じて放送する方向で検討に入った。視聴登録すれば月額三百円程度で見放題といった提供を想定している。

三木谷浩史社長は「試合のライブ中継だけでなく、クリックひとつで様々な映像を楽しめる仕掛けも考える」としており、情報技術(IT)を最大限に駆使する。具体的には試合中のベンチやブルペン、試合後のロッカールームの様子や監督インタビューをネットで流す。監督のさい配について試合中に視聴者同士で評価しあうなど、従来のテレビ放送にはなかった新たな楽しみ方ができるようにする方向で計画する。

プロ野球コンテンツの利用については、ソフトバンクも新しい試みに挑戦すると言われています。プロ野球という歴史あるオールド・コンテンツを、ネット企業の技術力でどのように料理してくれるのでしょうか。この試みが成功すれば、常日頃技術そのものには興味のない一般消費者にも、ネット企業の技術力が生活をが豊かにする可能性を示すことができるはずです。楽天とソフトバンクの野球コンテンツ・ビジネスの新機軸に期待しましょう。


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