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IT時代の日本企業CEOの時間の使い方には改善の余地はないのか

2005年01月18日

米国企業のCEO調査結果を紹介した記事を投稿した際に、日本企業のCEOに関する時系列調査がないようなことを書きました(米国企業CEOへのキャリアパスの変化は日本の未来を予言しているか)。恥ずかしながら、実はこの種の調査が日本でも実施されていることを知りました。一橋ICS(International Corporate Strategy:一橋大学大学院国際企業戦略研究科)が、日本企業のトップがどのように変わってきたのかを本格的に研究しています。その研究成果の第一弾として、CEOの時間の使い方に関する調査結果が発表されました。調査方法は、アンケート調査(43社)とCEOへのインタビュー(17社)によるものです。次にその調査結果の一部を紹介します。 情報源は、『日本型CEOの時間の使い方』(週刊東洋経済 2005年1月22日号 p.102-104)です。

2003年10月時点でCEOがどのように時間を使ったかについての回答を求めた。CEOがこの1ヵ月間に使った時間の合計は通勤時間を除き平均229時間で、1日当たりにすると11時間近く働いたことになる。250時間以上働いているCEOが約3分の1を占めている。

バブル崩壊前(1988年)と比較してみるとCEOの勤務時間数は増えている。社内で使われている時間(117.6時間)と社外で使われている時間(111.3時間)を比べてみるとほぼ均等である。

社外で費やす時間で最も多いのが、意外なことに「移動」(38.1時間)で、次に「顧客」(23.6時間)が続いている。「取引先銀行」(1.7時間)や「官庁関係」(1.3時間)との関係維持に使われる時間は非常に少なく、15年前と比べると減少している。逆に「株主やアナリストへのIR」(4.1時間)や「報道関係」(2.7時間)に対して使われる時間はかなり増えている。これは規制緩和や資金調達の変化(間接金融から直接金融へ)の当然の帰結である。

社内で使われる時間は「非定例会議、打ち合わせ」(31.7時間)が最も多く、次に「1人で考える時間」(25.3時間)と「取締役会議以外の定例会議」(20.6時間)が続いている。子会社、営業所、支店、工場等を訪問する時間や、社員とのコミュニケーションに使う時間もかなり多い。現場に対する気配りが日本のトップの重要な役割であることの証左である。

逆に、社内の冠婚葬祭などの行事に使われる時間は以前と比べて減少している。取締役会の時間も増えていない。これらの変化を見ると形式的な会議にトップが使う時間が減り、実質的な打ち合わせが増えているのがわかる。

CEOは、1日当たり平均11時間以上働いているわけですので、我々が想像するほど楽な商売ではないようです。しかし、CEOに期待するのは執務時間の長さではなく、その中身がいかに充実しているかです。そう考えてこの調査結果を見直すと、若干物足りない感じがします。

一番不満に思うのは、1988年の調査時点と比べて飛躍的進歩が見られたはずの業務のIT化の影響が、この調査にはまったく反映されていないことです。CEOの全執務時間中で「移動」に最も多くの時間が費やされています。この現状を見ると、IT業界のセールスマンでなくても、TV会議の導入を訴えたくなるのではないでしょうか。現実的に考えれば、トップ同士の面談がTV会議では代替できる性質ではないものであることも十分承知しています。トップともなれば、"わざわざ遠路はるばる" 顧客や社員を直接訪問すること自体に、良好な取引関係の維持や現場の士気向上に対する絶大な効果が期待されているからです。それでも、中には直接足を運ぶまでの必要はない種類の面談もあるはずです。見直しの余地はかなりあるものと想像します。

次の疑問点は、「移動」時間を単純に非生産的な時間とみなして良いかという点です。ビジネスマンの時間管理の要諦は、移動時間のような細切れの時間をいかに効率良く利用するかにかかっているといっても、過言ではありません。移動の車中でもCEOは書類を読んだり、メールをチェックをしたり、携帯電話で部下に指示を与えているはずだと思います。ただのんびりと居眠りをして、貴重な時間を空費しているわけではないでしょう。このアンケートでは、移動時間中の過ごし方まで分析が及んでいないので、CEOの生産性をはっきりとつかむことができません。次回以降の質問では、改善を願いたいと思います。

私がIT化の影響にこだわるのはわけがあります。業務のIT化の流れにより、ビジネスマンも時間を有効に活用することができるようになり、日本で問題とされていたホワイトカラーの労働生産性も向上しました。しかし、いつでもメールや携帯電話でアクセスできるということは、四六時中見張られているように感じられ、ある種のゆとりを奪うことになりました。その結果、ビジネスマンのストレスレベルも、IT化以前の時代に比べれば格段に増加傾向にあります。

回答が欲しかったのは、CEOもIT化の恩恵と同じようにマイナスの部分としてのストレスを実感しているのかという疑問に対してです。今回の調査結果では、経営トップの時間の使い方にITに関する部分が全くなかったのが残念です。それとも、日本人のCEOは移動中に自分でメールをチェックしたりすることはないのでしょうか。メールを読むのは秘書がプリントアウトした時だけなんてことは、このご時世考えられないと思うのですが...


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