へそ曲がりとしては四面楚歌のダイエー中内功氏の現況に憂いを感じる
2004年12月22日
私のブログを昔から読まれている方はご存知だと思いますが、私は天邪鬼というか、へそ曲がりの性向が強い人間です。したがって世間全体が右といえば、 左といいたがる傾向があります。そんな私が気になった記事が、ダイエーの創業者中内功氏に対するマスコミの論調です。情報源は、『中内氏、ダイエー株含め全資産売却――関係清算、再建の条件、再生機構背中押す』(2004年12月21日 日本経済新聞 朝刊 3面)です。
ダイエー創業者の中内功氏(82)は、保有する同社株やグループ株、家屋などの資産をすべて売却する。創業者を意味する「ファウンダー」という称号も返上した。既に経営から退いて影響力は薄れていたが、それでも中内氏がダイエーとの関係を名実ともに清算することは、再建に必須の条件だった。
中内氏は2001年に同社の取締役最高顧問を退任。「ファウンダー」の肩書もあくまで名誉職で、会社の行事にも一切顔を出さず、実質的な影響力は失っていた。しかし、経営陣が変わっても「中内ダイエー」の印象は世間に根強く残っており、中内氏は「いつまでいわれ続けるのか」と不満を持っていた。産業再生機構は、ダイエー再建の条件として「過去とのしがらみを断つこと」(機構幹部)を基本に据え、中内氏の影響力を完全に断ち切ることを水面下でダイエーに求めていた。ダイエー再建を検討している支援企業候補の中にも、中内色を一掃してほしいとの声があった。
今回の処理をもって、中内氏とダイエーの公式な繋がりは完全に断たれることになります。最初にお断りしておきますが、私自身は中内氏に対して特段の個人的な思い入れを持つ人間ではありません。そんな私でも、一代でダイエー帝国を築いた中内氏がわが国の流通業の近代化に与えた功績は、正当に評価されるべきだと考えます。私も流通業界の専門家ではないので正確な意見は言えませんが、中内氏の活躍がなかったら日本の流通業の革命は10年近く遅れていたのではないかとさえ想像します。ダイエーの最終的な経営破綻問題とは別に、同氏の功績は功績として、純粋に評価されるべきではないでしょうか。
真剣に取り組むべきことは、ダイエー帝国がなぜ崩壊に至ったのか、中内氏自身の経営判断がどこで道を誤ることになったのかを分析し、将来同じ間違いを繰り返さないように役立てることです。また、これだけの業績を残した人ですので、中内氏本人からも教えを請うべき点は多々あることも間違いありません。同じ流通業で破綻を経験した経営者としては、人気テレビドラマ『おしん』のヒロインのモデルとなったヤオハンを国際企業として発展させ、そして破滅させた和田一夫氏の名前を思い出します。和田氏はヤオハン倒産後も、ビジネスに対する情熱を失うことはありませんでした。今では上海に居を移して、経営コンサルタントの立場から後進の指導に精力的に取り組んでいます。
中内氏の年齢を考えれば、同氏が事業家として再起することは、ほとんど無理でしょう。しかしダイエーの経営が行き詰まったからといって、中内氏が自ら設立した流通科学大学で行なう講義内容の価値が下がるわけではありません。是非とも時代の生き証人として、自らの貴重な経験を余すところなく学生達に伝承してほしいと思います。
ビジネスキャリアが全面否定されてしまって、私が残念だと思うもう1人の経営者は、リクルート創業者の江副浩正氏です。江副氏は当時は珍しかった学生ベンチャーのはしりで、日本で本格的に情報提供型産業を軌道に乗せることに成功した最初の人物です。同氏の功績も正当に評価されるべきだと思います。もちろん大疑獄事件を引き起こした当事者としては、社会的制裁を受けるべきことは言うまでもありません。しかし、リクルートがこれまで多数の起業家を輩出した実績は、決して偶然の産物とは思えません。リクルートの企業風土の根幹には、現在でも江副氏個人のビジネス観が脈々とに息づいているとも考えられます。なお、リクルートが経営危機に瀕した時に、その株を取得して支援したのが、中内ダイエーであったのも奇妙な偶然の一致かもしれません。
その他の晩節を汚しそうな経営者候補としては、自らが創業したミサワホームのトヨタ主導による再建計画に強硬に反対している三澤千代治氏がいます。当然、三澤氏にも過去には偉大な功績があったはずです。また、読売新聞の渡辺恒雄氏に代わって老害の謗りを一手に引き受けた感があるのが、NHKの海老沢勝二氏です。悪乗りついでに言えば、両氏にもそれなりの功績があったのではないかと想像します。単純に権謀術数に長けていただけでは、組織のトップに上り詰めることはできなかったはずです。
一度経営破綻したり不祥事を起こしたりすると、当人のすべての業績を否定し、社会的に抹殺しようとする一部マスコミの極端な報道姿勢には、大いに疑問を感じます。大事なのは問題が起こった原因をシッカリと分析することであり、過去の業績は正当に評価することにより、成功と失敗の両方を学ぼうとする態度だと思います。
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コメント
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Posted by: popotal | 2004年12月22日 14:51
あと、藤田田さんも、似たような扱いを受けていますね。
Posted by: ひろ | 2004年12月23日 01:52