就職戦線での慶應躍進の原動力はOB組織 早稲田は新刊雑誌でイメージアップ
2004年12月08日
国士舘大学サッカー部に続き、亜細亜大学野球部の不祥事が報道されています。 一部の不届き者の行いが、学校全体のイメージダウンになることも多いので、大多数の真面目な在校生や卒業生の方には、心より同情します。特に、就職活動中の両大学の学生には迷惑このうえない話でしょう。就職戦線といえば、学部卒学生の内定率が低下を続ける中でひとり気を吐いている学校が、陸の王者慶應義塾大学です。情報源は、『就職戦線「慶応圧勝」の理由 企業の慶応好き』(AERA 2004年12月13日号 p.36-38)です。
リクルーター制度のある企業に学生が呼び出される順番にも変化がある。順番は、企業がどの大学に学生を優先的に採りたいかを示す指標だが、これまでなら、
「東大」「一橋」「早稲田・慶応」「明治・青山・立教・中央・法政」という順番が最近は、
「東大」「一橋・慶応」「早稲田・明治」「青山・立教・中央・法政」という序列になっているという。アエラが全国の67大学を対象に行った調査では、人気企業就職率(アエラが抽出した110社に就職した学生の合計を卒業者数で割った値)が慶応大経済学部で23.4%、商学部で19.3%など7学部中6学部で10%以上と極めて高い数値となった。就職率(学部卒業者。進学者は除く)も68.39%と高いレベルだ。
一方、早稲田大の就職率は56.64%と慶応に10ポイント以上離されている。とくに看板学部の理工学部の就職率は54.33%と低いのが目立つ。人気企業就職率は政治経済学部が20.2%と健闘しているものの第一文学部、教育学部、社会科学部、理工学部が軒並み10%を割る結果となった。
この記事の続きとして、慶応生が企業の人事担当者に評判がいい理由として、「コミュニケーション能力が高い」「清潔感がありスマート」「さわやかでバランス感覚がある」「準備できないような想定外の質問をしたときによどみなく自信を持って答える」などの資質が挙げられています。これに加えて、慶應の場合は卒業生と在学生との密接なコミュニケーションが、就職活動でも有利に働いていることに大きく紙面が割かれています。その代表が、慶応の卒業生組織「三田会」に関する分析です。
慶應の卒業生組織「三田会」がその象徴だ。OBは約29万人。そのうち27万人の住所を大学が把握している。年度三田会、職域三田会、地域三田会、趣味の三田会... など登録されているものだけで計約870もある。
試しに「三田会」でググッたところ、19,000件ヒットしました。卒業年次の古いところでは、「慶應義塾大学1955年(昭和30年)卒業生の公式Webサイト」として55三田会がありました。今から50年近く前に大学を卒業した人の集まりですので、メンバーはみな70歳以上ということになります。そのような方が元気に活動されているわけですから、頭が下がります。近所の老人会の寄り合いよりは、ハイソ感もあって格段に恰好いいとの思いもあるのではないでしょうか。
ある面では「群れるのが好き」な慶応卒業生が作る三田会ですが、各々性格は異なります。年度三田会は、必ずしも全年度の組織化が行われているわけではないようです。世話人の存在によって組織化の有無に違いが出るのは、普通の同窓会と大きな違いはありません。企業単位で組織される職域三田会は、たいていの大手企業では存在するようですが、逆に大企業だとメンバーが多すぎて活動が停滞しているような感じがします。なお、卒業生評議員選挙が開催される時期になると、特定候補の集票マシーンと化すような一面もあります。地域三田会も大都市では活動はほとんど行われていないのではないでしょうか。一方、海外駐在員が現地で集うものは、活発に活動しています。
記事の中にあった「OBは約29万人。そのうち27万人の住所を大学が把握している」とは、塾員原簿が完備されていることを指しています。なお、慶應では卒業生を塾員と呼びます。これを名前順・企業別にまとめた塾員名簿というものもあります(正確には、ありました)。特に企業別の塾員名簿は、在校生が卒業生の入社や配属の状況を調べるのに重宝するものです。しかし、この名簿情報を基にしてDMを送りつける業者も多く、迷惑な側面もありました。このため個人情報保護の観点から、塾員名簿は本年をもって廃止されることになりました(塾員名簿(冊子版/CD-ROM版)の頒布・閲覧について)。DM業者の方は、ご愁傷様です。なお、登録のある塾員の情報に関しては、慶應オンラインから検索できるようになっています。また、塾員には転送用のメルアドも配布しています。
今回の投稿では早稲田大学について明るい話題がなかったので、少しフォローします。マスコミへの就職率が高いのが早稲田の特徴です。例えば、日本経済新聞社も早稲田出身者が多いので有名です。その早稲田が現在力を入れているのは、経営大学院(MBAコース)を充実して、歴史の長い慶應ビジネススクール(KBS)に追いつくことです。今月になって、日経BP社より早稲田大学ビジネススクール・レビューが創刊されました。装丁・内容ともビジネススクールが発行する専門誌としては、一般向けビジネス誌に近い印象を与えるものです。マスコミに強い庶民派早稲田の面目躍如といったところでしょうか。同種の定期刊行物を持たないKBSに差をつけたかったという考えもあったはずです。
早稲田ビジネススクール・レビュー 第1号 日経BP【特集1】ビジョナリー・アントレプレナーシップ
ユニクロ柳井会長兼CEO×松田WBS教授との
対談の他、GMO熊谷社長のインタビュー、
リクルートOB経営者による“人材輩出企業=リクルート”
の謎に迫る企画などが目白押し。
【特集2】躍進中国校弁企業の素顔
二大校弁企業、北大方正/清華同方の最新事情。
【注目学説】スチュワードシップセオリー
【社会起業家】アルビレックス新潟池田弘氏。
日本版のハーバード・ビジネス・レビューを目指していると思われる『一橋ビジネスレビュー』と比べて見ると、早大版のカジュアル感が際立ちます。 取り上げている経営者もユニクロ柳井会長、GMO熊谷社長、アルビレックス新潟池田社長と、現在注目の人たちばかりです。一般受けを狙っているとしたら、ツボをおさえた人選です。しかし少し度が過ぎて、アカデミズム感が乏しいような気がします。創刊号は早稲田ビジネススクールの認知度アップを第一目標としているのでしょうから、大目に見ることにします。オリジナリティに溢れた学究的なアプローチの側面が垣間見えるのは、次号に期待することにしましょう。
一橋ビジネスレビュー 2004年秋号【特集】日本企業のトップマネジメント
日本企業のトップマネジメントの実像について
ミクロ・マクロの両面からの分析を踏まえ、
その機能面、育成面における課題を考える。
【特別寄稿】知識ベース企業理論
戦略経営のダイナミックな進化に向けて
野中郁次郎/遠山亮子/紺野 登
【特集】戦略思考の技術
時間展開という落とし穴 沼上 幹
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