« 佐川急便も短期間で荒稼ぎ可能な苛烈な実力主義から普通の成果主義に変貌中 | メイン | 米国では iPod 人気が Mac ユーザ新規開拓に奏功。日本の年末商戦はいかに? »

Topマーケティング戦略 > コレクションは「分冊配本」のコツコツから「大人買い」のドカンの時代に

コレクションは「分冊配本」のコツコツから「大人買い」のドカンの時代に

2004年11月27日

分冊出版(part-work publishing)という独特のマーケティング手法を展開していたデル・プラド・ジャパンが破産しました(デル・プラド・ジャパン、破産宣告)。これで、日本で活動している分冊出版の大手は、イタリア系のデアゴスティーニだけになります。

帝国データバンクによると、東京地裁は11月24日、分冊百科で知られるデル・プラド・ジャパンの自己破産の申し立てを認め、同社に破産宣告した。負債は約55億6000万円。

同社はスペインEDICIONES DEL PRADOが2000年に国内事業を展開するために設立。ミニチュア付き「デル・プラドコレクション」を発行し、これまで「レーシングカー」「消防車」など約15シリーズを展開。2004年3月期の売上高は約19億4200万円だった。

だが今年11月初旬、業務提携先の扶桑社が、デル・プラドの債務不履行を理由として契約解除を発表、「マイドリーム ドールハウス」「クラシック・カフェ」など7シリーズの販売を取りやめ、動揺が広がっていた。

扶桑社が販売していた『週刊デル・プラド コレクション』は、次の7種類です。

  • 「マイドリーム ドールハウス」
  • 「クラシック・カフェ」
  • 「世界のレーシングカー」
  • 「世界の航空機 100年物語」
  • 「ザ・バウンティ 伝説のバウンティ号を作ろう!」
  • 「シンフォリーズ DVDコレクション」
  • 「バトル・フィールド」

扶桑社からの販売中止の知らせを聞いて、途中まで蒐集していた熱心なファンの間には、かなりの動揺がありました。代表的な反響は、 SIMPLE をご覧下さい。中には、扶桑社が扱いを中止したことを知らずに、10日間も書店を探し回った人もいたようです。

で,どうなるのかなぁと思って扶桑社に電話したけど繋がらん。そんでデル・プラド カスタマーに聞いてみた。「他の出版社より継続して販売していく」とのこと。ただし手続きに少なくても1~2週間はかかるので,手続き完了後に配本されるらしい。

というか,いきなり契約切られたんかな。~までに解除ってなれば準備はしてるだろうしねぇ。どっちにしろ読者には迷惑な話だ。

今回デル・プラド社の破産が確定したことで、扶桑社以外の出版社から継続して発売されるという、コレクターの一縷の望みも絶たれたことになります。途中までコレクションを集めていた方には、本当に同情します。私も昔分冊もので、CDを定期購読していた経験があります。CDの場合はコレクションが途中で断絶しても、それまで集めていたものを聞くことはできるので、商品としての使用価値がなくなるわけではありません。一方、純粋に眺めるだけのコレクションの場合は、不完全なままで終わると、不満も大きくなるでしょう。現在、デル・プラド社の ホームページは、次のメッセージを表示したまま休止状態です。

現在、サーバー移転の為コンテンツを調整中です。
再開まで今しばらくお待ちください。

皆様には大変ご迷惑おかけしますが、何卒ご理解いただけますようお願い致します。

デル・プラドはすでに破産宣告を受けてしまったので、民事再生法や会社更生法を適用した再建の可能性もゼロです。したがって、ホームページが「再開」する望みはありません。

私なりにデル・プラド社のビジネス・モデルが破綻した理由を考えてみました。その背景には、コレクターの購買パターンの変化があると想像します。昔は、コレクションというのは、限られたお小遣いを使って、1つ1つ順番に買い足していくのが普通であったような気がします。この少しずつ増やすというプロセスそのものを楽しむという余裕もありました。そういう時代にピッタリなのは、分冊本による蒐集でしょう。

ところが、最近はなんでもせっかちに結果を求める時代です。そういう時代には、分冊型でコツコツ蒐集するという「スロー・コレクション」は、合わなくなってきたように思います。今は、集めたいものがあれば、一気にまとめ買いをする「ファスト・コレクション」の時代です。情報源は、本当の大人は「大人買い」ができないです。

子どものとき「家にはお金ないんだよっ!」と親に言われて無理やり抑えつけてきた物欲。それを自分の稼ぎで自由に使えるようになった経済力で一気に解放してしまうのが「大人買い」だ。

集められなかったライダーカードを箱買いして一気にコレクションを完成させるのも「大人買い」なら、指をくわえて我慢している小学生の目の前で食玩やトレカをイナゴのごとく漁っていくのも「大人買い」。

「いい大人が子どものおもちゃを買いあさるんじゃねぇよっ!」と、小中学生の不興もいっしょに買いまくっているようだが、まあまあ、そういわずに暖かい目で見守ってくれたまえ。君達も大きくなったら、目の前で一心不乱に食玩を吟味するお兄さんのように、夢をかなえるときがきっとくるはずだから。

おそらく「大人買い」をする人は、コツコツ型の分冊配本には見向きもしないでしょう。さらに今回のデル・プラドの件で懲りたので、分冊本には2度と手を出すまいと心に誓った人も少なくないはずです。結論としては、今後分冊本マーケットが以前のような活気を取り戻すことはないように思います。


★この記事が面白いと思った人は『人気ブログランキング』をクリックしてもらえるとハッピーです。


【本件に関係した書籍】

利益重視型マーケティングBRM~「人口減少」時代の新しい売り方~
桑畑穣太郎

フォレスト出版
2004-10-20
売り上げランキング 14

おすすめ平均 
人口減少時代のマーケティング革命かも!
3年後、5年後に…
生き残りたいなら、読んだほうがいい。

Amazonで詳しく見るby G-Tools

集客を約束する7つのマーケティング戦略
村山 涼一

おすすめ平均 
プロの「思考の道筋」が体感できる一冊

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

単なる知り合いが顧客に変わる本
ティム・テンプルトン , 門田 美鈴

おすすめ平均
親愛なるミスターティム、とてもいいストーリーです。
出来過ぎの物語。でも、だからこそわかりやすい。

Amazonで詳しく見る4396650280

「買いたい心」に火をつけろ! 顧客が本当に欲しいものは何か
ハリー・ベックウィス , 阪本 啓一

おすすめ平均
マーケットには常に人が介在している
実践的マーケティングの入門もしくは基本の復習に
現場

Amazonで詳しく見る4478502234

ヒトはなぜその商品を選ぶのか?―脳とクオリアから解き明かす
平林 千春

おすすめ平均
もう少し実例で検証して欲しかった
クオリア

Amazonで詳しく見る4534037538

クチコミはこうしてつくられる―おもしろさが伝染するバズ・マーケティング
エマニュエル ローゼン, Emanuel Rosen, 浜岡 豊

おすすめ平均
「バズ」はとても大事
元気をもらえる本です

Amazonで詳しく見る453214938X

深層心理で売る技術―欲望を巧みに操る賢者のテクニック
内藤 誼人

おすすめ平均
トリビア的「へー」深層心理テクニック満載
初心者でも売れる技術

Amazonで詳しく見る4569638805

「通販マーケ」を商売に活かせ! こうすれば劇的に売れるよ
岡崎 太郎

おすすめ平均
わかりやすい言葉が腹に染みる
いい!!!
こんな実践本が欲しかった!

Amazonで詳しく見る4757302347

儲けのヒントはこの本から盗みなさい!―お客の心をつかむアイデアが続々湧いてくる本
小島 章裕

おすすめ平均
会社の社長さんに読んで頂きたい本!
役立つアイデアの元がぎっしり!!
ワクワクして、視点をかえられる本

Amazonで詳しく見る4806120480

なぜか買ってしまうマーケティングの心理学
重田 修治

おすすめ平均
営業担当者は知っておかなければならない基本!
へぇ、こんなところにも心理学
行き詰ったときのヒントが満載です。

Amazonで詳しく見る4756905781

心理マーケティングの技術
重田 修治

おすすめ平均
おもしろい!
読みやすかった!わかりやすかった!

Amazonで詳しく見る4569633692


  • このエントリーをdel.icio.usに追加
  • このエントリをニフティクリップに追加
  • このエントリをLivedoor クリップに追加
  • このエントリをFC2ブックマークに追加
  • このエントリーをバザールに追加
  • このエントリをSaafブックマークに追加
  • このエントリをChoixへ追加
  • newsing it!
  • このエントリーをCoRichへ追加
  • このエントリーをはてなブックマークする
  • このエントリーを含むはてなブックマーク
  • このblogをはてなアンテナに追加
  • このエントリーのはてなブックマーク数

関連するエントリー

ワード

このエントリーのダイレクトリンクURL:

このエントリーのトラックバックURL:

【注意】重複トラックバック防止プラグインにより、同一エントリーに対する同一のトラックバックは登録されない設定にしています。また2006年から、本エントリーへのリンクのないトラックバックも登録されない設定に変更しました。

トラックバック

» デル・プラド・ジャパンに動きあったけど…… from Simple...
 破産宣告をしたデル・プラド・ジャパンの 続きを読む

コメントする

(初めてのコメントの時は、コメントが表示されるためにこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまでコメントは表示されませんのでしばらくお待ちください)



アクセス解析 アクセス解析 レンタルCGI