GMOの社名変更は、バラバラで一体感のないブランドネームを整理する好機
2005年02月25日
グローバルメディアオンライン株式会社が6月1日社名変更することを発表しました。新社名は「GMOインターネット株式会社」です。マスメディアでもGMOという略称のみで紹介されることが多くて、正式社名を表記される場合が極めて少なかったので、思い切ってGMOを正式社名に織り込むことにしたようです。さらにインターネットを付け加えた理由は、熊谷社長が自身のブログで説明しています。なかなかオシャレなコメントですので、次に引用します。
さらに、「インターネット」という産業名を「今更ですが」付けました。
理由ですが、名刺を出してすぐに業種が分かるし・・・・なんて、単純な理由ではなくて(笑)それもありますが、
過去、「鉄道」「電気」「テレビ」「放送」等、基幹産業になった業種を営む会社は、皆さん「産業名」を会社名につけておられます。
例えば・・・「株式会社フジテレビジョン」とか、「西武鉄道株式会社」とか・・・(事例がタイムリーでしょ・・・笑)
また、グループ経営をされている企業も、それぞれの「業種名」をグループ名につけられますよね。例えば・・・「東急グループ」は「東京急行電鉄」「東急百貨店」「東急不動産」と。
だから、僕たちも「GMO」をブランドとして、それぞれのグループ会社に「産業・事業名称」をつけたいと思っています。
そして、グループ全体で歴史に残る事業を展開して行きます!
果たしてインターネットという産業名を付けると、GMOの事業ドメインが想像できるようになるのでしょうか? そもそも「インターネット」ビジネスそのものが曖昧です。せいぜい、GMOはインターネット関連の何かのビジネスを手がけているといった程度の説明にしかなりません。GMOの事業実態が分かりにくい問題点は、別にあるように思います。それは、サービスブランドと企業名が一致していないことです。
GMOの事業ドメインとそのブランド展開を見れば、一目瞭然でしょう。例えば「お名前.com」や「まぐクリック」「LOLIPOP」のブランドは知っていても、それがGMOのサービスであることまで正確に理解している人は少ないはずです。ブランド資産管理という観点から言えば、あまり上手な方法とはいえません。
もちろん、社名(コーポレートブランド)と個々の商品・サービスブランドは、別個に考えるというマーケティング戦略も可能です。有名な例では、昔のユニリーバ(日本リーバの親会社)やP&Gがこの戦略をとっていて、コーポレートブランドをあえて主張しないようにしていました。当時は石鹸(ラックス、アイボリー)を作っている会社が、食品(ラーマ、プリングルス)も作っていることがわかると、不味そうな感じがして売れなくなる恐れがあると考えられていたからです。現在ではこんな心配は無用です。ヘルシア緑茶を作っているのが花王であることは、周知の事実ですし、そのことをマイナスと考える人もいないでしょう。
GMOの場合は、このような思想があってマルチブランド化を進めてきたと思える節はありません。急速な事業拡大とM&Aの結果、そのままブランドを使い続けてきたのではないでしょうか。GMOの事業ドメインはこれまでは法人主体でした。今後コンシューマ事業を強化するのであれば、サービスブランドの絞込みが必要であるはずです。中には「懸賞侍」のように、どうでもよさそうなブランドもありますし(あくまでも個人的な意見ですが)。
したがって『僕たちも「GMO」をブランドとして、それぞれのグループ会社に「産業・事業名称」をつけたいと思っています』という方向性は正しいと思います。弱小グループ会社の社名変更は、公式通りに行くはずです。一方、それなりにブランドが確立されている会社の場合は、判断が難しくなります。公式に合わせて、「株式会社まぐクリック」は、「GMOアドバタイジング」あたりになるんでしょうか?
こんな凡庸な名前に比べれば、まぐクリックの方がメールマガジンのクリック広告というビジネスモデルをうまく表している感じがします。社名だけ変更して、サービスブランド「まぐクリック」は残すという選択も可能です。もちろん、著名な社名は変更しないという例外を設けることもできます。さらに折衷策として「GMOまぐクリック」とか、色々な選択肢が考えられます。果たしてどういう結論になるのでしょうか? 最終的な結果からそれに至るまでの試行錯誤のプロセスを想像してみるのも、マーケティングの興味深い題材になります。
社名に事業名を入れる方針は、新しい事業ドメインに進出する場合には威力を発揮するはずです。あれこれ悩むことなく、簡単に社名が決定できますから。ネット起業家が一様に進出を目論んでいる金融・投資分野では、こうなるはずです。「GMOファイナンス」、「GMOインベストメント」もしくは「GMOキャピタル」とか。シンプルそのものです。事業実態も容易に想像がつきます。
ここで思ったのは、後ろに続く事業ドメインが一般の人にも分かりやすいものは、社名につけてもわかりやすいという、当たり前のことです。翻ってインターネットに戻れば、事業実態がわかりにくいのは、まだまだ一般の人にはその細部が理解されていないからでしょう。ホスティングにしろ、ドメイン・レジストラにしろ、それだけで一般の人が理解できるとは思えません。熊谷社長に期待したいのは、これらのサービスが一般の人にも理解できるようにする啓蒙活動です。「GMOレジストラ・サービス」という会社の事業内容を、国民の大多数がわかるような時代が来れば、大きな貢献になります。そうなって初めて『グループ全体で歴史に残る事業を展開』したといえるのではないでしょうか。
【おまけ】
なお、GMOとは Genetically Modified Organisms の略称で、遺伝子組み換え食品のことを指すこともあります。例えば、No! GMO Campaign なるサイトもありますが、決してアンチ熊谷ではありません。
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