企業でも安心して利用できるコミュニティサイト『おぴネット』がオープン
2005年01月26日
前回、大企業が自分でブログを運営していくには、それなりの覚悟と意識改革が必要という趣旨の投稿をしました(ブログをマーケティング・ツールとして大企業が利用することに懐疑的な私(少数意見))。ネット上で大企業が広く一般に意見を募った場合に、頭が痛い問題が誹謗中傷に対する対応の仕方です。そんな問題に応えてくれる企業向けの新しいコミュニティサイトが、『おぴネット』です。昨年12月にスタートしたばかりのサービスなので、まだそれほどアクセスはないようです。 情報源は、『おぴネット:ネット世界を現実社会に近づけるコミュニティーサイト』です。
同サイトがユニークと言える点の一つは、その誕生経緯にある。ベストセラー『生き方上手』の著者でもある日野原重明・聖路加国際病院理事長を中心に、テレビキャスターの黒岩祐治氏、山崎養世・元ゴールドマン・サックス投信社長など企業経営者やジャーナリスト、芸術家約40名が、社会の中でコミュニケーションはどうあるべきかを議論した中から、同サイトが生まれたのである。この他にも、北川正恭・前三重県知事、北城恪太郎・日本IBM会長、演出家のテリー伊藤氏、島田晴雄・慶応大学教授、杉山知之・デジタルハリウッド大学院学長などが、議論に参加、おぴネットの幹事あるいは発起人として名を連ねている。
おぴネットは、テーマごとに「アイランド」を形成し、アイランドを立ち上げたオーナーが情報を提供し、ユーザーは自分の興味のあるアイランドに自由に参加できるという仕組みだ。オーナーは、メールマガジンや掲示板、フォト日記などを利用して情報を発信することができる。そしてアンケートなどで参加者から意見を収集することができる。
おぴネットは、メールマガジンや掲示板などコミュニケーションのツールが豊富なことから、「企業が新商品のマーケティング調査、広報活動を展開してユーザーからの意見や考えを収集することもできる。また社会支援をするNPOや自己表現をしたいアーティストの情報発信基地とすることもできる」(臂社長)。
おぴネット社の収益源は、オーナーが月々支払う利用料だ。必要な機能が揃った「スタンダードプラン」が9800円で、それより若干機能が制限された「お気軽プラン」が4800円からだ。また、CSRを推進する企業向けに「CSR推進パック」が16万円となっている。もちろん、参加者の利用は無料だ。
管理者がいない掲示板だと、内部で論争が起こり、論争の行方次第では掲示板に誰も寄り付かなくなってしまうという結末を迎えることになる。また掲示板では、誹謗中傷が放置されることも多い。企業や団体が掲示板に消極的になるのは、こういった理由によるところが大きい。
その点、おぴネットのアイランド内の掲示板は、誹謗中傷などの不適切と判断した言葉を外したり、オーナーに自動的に報告される「サイバーコップス」というシステムを取っている。また、おぴネットの場合は、ユーザーが積極的にアイランドに参加しているために、誹謗中傷自体が少なくなり、仮にあったとしても早い段階で自然消滅することが期待できると臂社長は語る。
掲示板が原始的なコミュニティーだとすると、最先端は「ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)」になる。SNSは、ネットの「匿名性」を排除して、現実社会の信用できる知り合いを招待することでコミュニティーを大きくしていくというものだ。会員制のサロンといったところだろう。
しかし、SNSに対して臂社長は「知ってる人しか信用しない世界。大人の世界として違うんじゃないか」と疑問を呈している。そこでおぴネットでは、知り合い同士だけで情報をやり取りするのではなく、それ以外の不特定多数に向けた情報を発信できるようにしている。おぴネットの会員でなくても掲示板を閲覧できるのは、そのためだ。
要するにおぴネットのアイランドというのは、2ちゃんねるのスレッドのようなものでしょう。新しいアイランドを立てるには、オーナーになる必要があって、そのためには最低でも月額4800円の費用がかかります。アイランドのテーマも、公序良俗に反しないかどうかの審査をパスする必要があるはずです。
次にユーザー側ですが、サイトを見るだけであれば何の手続きも必要ありません。ここがSNSと違う点です。但し、アイランドボードと呼ばれる掲示板に書き込むには、会員登録が必要になります。正式登録には、本名、生年月日、性別、職業などの個人情報の入力が要求されます。ここも巷の掲示板とは異なるところです。もちろんこれらの情報は非公開を選択して、ニックネームでの書き込みが可能です。その他、趣味嗜好に関する入力項目もあります。この種の属性情報が企業側がマーケティングに利用する際に重視される部分です。情報の価値は、どこまで登録者が本当のことを書いてくれるかに依存することになります。
実際のアイランドの中身ですが、アイランド一覧を見る限り、企業での利用はないようです。ざっと見たところでは、個人もしくはNPO系の趣味、主張が主体です。ビジネス系といえそうなのは、『勝つ力 人生には勝つべくして勝つ鉄則がある』の近著がある金融経済評論家・山崎養世氏の『ニッポン復活について考えよう』というアイランドあたりでしょうか。ここでは、高速道路無料化、郵政民営化等の問題に関するボードが開設されています。その他では、『飛び出せ!夢の国際派就職』が、ビジネステーマを扱うものです。当たり前ですが、投稿内容も真摯なものばかりで、オーナーも丁寧に回答してくれています。
おぴネットは、まだオープンして1ヵ月です。現時点の賑わいでは、企業のマーケターが関心を示すべき点は見当たりません。良質のコミュニティが形成されたとしても、ある程度のサイズが伴わないことには判断材料としては使えないからです。このサイトの成功の鍵は、質を維持しながら、いかにコミュニティを拡大していくことができるかにあります。今後の動きに注目したいと思います。
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