トップが有名であることのメリット 堀江貴文氏は日本のブランソンになれるか?
2005年01月14日
前回ご紹介したようにライブドアの堀江貴文社長は、クイズ$ミリオネアで賞金1000万円を獲得しました(祝・堀江貴文社長クイズ$ミリオネア1000万円獲得 この勢いで世界制覇に期待)。本日のミリオネアでは、堀江氏が賞金を全額新潟県中越地震被災者への義援金にするという公約を実行すべく、本人が新潟県知事に届けた様子が放送されました。同じく1000万円を獲得して寄付を約束していた細木数子氏の方は、本人ではなく代理人の参加です。堀江氏も決してヒマなわけでもないのに、本人自ら登場したという点が評価されて、同氏の好感度がまたアップすることは間違いないでしょう。
年が明けても堀江氏の人気は衰える兆しはなく、連日のようにテレビ番組を賑わしてくれています。昨日は、テレビ東京のワールドビジネスサテライトの中で、ライブドアが映画ビジネスに参入する意欲を披露していました。考えてみれば、堀江氏ほど有名になったことのメリットを享受しているビジネスマンは、いないのではないでしょうか。その恩恵は、マスコミで取り挙げられる機会が増えたというPR効果だけにとどまるものではないはずです。映画ビジネスの件を例にとれば、知名度がアップしたライブドアの下には、内外の投資銀行、証券会社から持ち込まれる投資案件の数も、格段に増えていると思います。持ち込まれる案件も増えれば、当然有望案件がその中に含まれる可能性も高まるわけで、その分事業拡大の可能性も高まるはずです。
経営トップが有名であることのメリットに関しては、ヴァージン・グループのリチャード・ブランソン会長が具体例を示しています。スケールはかなり違うのですが、堀江氏の最近の活躍振りと近い部分がありますので、その一部を紹介します。情報源は、『The Importance of Being Richard Branson 』です。
Richard Branson recently was asked how much it helps him to be famous. The founder and owner of The Virgin Group - an empire of 350 companies that includes Virgin Atlantic airlines as well as ventures in telecommunications, trains, cosmetics, credit cards and several other industries - replied: "It helps to be a global personality. When you can pick up the phone and call the President of Nigeria, it cuts a lot of corners. You can get things done that you couldn't otherwise."
ブランソン氏ほどの名声があれば、改めて自分を売り込んだり取り巻き連中の相手をしなくても、一国の大統領クラスの要人にも電話だけで単刀直入に要件を切り出せるということです。当然トップ間のホットラインがつながれば、その後の交渉もスムーズに進むので、スピード面で競争相手より圧倒的に有利な展開が可能になります。
これで思い出したのが、巨人の渡辺恒雄オーナーの堀江氏なんか「知らない。知らない人間に会う必要もない」発言です。当時は今ほど有名ではなかったので、堀江氏のことを知らないと言っても、しかたがないのかなという雰囲気もありました。しかし、今堀江氏のことを知らないと言えば、逆に知らない方の常識が疑われます。「知らないので会わない」という屁理屈ももう通用しないでしょう。
その後のプロ野球参入意思表明の中で、最初に仙台をフランチャイズに決めたことで堀江氏は宮城県知事から大いに感謝されています。新潟県知事には、今回義捐金を届けました。また、ライブドアが事業展開を計画している地方の公営競馬ビジネスがらみでも、多くの知事クラスの人間に会っているようです。今や地方自治体の首長の中には、地方経済の建て直し役として堀江氏に期待を寄せている人も多いのではないでしょうか。結局、堀江氏もそのクラスの人間にまでサシで話をできる有名人に進化したことになります。
ここで考えたいのは、「堀江貴文=ライブドア」と受け取られることの功罪です。経営者が有名であることのPR効果と、会社と同一視されることの問題に関しては、ブランソン氏は次のように述べています。
It is difficult to separate the success of the Virgin brand from the flamboyant man behind that brand. Branson says he wouldn't have it any other way. He travels the world weekly, reinforcing his good-natured, visible, jet-setting, billionaire reputation as a reflection of the companies he owns. "Generally speaking, I think being a high-profile person has its advantages," he says. "Advertising costs enormous amounts of money these days. I just announced in India that I was setting up a domestic airline, and we ended up getting on the front pages of the newspaper. The costs of that in advertising terms would have been considerable." Visibility is good, says Branson, "as long as you're not in the headlines for the wrong reasons."
ブランソン氏は、有名人の自分の発言であるからこそ、ヴァージンの事業計画も新聞の一面を飾ることができたのだと言っています。「ブランソン=ヴァージン」と解釈されても、プラスのPR効果の方がマイナス面より大きいという考え方です。但しブランソン氏も指摘するように、もし経営者が何か不祥事を起こすと、これは逆に大きな企業イメージのダウンにつながるリスクがあることも事実です。卑近な例を挙げれば、最近受信料の不払いが増えているNHKの問題もこの典型と考えられます。数々のマスコミ報道により、「NHKの諸悪の根源は海老沢会長のワンマン体制にある」という論調が多くの国民の意識に刷り込まれました。こうなった以上、失墜したNHKのイメージの回復には、海老沢氏の辞任しかないことは明らかでしょう。
ブランソン氏は、過去25年間の中で最も影響力のあった世界のビジネスリーダーの1人として選ばれています(What You Can Learn from the Top 25 Business People of our Times)。同氏が選出された理由は、ブランド構築の卓越した手腕と全米で最も人気のあるTVパーソナリティの地位に返り咲いたオプラ・ウィンフリー氏と共通する国民的な支持基盤にあります。
堀江氏も個人的な問題を引き起こすことなく今の人気を持続することができれば、25年後にはブランソン氏のような世界的リーダーの1人に選ばれる可能性がゼロとは言い切れません。是非とも精進して欲しいものです。そんなものに選ばれることを、堀江氏本人は全く望んでいないような気もしますが... 堀江氏が切望しているのは、ブランソン氏に先駆けて宇宙旅行ビジネスの夢を実現することあたりでしょう。
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コメント
貴殿の卓越した観点に、いつも刺激を受けております。
ライブドアの堀江氏が日本のブランソンとは面白い考え方ですね。
ブランソンの行動自体がバージンのブランド構築に役立っているわけですが、確かにブランソン=バージンとなったときにもしブランソンが何か顰蹙を買うことをした場合にバージンのブラン力が傾くということが考えられると思います。
あとはブランソンが交代しなければならないときに会社がブランド力を維持できるかどうかですね。
どちらにしろ、カリスマ社長の夢に多くの人は心を動かされるのでしょうね。
それでは。
Posted by: さとたく@バタ貧脱出 | 2005年01月14日 11:17