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拡大路線を邁進するアマゾンのマーケティング戦略への疑問の声

2004年12月08日

前回、楽天を題材にして日本のネットショップの年末商戦の話題を投稿しました(楽天ランキングマガジン「伊達男の作り方」にタレントのI氏が登場)。今回は、ネットの本場米国のクリスマス商戦の話題を紹介します。情報源は、『店頭侵食ネットが主役、米クリスマス商戦――イーベイなど、懸賞や競売連動奏功』(2004年12月7日 日経産業新聞 3面)です。

店頭販売が力強さを欠く米クリスマス商戦で、インターネットを通じた販売が好調に滑り出した。高速接続などネット環境の改善に加えて、ネット企業側の積極的な広告宣伝によってギフトを買う場所として消費者の認知度が向上。店頭小売業のシェアを侵食しながら、ネットが商戦の主役になりつつある。

調査会社のニールセン・ネットレーティングスが、商戦初日のネット販売サイトへの訪問者数をランキングにまとめたところ、イーベイがアマゾン・ドット・コムやウォルマートを引き離してトップとなった。一連の販売促進が奏功しているとみられる。

ネット販売の構成比はまだ小売売上高全体の10%未満との見方が大勢だが、米アメリカ・オンライン(AOL)の調査では、今年の商戦で消費者が買い物予算の半分以上をネットにあてると回答。「店頭販売の鈍さの要因のひとつはネットの伸び」(国際ショッピングセンター協会)というのは確かなようだ。

米国ではネットショップの伸びが好調です。この記事の調査結果通りになれば、今年のクリスマス商戦では、ネットショップと実店舗との売上げが逆転することになります。しかし、すべてのネットショップが絶好調というわけではありません。 この記事にあったように今年の年末商戦の主役は、アマゾンではなくイーベイに移ったようです。実際のサイト訪問数でイーベイに差をつけられただけでなく、アマゾンの拡大路線に関しては、その戦略上の問題点を指摘する声が多くなってきました。情報源は、ウォートン・ビジネススクールの Amazon's Multiple Personalities です。以下に論点をまとめました。

証券アナリストは、アマゾンの現在の株価($39.9)は割高で、適正価格は $26と評価している。その理由は、アマゾンはもはや一般の小売業として評価されるのが相応しく、成長産業としてプレミアムが許されるネット株とは考えられなくなったからだ。低成長の成熟産業に位置する小売業となったアマゾンの株価は、同業の Kmart や Sears の株価と比較されるべきである。ネットバブル最盛期の90年代後半には、赤字であるにもかかわらず、成長性が注目されていたアマゾンの株価が、$400もしていたことを考えると、隔世の感がある。

あらゆる商品を扱うアマゾンの「デパートメント」戦略に疑問を述べる声は多い。実店舗の世界では有効となる「One-stop shopping」コンセプトは、クリック1つで簡単にサイトを移動できるネットの世界では意味がない。また、アマゾンの最大の問題点は、消費者には依然として書籍とCDのオンライン小売店としか見られていないことにある。しかし、現在のアマゾンは2つの異なる性格を持っている。1つは書籍とCDを自分で販売するオンライン小売店。もう1つは提携先の Target や Toys 'R' Us のためのショッピングモール。加えてアマゾンは、激戦区の家電や衣料の分野へも提携先を拡大している。

このような一般日常品では、アマゾンの強みである独自性や、大量仕入れによるコスト優位性を生かすことはできない。特に家電では、Wal-Mart や Best Buy に太刀打ちできないことは明らかだ。アマゾンが取り組むべきは、扱い商品の絞込みと、需要に応じて販売価格を変更する「Dynamic pricing」の導入等による収益力の向上にあるはずだ。

要するに使い古された表現になりますが、「選択と集中」が大事という指摘です。アマゾンの拡大路線は、創業以来業容を拡大することのみを目標にしてきた、CEOのジェフ・ベゾスの信念に基づくものです。したがって、他人にどう言われようとも、簡単には戦略転換はしないのではないでしょうか。

アマゾンのビジネスがここまで発展してきた背景には、24時間365日稼動する受注システムや顧客データベースの活用などの卓越した技術革新があったことも間違いありません。しかし、提携先との拡大を急ぐあまり、最近は定評のあった技術面でも問題を露呈するという失態を招いています。情報源は、米大手量販店サイトでマリファナ登場の謎です。

Amazon.comとの提携の下でインターネット店舗を運営する大手量販店Targetは、自社サイトの検索結果にセックスやドラッグに関する書籍やビデオが表示されるとは夢にも思わなかっただろう。大手量販店が取り扱うとは思えない商品がTargetのオンライン店舗に表示されるとして、インターネットではここ数週間、同社のサイトがハッキングされたとの憶測が流れていた。例えば、同社ウェブサイトの検索ボックスに「マリファナ」と入力すると、Targetが販売するはずのないマリファナに関する書籍やCDの情報が表示されてしまう。さらに、他の検索語を入力すると、セックスやドラッグに関する書籍やCD、DVDが表示されてしまった。

Amazonは、Targetのサイトに表示されたのは、自社または提携先が扱っていた商品だったことを認めた。Targetは、両社のEコマースネットワーク間で情報をやりとりするプロセスに問題があったと述べ、サイトがハッキングされたわけではないと付け加えた。Amazonの広報担当は問題について、Amazon側に不備があったわけではなく、質問があればTargetに問い合わせて欲しいと述べた。

Amazonは現在、TargetのEコマースサイトの運営管理を請け負っており、注文受付やカスタマーサービスなどの業務を担当している。2001に締結されたこの契約は2008年まで有効。AmazonはTarget以外にも、MarshallFields.comやMervyns.comといったオンラインサイトにも同様のサービスを提供している。

確かにアマゾンは転換期を迎えつつあるようです。これが更なる成長のための踊り場なのか、それとも平凡な小売業へと向かう道なのか、果たしてどちらなのでしょうか。一方、日本のアマゾンでは、米国ほどの拡大路線を急ぐ姿はうかがわれません。最近のトピックとしては、雑誌や玩具の取り扱いを開始した程度ではないでしょうか。これらの商品は何れも嗜好性の高い商品なので、現在のアマゾンの顧客特性にマッチした安全な拡張策と考えてよさそうです。

日本では提携商品の扱いにも慎重なようです。小口配送が可能な宅配便網が発達した日本では、有力ブランドであれば何もアマゾンの配送網に頼る必要はないので、自社サイトでの直販を選ぶでしょう。ブランド力のない商品の場合は、集客力に優れた楽天への出品の方が魅力的に映るはずです。そうなると、日本のアマゾンが提携商品を積極的に開拓できる余地は少ないように思えます。


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