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中田ブランドの成長と共に業容を拡大したPR代理店のマーケティング戦略

2005年01月27日

鹿島アントラーズの中田浩二選手が、フランスのマルセイユへ移籍することがが正式に決定しました(『中田浩がマルセイユ移籍、「うれしい」』)。当初はマルセイユ側が提示する移籍金が少ないことで、アントラーズは移籍に反対していました。結局本人の海外移籍への強い希望が通ったことになります。これでフランスリーグでプレイする日本人選手は、2部のルマンで活躍している松井大輔選手に続き2人目となります。

サッカー選手で「NAKATA」といえば、大方の人は中田英寿の方を想像するのではないでしょうか。どうも、フィオレンティーナの中田の方は最近は明るい話題にとんとご無沙汰のようです。23日に古巣ローマとの試合に先発した中田は、ブーイングの嵐の中で途中交代を余儀なくされました(『中田に大ブーイング、勘戻らず』)。

ホームで浴びる罵(ば)声が中田の不調を物語った。後半24分。FWリガノとの交代が告げられると、非難の口笛とブーイングが鳴り響いた。

年末からの背中痛を乗り越え、今年最初の試合。トップ下で先発した中田だが、失点のピンチを招いた前半7、39分のミスを筆頭に簡単にボールを失う場面が続いた。位置取りが悪く、こぼれ球への反応や守備への切り替えが遅く、相手を後ろから追いかけるばかり。前線のプレスも消極的で、ミッコリやファンティーニと運動量の差は歴然。何度かあった見せ場も、数々のミスで印象を薄くした。

試合前日は体調について「見ての通りですよ」と語った中田だったが、復活の道は険しそうだ。かつて在籍したローマの番記者たちも「彼はどうしたんだ」と心配の声を上げたほど。全国紙「トゥット・スポルト」が4点の最低評価など、一夜明けたメディアの評価も厳しいものだった。

昨年痛めた股関節が完治していないための不調でしょうか。中田本人は自身のコンディションに関して、逐一饒舌に語る方ではないので真相は分かりません。 中田は元々プロスポーツ選手たるもの、ピッチでのパフォーマンスが全てだという信念の持ち主です。大事なのはプロセスよりも結果だと考える、プロフェッショナリズムの表れでしょう。したがって、結果が悪くてもコンディション不良のせいすることは、めったにありません。このクールな潔さこそが、中田ブランドの人気の原因の1つでしょう。

この中田ブランドが確立されたのは、決して本人の力だけによるものではありません。その影にはペルージャ移籍の時から、中田のマネジメントを一手に引き受けてきたPR代理店『サニーサイドアップ』の存在があります。先頃、サニーサイドアップのビジネス戦略を詳細に分析した本『サニーサイドアップの仕事術』が日経BP社より刊行されました。

中田英寿のマネジメントで知る人ぞ知るの存在であったサニーサイド アップであるが、2004年には、老舗菓子メーカーである東ハトの新たな ブランドのイメージ戦略を成功をさせるなど、ビジネス界でも急速に注目 を集めている。

本書は中田をはじめ、水泳の北島康介、テニスの杉山愛、陸上の 為末大、ゴルフの福嶋晃子、そしてシンガーソングライターの大黒摩季 などと契約して彼らのPRとマネジメントを請け負うというこれまでにない 手法で、企業と個人のきわめて効果的なブランディング戦略方法を構築 した過程を綴る。

サニーサイドアップは芸能プロダクションではない。契約者の本業は あくまでも自己責任である事を前提とした上で、輝いていられる時間の 限られた契約者にとって最良のサポートを提供する。契約者が本業に 集中できる環境を整え、マイナス要因を排除した上で、メディア上での イメージづくりの管理、スケジュール調整を行う。

また、中田英寿を東ハトのCBOに送り込み、広報宣伝部門をアウト ソーシングすることでわずか半年で東ハトを再生したケーススタディを 紹介することで、日本企業がいままで軽視し、もっとも苦手だった、 「PR」の手法で企業や個人の価値をマネジメントし、ニュースにし、 ブランドとして確立し、その価値を拡大するといった画期的な方法論を 明らかにする。

サニーサイドアップは、トム・クルーズ主演の映画『ザ・エージェント』の中で描かれていたような、欧米型のスポーツ・エージェンシーとは一線を画する新しい形の代理店です。しかし、サニーサイドアップの次原悦子社長も、最初から現在のような明確なビジネスモデルを考えていたわけではありません。次原氏も中田のマネジメントを引き受けた時は、人のいいお姉さんが当時マスコミからのバッシングに悩んでいた若き中田を庇護する役割に徹していました。当時の事情は、スポーツライター小松成美氏の一連の中田関連の著作に詳しく明かされています。

なお、次原氏が実際にスポーツ選手がどうようにマネジメントしているかに関しては、『トップスポーツビジネスの最前線―早稲田大学講義録〈2003〉』の中で、次原氏本人が詳しく説明しています。本書は早稲田大学のオープン教育センターでの講義を収録したもので、プロ選手の代表事例として中田が、アマチュア選手の代表例として北島康介が、紹介されています。

その後、ビジネスとしての中田のブランド価値が高まるにあわせて、次原氏も中田とともに試行錯誤を重ねながら、成長することになります。その結果として、理想的なエージェントとクライアントの関係をベースにした、新しいビジネスモデルが確立できたのでしょう。サッカー選手の中田がいなければ、今日のサニーサイドアップの成功もなかったでしょうし、逆に次原氏がいなければ、ブランドとしてのNAKATAもなかったと言えるのではないでしょうか。

同じくサッカー選手をブランド化するマーケティング戦略を分析した本としては、国際的ブランドコンサルティング企業であるインターブランド社のコンサルタントによる『デビッド・ベッカム―こうして彼はスポーツの枠を超えた』があります。

デビッド・ベッカムはサッカー選手だ。しかし、彼の魅力はサッカーだけにあるわけではない。現に、彼の生活すべてがテレビや雑誌のニュースになっている。彼はどのようにして注目される選手になったのか。そして、彼はこれからどこへ向かっていくのか──。

本書は、ベッカムがどのようなビジネス戦略のもとに、世界中に認知される「ブランド」に成長していったかをまとめたものです。彼のブランドの要素には、サッカー選手としての実績の他に、ファッションセンス、ライフスタイル、人間性、ヴィクトリアとの結婚などがすべて加味されています。

そして、それは、企業のブランドのようにブランド・マネージャの選定、何をいかに売るかの戦略、パートナー選び等、計算ずくの展開だったのです!単なる「ベッカム本」ではなく、『人のブランディング』に関する希有なビジネス書である。

『サニーサイドアップの仕事術』が日本型の新しいPRのビジネスモデルを提起するものであるとすれば、こちらの方は私生活までも材料に使う欧米型のPRモデルを明らかにするものです。両方を読み比べてみるのも、面白いかもしれません。

最後に冒頭の話題に戻ることにします。マルセイユに移籍した中田選浩二が活躍して、もう1つの「NAKATA」ブランドが生まれることに期待したいと思います。中田英寿のフィオレンティーナの方も、監督が交代することになりました(『(1/25)フィオレンティナの新監督、中田は「攻撃的な位置で」』)。これを機に中田にも運が向いてくることを祈りましょう。 両中田の活躍が新聞紙面を賑わせれば、欧州のサッカーファンは、きっと日本人の名前の3割くらいは「NAKATA」だと思い込むことになるでしょう。類似の名前の「NAKAMURA」もありますし。

野球の方では、今年はニューヨークメッツの松井稼頭央が、セカンドコンバートで成功することに期待しましょう。そして、ニューヨークの野球ファンに、日本人の5割は「MATSUI」という名前だと思い込ませましょう。


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コメント

中田英寿氏は以前週刊誌で次原氏のことを「あの女とは一生付き合っていく」といわれていました。

中田英寿氏が次原さんと会ったのは、前園氏(以前はSSUに所属)の紹介です。一緒にラ王のCM出てました。当時はバックはヒデ。

オリンピックで輝いていた前園氏が調子が狂ったのはSSUがいろいろ引きずりまわすからだとバッシングされたのに対し、ヒデは「俺がおかしくなったら、それは俺の責任」と言っていました。20前後でその言葉。実に立派です。

野菜をくえず、肉ばっかりのヒデ。当然カラダもおかしくなって、いずれは癌になることも考えられますが、なんとか頑張って頂きたいです。

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