ALSOKは『Mの悲劇』でのプロダクトプレースメント戦略で、ホーム市場開拓を狙う
2005年01月24日
TBSテレビ系列で昨日放送されたドラマ『Mの悲劇』をご覧になった方も多いのではないでしょうか。昨日で2回目となるこのドラマは、あるエリート・サラリーマン(稲垣吾郎)の順風満帆の人生が、謎の女性(長谷川京子)の出現によって、突如として乱されるというストーリーです。『Mの悲劇』という題名が、エラリー・クイーンの名作『Xの悲劇』『Yの悲劇』を模しているように、ミステリー仕立てになっています。
稲垣吾郎演じる主人公が勤務する会社は、警備保障会社です。このドラマの撮影には、セコムに次ぐ業界第2位の綜合警備保障(ALSOK)が全面的に協力しています。当然、同社の最新のセキュリティ・サービスが登場する場面も随所に見られます。以前、映画やドラマで特定商品を登場させるマーケティング手法『プロダクト・プレースメント』について紹介しました(マーケティングの新手法プロダクトプレースメントとプロジェクトXの関係)。今回の警備保障サービスの位置付けも、一種のプロダクトプレースメントと考えられます。 情報源は、『セコムに挑む綜合警備保障の格安システム』(日経ビジネス 2005年1月24日 p.24)です。
ここ数年、空き巣など家庭に侵入する窃盗事件の件数が増え続けている。ドリルでドアに穴を開けて解錠する「サムターン回し」など次々と新たな手口が生まれ、家庭の防犯意識が高まる中、従来の半額という超低価格を打ち出した新商品が注目を集めている。2004年11月に綜合警備保障が発売した「ホームセキュリティ7」だ。
火災や不法侵入などを自動的に検知してセンサーに通報、警備員が駆けつける家庭用セキュリティサービスは、最大手のセコムも含め、その利用料は1ヵ月1万円前後が業界の相場となっている。ホームセキュリティ7は、各種機器をレンタルして戸建て住宅に設置する場合で月額利用料4914円(工事費3万9900円と保証金2万円は別途必要)。間取りやオプションによって多少料金は変わるが、従来の約半額である。
徹底した低価格化は、対セコムを意識した戦略だ。家庭用セキュリティーシステムの国内市場では、セコムがシェア8割を握る。企業向けのビル警備システムが主力事業の綜合警備はシェア2位だが、家庭向けサービスで強力なブランドを築き上げたセコムに圧倒されているのが現実だ。「追う側が同じような商品で戦っても勝ち目はない。富裕層だけを狙うのではなく、誰もが利用できる低価格の普及商品でマンション世帯など新たな需要を開拓したい」と、多賀洋ホームマーケット営業課長は意気込む。
綜合警備は、この新サービスで年間1万件の販売目標を掲げている。これは、従来商品の2倍のペースだが、「発売以降、契約件数は目標と同じペースで推移している」(多賀課長)という。同社の低価格戦略がセコムがほぼ独占状態にある市場に風穴を開け、これまでこのようなサービスとは縁遠かった一般家庭への普及に弾みがつくかどうか見ものだ。
この記事で明らかなように、現在綜合警備保障が注力しているのが、集合住宅を中心とした一般家庭向けのホームセキュリティ・マーケットです。業界2位にあるとはいえ、ホーム・マーケットの鍵を握るブランド認知度においては、セコムに大きく水を開けられているのが現状です。これには綜合警備保障が、コーポレートブランドをそれまでのSOKからALSOKに変更したという経緯もあります。SOK時代は、『いまどき綜警(早慶)は当たり前だろう』というCMで、それなりに認知度を上げることに成功していました。ところが2003年には、ブランドをALSOKに変更したことで、それまでの蓄積効果を十分に活かすことができなくなってしまいました。その間、業界首位の会社が『セコムしてますか』の長嶋茂雄氏のCMを継続して放送していたわです。両社間のブランド認知度の差が拡大するのも当然でしょう。
昨日の放送でも、マンションの玄関で虹彩認証の最新セキュリティ技術を使う場面が登場しました。これも綜合警備保障がターゲットとするマンション警備サービスの1つです。このドラマで興味を持った人間が、綜合警備保障とういう会社とそのサービスに関心も持ってくれるきっかけになれば、同社のマーケティング戦略としては成功でしょう。
なお、嘉納杯国際大会優勝でアテネ五輪の雪辱を果たした、柔道の井上康生選手も綜合警備保障の所属です。柔道家の力強さも警備保障会社のイメージ戦略には、欠かせないものです。しかし、こちらの方はどうしても、昔ながらの屈強なガードマンを主体とした有人警備の印象が強くなります。ホームセキュリティの主流は、ハイテクを駆使した機械警備になります。今回のドラマで協力する綜合警備保障の狙いは、頑強なイメージよりも、むしろ技術の先進性をアピールする点にあるのではないでしょうか。
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